俺お前にちょっと飽きてきたかもとかウォヌが意地悪キャラを出してきた。でもミンギュは笑って、でも今日も俺の作ったラーメン食べるだろと言えば、ウォヌは当然のように頷く。
朝起きると、ミンギュがいる。
まぁ一緒に暮らしてるからだけど。
2人で寝ても余るぐらいのベッドの端と端。それなら別々に寝てもいいのにと思うけど、ミンギュは一緒に寝たがる。
でも暑がりのミンギュは、春先から大分寒くなるまでは、くっついて眠っても結構すぐに離れてく。
それを指摘したら、物凄い悔し気な顔をする。
「別にいいよ。別々に寝たって」
ミンギュが言う。ちょっと悲し気な顔で。
それに「なんで?」って言ってやれば、ちょっとだけ戸惑いながらも、すぐに笑って「別に」って言ってくる。凄く嬉しそうな顔で。
結構長く一緒にいるっていうのに、そんなやり取りが嫌いじゃない。
「サンドイッチ食べたい気分」
突然そう言ったって、「卵の? それともサラダ系の?」って普通に聞いてくる。
よっぽど真夜中から仕事でもない限り、ミンギュは2人のための朝食を作ってくれる。
昼だって夜だって夜食だって、きっとタイミングさえあれば作ってくれるし、2人とも疲れてる時はお互いの好きなものばかりの出前を頼んでくれる。
好きとか愛してるとか。そういうこと以前に居心地がいい。
だから長く一緒にいられるんだとウォヌがミンギュを見ながらしみじみしていると、「なに? イイ男だって?」とミンギュがニヤリと笑う。
確かにそれは嘘じゃない。だから頷いてやれば、なんでか照れてどっかに逃げてった。
洗濯機の音がする。そして気づけば洗濯が終わってる。
事務所を通じて頼んでるから、信頼のおける人が週に1度は通ってきてくれるっていうのに、ミンギュはいつだってある程度のことはやってしまう。
疲れてヘトヘトになった時でも、シャワーの後にはなんでか排水溝の掃除までする。
ウォヌが気づいてないことはもっと山ほどあるだろう。
夏になれば冷蔵庫の中には、おしぼりが作られる。それ用のタオルをわざわざ用意して、帰って来た後に絞ってそれを差し出してくれる。シャワーの後とかにも。
透明な氷とか、カカオの配合の高いチョコが一口サイズになって冷凍庫に入ってたり。
同じだけ活動して、同じだけ体力を使ってるはずなのに、ミンギュは2人の生活の中に小さな幸せをたくさん用意する。それを無理してやることもなく、普通の顔してやっている。
夏になるとミンギュは暑がりだから、冷房をガンガンにかける。
風呂上りとか外から戻って来た時にはありがたいけれど、ウォヌにしてみればすぐに寒くなる。
抱き合って寝ててもすぐに離れて行くけど、夜中に背中からピトってくっつけば、夏だというのに温かくてほっこりする。
「ウォヌヒョン寒いの?」
そう言いながらミンギュが抱きしめてくれる時もあれば、気づかない時もあるけど。
そしてミンギュは今日もラーメンを作る。毎日じゃないけど。
もやしを入れてくれる時もあれば、半熟卵の時もあれば、野菜たっぷりだったり、もうほんとに麺しかない時だって。でもいつ食べても美味いけど。
「愛情じゃない?」
ミンギュが結構真剣な顔をして言う。
「いやこないだチャニが作ったラーメン食べたら凄い美味かったし」
ウォヌがそう言ってやれば、ミンギュはちょっと悔しそうな顔をしてた。
あぁでも愛情かもしれない。もしかしたら。本当に。
こんなに毎日毎日、本当にずっとに一緒にいられるんだから。
The END
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