俺とアイツとどっちがいいんだよと、エスクプスが睨んでくる。ヒョンは一緒にゲームしてくれるから......って言葉を濁したら、それだけで満足したエスクプスが去っていく。でも5秒後にはミンギュがなんでヒョンを選ぶんだよって走って来る。わざわざ言いに行ったんだろう。
エスクプスとミンギュはよく争っている。食べ物でもゲームでも座り位置でも。負けず嫌いなエスクプスはどっちがヒョンだよと皆から言われても、ミンギュに負けたくないんだろう。
同じパフォチで、何か話し合う時にはいつだって意気投合する2人でもあるのに。
エスクプスはファッションにも拘りがある。ミンギュはよく新しく買った服を見せびらかしに行って、それに触発されたエスクプスがまた新しい服を買って逆に見せびらかしに来て。
小競り合いはあちこちで起こる。それでも本気で喧嘩に発展することもないから気にしてなかったけれど、年を追うごとにエスクプスは幼くなっていくような気もする。
「バーカバーカバーカ」
「バカって言う方がバカなんだよ、ヒョン」
みたいなやり取りが頻発してるから。
年を追うごとにミンギュの方が大人になっていって、そのうち落ち着くんじゃないかと思ってたのに、なんでかミンギュまで最近幼くなってきたのか、「なんでウォヌヒョンは俺って即答しなかったんだよ」って本気で拗ねている。
「別に選んでないって、どっちも。クプスヒョンが勝手に勘違いしたんだよ。それに本気で選ぶならお前に決まってるじゃん」
そう言えばミンギュの機嫌は一瞬で治る。でもそれをミンギュもまた速攻でエスクプスに言いに行くからややこしいことになるけど。
廊下を走ってくる音がして、ドアが勢いよく開けられる。
「ヤー、なんでお前さっき俺って言ったじゃん」
そうプンスカ怒ってるのはエスクプスで、ウォヌは思わずため息を零しそうになった。
終わりなき小競り合い過ぎて。
「クプスや〜。クククククプスや〜」
あんまりにも弟たちに迷惑をかけてると、どこからかユンジョンハンがあらわれてエスクプスを回収してくれる。謎な呼びかけなのに、なんだか物凄く嬉しそうな顔をしてエスクプスはユンジョンハンについていく。
はぁ、一番上のヒョンなのに。なんだあれは......。みたいな気持ちになるけれど、でもウォヌは知っている。
ユンジョンハンと弟たちの誰か、どっちを選ぶって聞いたって、エスクプスはいつだって弟たちを選ぶってことを。
お互いがお互いを、12番目だと思ってる。
ミンギュもそれを知ってる。だからこそ本気でいつも争ってるのかもしれない。
最近では統轄リーダーっぽいことは全然してない。みんなでご飯の時だって、大抵はウジがカードを切ってくれる。ミンギュ以外では、ホシとも何かを獲ったり獲られたりで争っている。盛大に拗ねてることもあれば甘えてることもあれば、なんでか本気でダダを捏ねていることがある。
マンネなディノすら呆れ顔で、「クプスヒョン......」って言葉を失ってる時がある。
それでもみんな、知っている。
ウォヌが知ってることは、当然のように全員が。
何かがあった時には当然のように駆けつけてくれて、助けにきてくれて、抱きしめてくれて、守ってくれて、耐えてくれる人だってことを。
だからみんな、一番上のヒョンなのに......って残念そうな視線を送ることはあっても、嫌いになんてならないし、なんならそんな姿だって愛おしいし。
まぁでも一緒にゲームをしてたら、さらに盛大に煩いけど............。
一番上のヒョンなのに............。
The END
1502moji