ヒーローだって色々ある
※ヒーローだって色々あるcontentsページ。別に順番に読まなくても平気だと思われるけど。
戦わないヒーローだっていたりする
ディノはずっと、ホシは強いと思ってた。
どんなに戦う相手が強くたって、怖そうだって、敵の数が多くたって、そのどんな時でもホシは先陣を切って駆けて行くから。
戸惑いも怖じ気づくこともなく、いつだってカッコよく笑って、「行くぞッ！」って。
その動きは俊敏で、敵だって一瞬慄いて動きを止めてしまうほど。
「いやまぁ、うん。そうだね」
ディノが物凄くホシのことを尊敬してると言った時、なんでかジョシュアは言葉を濁したけど、ディノだって戦ってるし、戦闘中は基本バタバタしてるし、すべてが終わった時にはあちこち結構な残骸とかもあって。
そんな中でもホシはやっぱり、1人元気で楽しそうで、やってやったぜ感が出ていた。
「うぅぅぅぅん、まぁ、ホシヒョンはそうだよね。いないと困るよね」
ディノが物凄くホシの存在はありがたいよねと言った時、なんでかスングァンはうぅぅぅぅぅんと言ったけど、スングァンは基本ムンジュニ推しだからだろうと思ってた。
「あ？ アイツのどこが？」
ディノが物凄くホシのことをヒーローの鏡だよねと言った時、なんでかウジから真っ向否定されたけど、ウジとホシはいつだってなんだかんだと言いあっているから、素直じゃないんだなって思ってた。
「ディノや。お前、まだまだだな」
ディノが物凄くホシみたいになりたいって言った時、エスクプスは笑ってそう言った。いや確かにまだまだだから、しょうがないけど。って、素直に思ったディノがいた。
みんなそれぞれ、色んなことを言ったけど、でも基本優しいからディノの夢は壊さないでいてくれたというのに、「ホシがまともに敵を倒したの、俺、見たことないけど」とド直球に言ったのはジョンハンで、「あぁ言っちゃった」って言ったのはウォヌで、「役に立ってる時もあるよ」と言ったのはジュンで。でもディエイトがバッサリと「邪魔じゃん」とか口にして「あちゃ～」って言ったのはミンギュだった。
ディエイトがバッサリ過ぎたからだろう。
まぁでも最後にバーノンが「こないだ俺にぶつかったけどね」とか言うもんだから、確かに邪魔になってる時もあるらしい。
なんだかディノのイメージとは大分違う。だけどジョンハンが「いいから一度、ホシのこと見とけよ」と言うから、ディノは先陣を切って駆けて行くホシを見てた。
ホシは駆けて、駆けて駆けて駆けて、駆け抜けて。物凄い勢い良く走り抜けて行った。どこに行ったかは判らない。でもしばらくしたら戻って来て、また駆けて駆けて駆けまわって、時折確かに戦う仲間の邪魔になっていた。でもまぁ、攪乱にもなっているかもしれない。
時々立ち止まっては、興奮してるのか雄叫びもあげていたけれど、基本はあちこち駆けまわってるだけだった。
そしてなんだか意気揚々とやってやったぜって感じで戻って来てた............。
武器を出すこともなく。必殺技を繰り出すこともなく。なんなら敵なんて1人も倒してない。
おかしい。ディノにとっては尊敬するヒーローで、ヒーローの鏡のようなとまで思った人だっていうのに。
「ホシヒョン............。戦ってないじゃん」
思わずディノは呟いていた。いやでも、いざとなったら、本気だしたら、実は影では。ディノはまだ信じてるけど、それ以降もホシがまともに戦ったところは一度も見たことがない............。
The END
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