歌わない死神と、笑わない死神と、どっちにする？
謎な選択肢の前で、ドギョムは追いつめられていた。
死神なら別に歌わなくても笑わなくてもいいようなもんだけど、どっちもドギョムにはなくてはならないものだったから。なんなら歌って踊って笑う死神になりたいぐらいなのに......。
選択肢のように見えて、結局死神しか選べない。歌わないか笑わないかだけで。
「え、でもさ。どっちかは歌えて、どっちかは笑えるんだろ？」ミンギュが言う。
「それに踊っちゃいけない訳じゃないし、笑いは我慢して、歌って踊れる死神にしたらいいじゃん」ディエイトが言う。
「ぇえい、笑わないドギョミなんてドギョミじゃないだろ」そう言ったのはジョンハンだった。
「いや、ヒョンたち、そもそも死神ってところに何か言ってあげなよ」最後に冷静な感じで言ったのはバーノンだった。
まぁそうだろう。すでにみんな、どんな死神かで悩んでたけど、そもそも論、死神なんてドギョムには無理だろうから。
「いやでも、死神って結局、何するんだっけ？」ホシがそう言えば、「ググってみる」とスングァンが言う。
「死を司る神様だって」
ググった結果をスングァンがみんなに教えていたけれど、それで「なるほど」となったりはしなかった。
「でも歌えないドギョミはドギョミじゃないしな」エスクプスが勝手にはなしを戻した。
「そうだよねぇ。でも思うんだけどさ。歌わない死神を選んで歌ったら反則な感じがするけど、笑わない死神選んでうっかり笑っちゃったら、それはしょうがなくない？ だってほら、笑わない死神であって、笑えない死神とは言ってないもん」ヒョンたちをちゃんと見て育ってディノが言う。
「おぉ、賢い」とウォヌが喜べば、「ずる賢いって感じだけど、まぁありだよ」とジョシュアも喜んでいた。
「え、これそんなに真剣に悩むこと？」ってちょっと慌ててたのはジュンだった。
そもそもただのカードゲームだったから。
「ジュナ、お前のカードと交換してやれよ」とウジが言う。ジュンの手にあるカードを知ってるくせに。
でも全員の視線が集まるから、ジュンはそれを見せてやった。
「お、ジュニの持ってるカード、貧乏神じゃん」
ジョンハンが楽しそうに言う。
ホシがまた「貧乏神って何するの？」と言い、スングァンがググる。
「神様なのに居ついた家を貧乏にするみたい」
ググった結果をスングァンがみんなに教えれば、みんなが口々に「それがいい」「交換してもらえよ」「歌って踊って笑える貧乏神の方が絶対いいって」と言う。
だからやっぱり謎な選択肢の前で、ドギョムは追いつめられていた。
歌わない死神と、笑わない死神と、歌って踊れて笑える貧乏神と......。
いやどうせ心配してくれるなら、もっといいカードと交換してくれてもいいんじゃないかって思いながら............。
The END
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