妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

セカイノカラクリ

 

ディエイトの部屋には年代物のワインがあって、それに良くあうワイングラスをプレゼントしたジョシュアは、時々そのワインを一緒に楽しむためにディエイトの部屋を訪れる。
もちろん片手には美味しいチーズだったり、クラッカーだったり、時折は甘いものだったりを持って。

ディエイトとはお互い外国人同士ではなしもあう。
色んな世界の話もしたり、時々は政治の話もしたり、歌や踊りや、自分たちの話だって当然する。

「ねぇヒョン。どうでもいいけど、なんで、結構いい部屋で暮らしてるはずなのに、こんなに寒い部屋と暑い部屋がある訳?」

ある時ディエイトが、真剣な顔をしてそう言った。
いやまぁ、ジョシュアもそう思う。
昔は13人が一緒に暮らしていて、そこはそれほど大きな建物でもなくて。だからボイラーの調子はいつだって不安定で。だからこそ、絶対良い部屋にいつかは住むぞって気持ちだってあったというのに、結構な良い部屋に住んでる今だって、部屋によっては暑いし寒いし、ボイラーは時々不調になる。でもそれを、韓国人メンバーは普通な顔してやり過ごしてる。あの寒がりなジョンハンだって............。

だから2人は時々こうやって顔を寄せ合って、文句を言うのだ。
全然当たり前じゃないことが、当たり前って顔でのさばっていることに。
ジュンだって本当はここに混ざってもおかしくないのに、ジュンは普通の顔して毎日過ごしてて、他のみんなが文句を言うようなことでも平気な顔して笑ってるから、文句なんかはないみたいだった。それはそれで不思議だったけど。

「海城、良かったな。完成前のだけど、MV見たよ」

そう言えば、ディエイトが物凄く嬉しそうに笑ってた。
今回は相当ウジに無理を聞いて貰ったというが、1年以上前に一緒に飲んだ時には、「ウジヒョンに、俺の歌は作ってもらえないかも」って落ち込んでた時だってあったのに。

「そんなことないだろ? 言ってみればいいのに」
「もう言った」
「で?」
「おぉ、いつでもいいよ。って、ウジヒョンは毎回言ってくれる」

だけど何もはじまる雰囲気はなく、好きな色とか雰囲気とか歌詞とかを伝えても、「いいじゃん」って言うばかりだとディエイトは凹んでた。

最終的にはなんだってモノにしていくディエイトの、はじまりを見るのは楽しくて、ジョシュアは思わず笑ったのを覚えてる。

「ウジを攻略したいなら、ホシにまず相談するのが早いだろ」
「ホシヒョン?」

だって週に1本ぐらいの勢いで、ホシの曲ができてる気がする。物凄いくだらない曲も含んだら。そう笑って教えてやれば、ディエイトが目をキラキラさせていた。

2人で飲むたびに、まぁ時々はお茶の日もあったけど。ディエイトが状況を教えてくれた。
ホシが教えてくれたことと言えば、「作業部屋でウジの椅子をまずぶん盗るんだよ」という、絶対ウソっぽいような話だったりしたけれど、本気でそれをすれば、呆れながらもウジはディエイトのための時間を取ってくれるという。

「ちょっと手を使う系の食べ物を与えること」

そんなコツを教えてもらって実践したら、その間はパソコンやキーボードを触らないから、ディエイトが口にした単語や音の感じをウジは真剣に考えてくれるらしい。
もちろん色んな仕事をしてるウジの邪魔ばかりはできないから、すべては少しずつ進んで行ったけど。

何故かホシが「攻め時があるんだって。誕生日の1か月前ぐらいにな。誕生日はこの曲完成させて欲しいって、ド直球勝負なんだって」とか教えてくれたらしい。

頑張っているところを人に見せるのが苦手な自分とは違って、ディエイトはある意味、自分が願う世界を手に入れるためには手段は選ばないし、その姿を誰に見られても構わないと思ってる。いやきっと、見られてることすら気づいてないほど、必死になって頑張っている。

尊敬の念も込めてそう言えば、「でも俺もヒョンも、たどり着く場所は一緒じゃん。それに、俺ができることはヒョンもできるじゃん」とディエイトは言うけれど、それは全然違う気がする。

なんでかディエイトが必死に手を伸ばしてつかみ取ったものは、ディエイトの血と肉にしっかりなっている気がするから。

「いいか。ここからは泣き落としと我が儘と無理難題を駆使していけ」

と、謎なことをまたホシから言われたらしい。
でもあっさりと納得して引き下がってしまうんじゃなくて、まだまだ、もう少し、もうちょっと、あとちょっとと縋り付けばつくだけ、最終的にはウジの方が本気になるんだとホシが言えば、ディエイトも言われた通りに頑張っていた。
そして気づけば、大分時間をかけていた曲が出来上がっていた。

「当たり前だけど、思ってるだけじゃダメなんだね。それを口にして伝えなきゃいけなくて、でもなんだか、ウジヒョンは知れば知るほど不思議なんだよ。ホシヒョンがなんであんなにウジヒョンを理解できてるのかが、判らないよほんと」

ディエイトがしみじみ言うけれど、ジョシュアだって判らない。
忙しいはずで、自分だって時折は疲れることがあるのに、確実に自分たち以上に働いているはずのウジは、「ごはんごはん」と言うのはよく聞くけれど、疲れたとは滅多に言わない。
作業室に行けばいつだって機嫌良く迎え入れてくれる。
いつだってディノに踊りの細部を教えてもらってる自分とは違って、気づけばウジは踊れてるのに。

でも言い始めればホシだって同じで、いつの間に色んな曲の振り付けを考えているんだかって感じ。気づけばウジの作業部屋でふざけて自分の曲まで作ってるっていうのに。パフォチが駆り出されることもあるけれど、パフォチだってヘロヘロでヘバってる時には謎に96ラインが駆り出されていることも知ってる。

「いや俺もパフォチだけど?」

そう言いながらもホシによって連れ去られるジュンをよく見るしとディエイトが言えば、ジョシュアが「95ラインに声がかからなくて良かったよ」と言いながら笑う。
なんだかんだとウォヌとジュンもあの2人に付き合っても平気な顔して過ごしてるしなと、褒めながらも結果、「96ラインは不思議と変態の集まりなんだよ」ってことでまとまった。
それでもディエイトの中ではウジの攻略方法がなんとなく判って来たというのに、ある日ホシが言ったという。

「ウジがバージョンアップした............」

それがどうしてホシに判るのかも謎だけど、バージョンアップなるものがあるってのも謎だった。だけど確かに、今までの法則が通じなくなったという。
ディエイトが頭を抱えてる横で、ジョシュアは驚きながらも笑ってた。
だってそれぐらいでないと、セブチはこれだけ色んなことをやって来れなかった気もするから。
そう言えば、そうかもってディエイトも納得してたけど、思わず2人でワインを1本空けた夜だった......。

The END
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