妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

僕が死のうと思ったのは

 

ディエイトを失って、ジュンは壊れた。
彼らを知る人たちは、皆それを知っていた。
舞台の上で、時折眩しそうにどこかを見つめてるジュンは、楽しそうに笑ってる。
彼の視線の先にはきっと、

 

ジュンは最近ではもう、滅多と自国には帰らない。制約的な何かがなければ、家族がいなければ、その数はもっと減っていたかもしれない。いつだかそれをスングァンが尋ねたら、「なんだかハオは、向こうで頑張ってる気がするから」と笑ってた。

 

時折ジョシュアがジュンの肩を叩く。
そこにはきっと色んな意味がある。ジュンは何も聞かないし、ジョシュアも何も言わない。美味しいワインを見つけた時も同じようにジョシュアはジュンを訪れる。
今は1人で暮らすジュンのその部屋で、ディエイトのワイングラスにワインを注ぐ。

 

ホシは未だに、13人の踊りを考える。
パフォチには4人分の振り付けを。
3人で舞台にたっても、センターに誰かが立つことはない。当然のようにそこには4人で立った時のようにセンター位置があって、4人で踊ってるかのように府資源な間が空いて。

 

一番泣いたのはエスクプスだった。
立ち上がれなかったのも、幾度となく倒れそうになったのも、現場に戻るのも一番遅かった。そして今も、まるで昨日の出来事のように泣くことがある。

 

ウォヌは時折悔しそうに口を震わしながら、ジュンの横に立つ。
かけたい言葉は山とあるのに、何も言えないとばかりに。でも失ったのはウォヌだって一緒だった。大切な弟だったんだから。でも自分の片割れだと思った相手を失った訳じゃないと思うからか、やっぱりウォヌは何も言わずに去っていく。

 

スングァンは泣いて泣いてしながらも、ジュンの長い脚にしがみつきながら座り込んでいた。
それが癖づいたのか、今でも時々、ジュンにひっついてる。優しいからか、辛すぎるからか。でも確実にジュンを癒やしてる。

 

ドギョムはある時、ディエイトの代わりに踊り始めた。
ボカチの次がヒポチで、その次がパフォチなら、疲れてるはずなのにドギョムは4人のパフォチをカラットたちに見せてくれる。

 

ミンギュは笑う。夢を見てるみたいだって......。
言葉も判らない相手と、なんであんなにケンカしたんだろうと笑う。
生まれた国も好きなものも全然違うのに、なんであんなに気があったんだろうと笑う。

指輪は今も13個作られる。それでも失ったものは多すぎて、どうしていいか判らないと言ったのはバーノンで。
壊れてしまったジュンに、それは当然だよと言ったのもバーノンだった。
慰めでもないただの事実を述べただけだっていうバーノンは、そんなつもりはなくても、確実にジュンを救った。

 

後を追う事なんて考えたことはない。と言ったら嘘になる。
死ぬことばかりを考えた日々は確実にあったけど、ジュンの心が暗闇に支配されそうになるたび、ジョンハンと目があった。
当然のように見てくれていた。当然のように目を離さなかった。ただそれだけだとジョンハは笑ってたけど、それは今も変わらない。

 

ディノは何も言わなかった。目を真っ赤にしてたから泣いたんだろうに、ジュンの前では涙を零さなかった。
まだ子どもだったはずの弟が、ジュンに酒を注いでくれる。ちゃんとグラスを3人分用意して。

ウジは今でも、ハオのための曲を作る。
時々は勝手にレコーディングしてたりもする。
失った訳じゃないよと言いたいのかもしれない。
きっと飛び跳ねて喜んでるかもしれない。今も。そこらで。

 

ディエイトは、何度も全員のところにあらわれては「なにいつまで泣いてんの」と言うらしい。「俺がいないとパフォチのレベルが落ちるんじゃない」と言われたとホシは笑ってた。幻なのか、それとも霊的な何かなのか。それとも、皆の思いの強さか......。
でもジュンのところには来なかった。
ジョンハンがディエイトがあらわれるたびに、「ジュンだけは連れて行かないでくれ」って頼んだからかもしれない。

相変わらず、スタミナおばけのジュンがアンコールだというのにコンサート会場を駆けて行く。それでも時折止まるのは、その場に全員の姿が見えるから。
今ならエスクプスが1と言えば、ディノの13までの数字を途切れることなく聞こえるのにと、本気で思える時があるから。
きっとメンバーたちもスタッフたちも、会場を埋め尽くすカラットたちも、そこにいるハオのことを見てる。だから自分にも見えるのかもしれない。
絶対にハオの知らない曲のはずなのに、当然のように歌い踊るその姿に、ジュンは楽しくなって笑ってしまう。
いつか会う。その時に「我爱你」と言ってやれば、いつものように呆れたような顔をするはず。いつか会う。もしかしたら「遅い」と怒られるかもしれない。でも早かったらもっと怒られるのは判ってる。
いつか会う。

僕が死のうと思ったのは
The END
2018moji


[COVER] JUN - 僕が死のうと思ったのは (내가 죽으려고 생각한 것은) (원곡 : amazarashi)

実は......

このカバー曲が出た時、このおはなし、一度書きかけを間違ってUPして、すぐに消したんですよね。なんか、哀しいおはなしだったから。
しかもちゃんとしたおはなしでもないし。でも出しておこうと思ったのは、この一見救いのないようなおはなしだって、私自身は好きだから。かも?
まぁ、たくさんおはなし書いてるから、埋もれてくれるだろうと信じて............。