なんでお前ってそんなにカッコイイのとジョンハンが言う。さりげなくサングラスを奪われたけど、クプスはニコニコだった。いやお前チョロすぎだろとジョシュアが呆れてたけど、カッコイイのは事実じゃんとジョンハンが言う。そして買ったばかりのサンダルも奪われた。
「お前バカだろ」
ジョシュアがなおも言う。買ったばかりのサンダルの値段を知っているからだろう。
でもエスクプスはジョンハンとお揃いになるなとか思いながら、買いなおすのは同じ色にするか別の色にするかをすでに悩んでた。
決してムダ遣いをしてる訳でもないし、本当にチョロい訳でもない。最初に自分の分を買う時から、ジョンハンにも似合う色を勝手に選んでる自分がいるんだからしょうがない。
たまに弟たちにも奪われるし、ホシなんて勝手に盗っていってそれを歌にまでしたけど、それだって許せてしまうのは、ジョシュアの言うようにエスクプスがちょっとバカだからかも。
「いいじゃん。ケチケチしてるより太っ腹な方がオトコマエじゃん」
ジョンハンはそう言って笑う。
そう言われるとエスクプスが「ほら」とか言うけれど、ジョシュアに言わせてみれば、なにがほらなんだか......って感じなんだろう。納得できないとばかりに、首をいつまでも振り続けてたから。
「でもヒョンさ、嫌じゃないの? そういうの」
そう言ったのはホシで、曰く、「恋人が誰にでも優しい」みたいなの嫌だって言う人いるじゃんという。
ましてや結構な額、弟たちに貢いでる。
なんならメンバーの兄弟姉妹にも甘いエスクプスだったりする。
「なにがダメなんだよ。全然いいじゃん。もちろんないのに振る舞われたらびっくりするけど、あるんだし」
やっぱりそう言ってジョンハンが笑う。
いやもしかしたらこれ、エスクプスが凄いんじゃなくて、ジョンハンが凄いんじゃないか説が出てきたけれど、そのうちセブチ内では何故か、ジョンハンの趣味が底抜けに悪いんじゃないかって話になっていた。
きっとエスクプスにバレたら盛大に拗ねられるだるけど。
「え、だって本気でオトコマエじゃん」とジョンハンが言う。なんでかエスクプスが照れている。そして買ったばかりのアイスコーヒーがジョンハンの手に渡されていた。
弟たちを代表してドギョムが、「惚れた弱みとか? それとも親バカみたいな感じとか? まさかの、それ、狙ってるとか?」言いながら、ジョンハンの手元のアイスコーヒーを指さした。
ジョンハンが手元のアイスコーヒーをじっと見てちょっと考える。
「いやでもクプスヒョンは、結構ハニヒョンのものも取り上げてるし、飲み物も食べ物もシェアしてるじゃん」
そう言ってフォローしてきたのはスングァンで、「うん。それはそう。俺も結構貰う」とか言ってたのはバーノンだった。
「でもそれならウジヒョンだって、いつもお金払ってくれるし、何か買う時に一緒にまとめ買いしてくれるじゃん」
ディノまでもがそう言って、「ほら、俺このシャツ貰ったもん」と言い出した。
「え、俺貰ってないけど、いつ貰ったのそれ」
ミンギュがそれに食いついて、今日も宇宙工場で働いてるだろうウジに電話をかけ始める。
「いや、別にいいだろ。お前は」
「え、なんでだよ。じゃぁミョンホはいらないいんだな」
「俺の分もあるならいるに決まってるじゃん」
なにやらディエイトとミンギュがやりあっている。でも結局ウジはちゃんと全員分のシャツを手に入れていたらしく、2人揃ってニコニコになっていたけど。
そんなやりとり全部を、エスクプスもニコニコしながら見てる。
「ほら、だからこういうとこも、オトコマエじゃん」
ジョンハンもニコニコな状態でそう言えば、エスクプスがさらにニコニコになる。
それを見てジョシュアが、痛いなお前らみたいな視線を送っていたけれど、何かを奪われてもあげても貰っても共有しても幸せなら、どうしようもない。
遠くの方では「え? なんで俺のはないの? ウジヒョン嘘でしょ?」って言ってるドギョムがいて、なんだか不穏な空気も漂いはじめたけれど、それもこれもやっぱりニッコニコで見てる2人がいた。
The END