妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

戦い敗れて byヒーローだって色々ある

ヒーローだって色々ある

※ヒーローだって色々あるcontentsページ。別に順番に読まなくても平気だと思われるけど。

sevmin.hateblo.jp

 

戦い敗れて

ディノはその日、ヒーローたちの中でもまだ年若い人ばかりを集めた新人研修なるものに参加していた。
色んなヒーローたちが集まるからと、ちょっとウキウキで参加したけれど、「あぁ、お前、あの大人数のとこの」とか、「まとまりのないグループだろ」とか、「で、結局お前んとこ、何人いんの?」とか。ディノだってバカにされてるんだろうなってことが判るような態度と言葉に、ちょっとだけ傷ついていた。
それでも、大分田舎の山の中にあるような場所で、コンビニも近くになくて、「ヒーローの研修でなんでカレーなんて作ることになるの?」っていう不満タラタラな声もたくさんあったけど、ディノは同じ年代の人たちと一緒になれて嬉しかった。
一応マンネライン全員参加だったけど、バーノンとスングァンはいなかった。
正確にはバーノンが寝坊して、「ボノニのこと迎えに行ってからそっち向かう」とスングァンが言ったから。でも「俺たちは新人じゃないけど」とも言っていたから、来ないかもしれない。
ディノに対してバカにするようなことを言った人も確かにいたけれど「気にするなよ」「色々だし、それぞれだろ。そんなの」と言ってくれる人たちもいて、少しだけできたチングたちと楽しんでたから全然大丈夫だったのに、なんでか悪の結社の人たちに襲われた。そして占拠された。
全員ホンモノのヒーローたちだったから、立ち向かおうとして殴られてケガを負った人たちもいる中で、ディノは一番に両手をあげたかもしれない。
レーザービーム的なものとか、電撃的なものとか、必殺技なものとか。ホンモノのヒーローたちは諦め悪く頑張ったけど、それでも負ける時は負ける。みんないつもの仲間が側にいなくて、連携とかが取れなかったからかもしれない。
全くの無傷はディノぐらいだった。女の子だって戦っていた。だから結構周りからの視線は痛かったけど、ディノは気にしなかった。
戦っても勝てないなら、さっさと負けていいとヒョンたちに教わってきたし、ディノもそれが正しいと思っているから。
無駄な戦いを避けただけで、それで負けた訳じゃない。ディノがピンチになれば、絶対にヒョンたちが助けに来る。それだけは確かで、ディノはそれを知っていたから。
悪の結社の人たちの目的は、ヒーローたちの弱体化らしい。なるほど。
確かに卑怯な感じが悪の結社っぽい。
だけどディノたちが捕まってから僅かに2時間後ぐらいにディノを助けにきたヒョンたちの方が、遥かに悪の結社っぽかったけど............。
「チャナッ! 助けに来たぞ!」
そうカッコ良く飛び込んできたのはムンジュニだった。すぐ後ろにはディエイトがいて、ディノは喜んだ次の瞬間には、ちょっとだけ「あ」って思ったほど。何せ危険なコンビだから。
「ハニヒョンが皆殺しでいいって言ったけど、大丈夫か?」とジュンが言う。
「お前以外全員な」とディエイトが続けた。
ディノ以外皆殺しになんてしたら、せっかくできたチングだって、仲良くはまだなってないし悪口を言われた気はするけれど、そんなヒーローたちだって、もしかしたら今後仲良くできるかもしれない女の子たちだって、悪の結社もろとも............になってしまう。そしてそれを、ジュンとディエイトならやり遂げそうだった。
「ア、アンデ。ヒョンッ、皆殺しはダメだよ。ヒーロー側は全員助けてよ」
助けが来たと喜んだ顔を見せたヒーローたちが、そのやり取りに言葉を失う。ディノが必死な感じでダメだと言うのがまた本当臭かったんだろう。
「心配はいらないぞ。ウジがちゃんと、ワルモノの爆発に巻き込まれたテイでイケるって言ってたから」
「証拠隠滅は確実にできる」
ジュンは心配いらないと言い、ディエイトが証拠隠滅は確実だと言ったけれど、ディノはそんなこと、心配もしてなかった。
「アンデアンデアンデアンデ。ヒョンッ! せっかくできたチングなんだよッ!」
ディノが必死にそう言えば、ディエイトが「チッ」って舌打ちをした。まるで面倒だなとでも言うように。
「ディノが皆殺しはダメだって、チングができたらしい」
ジュンがそう、外にいる他のヒョンたちに連絡を取る。でもそれで作戦は皆殺し+ディノだけ救出から、仕方ないからディノ以外も救出する方向に変わったらしい。
「ディノや、チングたちのロープを外して回れ。攪乱にホシが来るぞ」
ジュンがそう言って、ディノにナイフを投げて寄こした。
「え、ホシヒョンが?」
ディノが驚きながらもチングたちのロープを外してる間にも、雄叫びとともにホシがやって来て、驚く敵と、もっと驚いてるヒーローたちの間を縦横無尽に駆けまわってる。ロープを外されたチングたちは当然ホシの勢いに驚きはしたものの、そのホシについて逃げなきゃいけないんじゃないかと思ったらしい。
「アンデアンデアンデ、ホシヒョンはただ走り回ってるだけだから、ついて行っても意味ないから」
当然ディノは必死に止めた。
そうこうしてる間にも、ジュンとディエイトが戦いはじめる。皆殺しを考えていただけあって、やっぱり強い。
「ディノやッ。皆殺し中止だって? でも、全員チングって訳でもないんだろ?」
そんなことを言いながらも、謎に長い棒を担いで入って来たのはミンギュとドギョムで、2人はただただディノのチングに「弟をよろしく」って言いたかっただけらしいが、その言い方だと「チング以外は別にいいんだろ」と聞こえなくもない。
悪の結社から逃げなきゃいけないっていうのに、捕まってたヒーローたちが一斉にディノの後ろに隠れようとして移動する。
いやもう敵はどっちだ状態になっていた。
「チャナッ」
そうしてたらスングァンが駆けてきた。
普段はディノと張り合ってばかりのヒョンだというのに、ちゃんと心配もしてくれたようで、「ボノニと後から来たらお前らが捕まっててビビったんだぞ」と言っていた。
「うん。でもチングができたんだよ」と言えば、ディノ以上に嬉しそうに笑ってくれたけど。
「ディノや。大丈夫か? 俺が寝坊したから、ごめんな」
バーノンもやって来てそう謝ってくれたけど、でもだからこそ助けた来たとも言えるから、寝坊サマサマだったかもしれない。そう言えば、周りはバタバタしてるのにバーノンは爽やかに笑ってた。
結局、敵は逃げてった。
ウォヌヒョンがやって来て、「ウジや。ディノのチングはだいたい把握したから、それ以外の皆殺しイケるかも」とか、無表情で言ったからかもしれない。
敵に逃げられてディエイトは真剣に悔しがるし、敵がいなくなっても走り回ってたホシは最終的には「ホシヒョン帰るよ」とスングァンに言われてたし、エスクプスとジョンハンが最後にやってきて、「皆殺しだったら簡単だったのにな」とか、「助けたヒーローたちのところに、ウジが適当に請求するって言ってたから、まぁいいだろ」とか、全然ヒーローらしくないことを言って、ディノの後ろにいたヒーローたちをビビらせていた。
ヒーローなのにヒーローの名乗りもしないグループだとか。
ヒーローなのに皆殺しをしようとするグループだとか。
ヒーローなのにお金を請求するグループだとか。
きっと色々言われるんだろうな......とは思うけど、ディノにしてみれば自慢のヒョンたちだった。
「チャナ、帰るぞ」
エスクプスが言う。なんだか悪玉の総大将みたいに見えなくもない。
もしかしたらせっかくできたチングも、ちょっとだけディノと距離を取るかもしれないけれど、でもやっぱり......。
「ところでミンギュヒョン、その長い棒なに?」
担いできたそれを、ミンギュがしっかりと担いで帰ろうとしてるから聞いたら。
「判んない。ウジヒョンが持って行けって言うから持ってきただけど」
「あぁ、それな。なんかほら、近未来な映画とかで赤い線が出てきて人の身体が切れるヤツあるじゃん。あぁいうレーザー光線が出るって言ってた。それなら静かに皆殺しができるからって言ってたよ。確か」
走り回ってたはずなのに息切れもせずに、ホシが怖いことを言った。
「嘘でしょ? 冗談だよね?」
ディノは嘘じゃないだろうなとは思いつつもそう言った。だってせっかくチングができたのに......。
敵は蹴散らしたしディノは助かったけど、友達は失ったかもしれないディノだった。

The END
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