妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

ある意味理想のブスングァン

 

ジョンハンがはじめて助手席に乗った時。
「落ち着いて」って自ら言ったスングァンが、物凄い真剣な顔をして、物凄い怖いことを言った。
「いい? ハニヒョン。万が一にも俺が事故を起こしても、逃げちゃダメって言ってね。慌てふためいて止まれないかもしれないから、落ち着いて、止まれって言ってね。逃げたら罪は重たくなるから。ね?」
ね?って言われても......って思いつつも「わ、判った」って言ったジョンハンは、それで自分がかなり緊張したのが判った。
それに免許取り立てだからか、「大丈夫。習った通りにすればイケる」とかスングァンが言いながらエンジンをかけるもんだから、かなりドキドキした。
でも覚悟を決めた分だけ、思った以上にちゃんと運転してたって感想を口にしたのに、後日それをエスクプスにもジョシュアにも怒られたけど。どこがだよ............って。

 

次にジョンハンがスングァンの車に乗った時、助手席にいたのはエスクプスで、後部座席でジョンハンの隣りにいたのはジョシュアで、免許を取ってからしばらく経ってたっていうのに、スングァンはその時も「ヒョンたち、いい?」と、逃げないように言ってねと言い出して、本気でエスクプスのことをビビらせていたけれど、滅多なことじゃ驚かないしビビらないし怒ったりもしないジョシュアのことを、その日スングァンはモノノミゴトに驚かせ、ビビらせ、怒らせていた。

いやでも、その時にはジョンハンだってビビったしエスクプスだって叫んでいたから、ジョシュアだけがって事では決してなかったけど、それはたまたま、坂道で止まった時のこと。スングァンはなんでかブレーキを踏まずに、ちょっと下がりそうになればアクセルをちょっとだけ踏んで、ちょっと下がればまたアクセルを踏んで。坂道でその場にいるための調節を、地味にしはじめた。
最初それを3人とも、スングァンが笑わせようとやってるんだと信じて疑ってなかったのに、「お前そんなことせずにブレーキ踏めよ」ってエスクプスが言った言葉に、「あぁそっか。ブレーキか。坂道で同じ場所キープするの、難しいなって思ってたんだよ。そっかぁブレーキ踏めば良かったのかぁ」ってスングァンが言ったから。

しかもその後、ブレーキをしっかり踏みながら、足をアクセルに乗せ替えるだけだっていうのに、なんでか左足でブレーキを踏み、右足でアクセルを踏み、フカしながら急発進するっていう「いやそっちの方が難しいわッ」ってエスクプスが叫び、「お前に免許を渡した教習所はどこだ言ってみろッ」とジョシュアが叫び、「ひゃーッ」って本気で変な声の悲鳴をあげてしまったのはジョンハンだった。

 

スングァンが運転する車で撮影をするって話があがったけれど、3回ぐらい流れた。
それはスングァンが運転するとトロいから。
いや、安全運転は大事で、ジョンハンだって弟たちが免許を取るたびに、そんなに飛ばす必要なんてないとか、安全運転だとか、疲れてる時に運転はするなとか、いざとなったら代行を頼めとか、山のように口をすっぱくして言ってきたけれど、スングァンは遅すぎた。逆に危ないんじゃないかってぐらいにトロいし、街中ではクラクションを鳴らされまくる。
さすがにその状態で撮影は難しくて、途中でミンギュだとかエスクプスだとかが運転を変わるはめになっていた
1人ドギョムが、俺が一番下手じゃないんだって喜んでいたけど、スングァンは何故か前向きで、まだ慣れてないだけだもん......と落ち込むこともなかった。
でもディノが「ハニヒョン、俺、渋滞が生まれる瞬間、はじめてみた」と言って来た時には、クラクラしたけれど。前はどこまでも路が開けているのに、スングァンの車の後ろには渋滞ができはじめていたらしい。
2車線だったけど、たまたまパトカーが近くを走っていたために、乱暴に抜かしていく人もおらず、クラクションを鳴らされることもなく、物凄い怖い景色だったとディノですらビビってた。

 

当然だから、スングァンの運転する車に同乗したがる面子はほとんどいなかったのに、さすがソラブーと言われるだけはあるのか、バーノンは「別に急ぐ旅でなし?」とか言いつつ助手席に乗って出かけて行くことが多かった。
スングァンはそれをドライブデートだと喜んでいたし、バーノンは好きな音楽を流してくれれば文句なんてないとばかりに、そのトロさ加減とか、運転技術の足りない部分は気にもしていなかった。
ジョシュアなんてバーノンのことを本気で尊敬していたけれど、残念ながらバーノンは助手席にいても役には立たない。
「ここ、曲がりにくそうだから違う道探す」
そんな不穏なことをスングァンが言ったって、「クレ」って軽く返すだけ。
横にいたって道の先まで見てくれる訳でもないし、ナビをしてくれる訳でもないし、カーナビを横から操作してくれる訳でもない。本気で乗ってるだけだから。
で、「は? どこにいるって?」って、スングァンからかかってきた電話で慌ててたのはエスクプスだった。
「ヤー、なんでお前らそんなとこにいるんだよ。は? バス? は?」
横で聞いてても全然意味なんて判らなかった。
でも後から聞いたところによると、運転に必死でカーナビを見る余裕もなかったスングァンは、「バスの後ろをついて行けば、知ってる駅とかに出るでしょ絶対」とか言って、バスの後ろをついて行ったらしい。
バーノンは隣りで、「おぉ、ナイスゥ」と言ったとか。
で、2人は何故か今、どこかのバス会社の車庫に行きついたって話だった。
そりゃエスクプスだって「は?」って言うだろう。
電話の向こう側からはバーノンの声で、「ヒョン、腹減った~」って、焦ってもない声が聞こえてきた。「ヒョン、暗くなってきたから俺もう運転無理かも~」って言う、スングァンの声も。
「お前に免許を渡した教習所はどこだ言ってみろッ」って、一緒にいたジョシュアが珍しくもまたキレていた......。

エスクプスはタクシーに乗って迎えに行き、運転して戻って来た。
帰りに2人に肉を食わせたらしく、帰って来た時には2人とも後部座席で爆睡してた。
それ以来ジョンハンは、「バスにはついて行くなよ」って謎な注意もする羽目になったけど、スングァンはやっぱり前向きで、「午後早めまではあの作戦上手くいくんだって」とか言っていた。
いや、そんな作戦で街中を走ろうとしてるあたりで、全然ダメなんだけど......。

The END
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