途中何か食べて行こうと言ったのはジョンハンで、だからって訳じゃないけど車の進むスピードは早かった。
でももう誰も心配しない。助手席にはジョシュアがいて後部座席にはウォヌがいて、全員運転ができる。その運転技術も見ていて安心感もある。何かトラブルが起きても落ち着いて対処もできそうで、なにより無理も無茶もしないことは判ってるから。そして本気でヤバい時にはちゃんとヘルプとも言えるだろう。
そういう意味での安心感がハンパない3人の旅はサクサクと進む。
後部座席ではウォヌがクユズ同士でカトクをしていて、スングァンとドギョムが乗る車の情報も逐一入ってきてた。スピードは相変わらず出せないらしいが、問題が起きたりもしてなさそうだった。なにより楽しそうではあるらしい。でもいざとなればジュンがいるし、何かあれば絶対にジョンハンに連絡をくれるドギョムがいる。
ウジとホシが乗るディエイトの運転する車もまた順調らしい。こっちも心配する必要はないだろう。ハンドルを握ったら人が変わるだろうと揶揄われてたディエイトは、ハンドルを握っても紳士的で優しい運転をするから。そしていざとなればホシがいるし、免許は持ってなくても的確なウジもいる。
残るもう一台はミンギュが運転するエスクプスのところで、バーノンとディノも乗っている。途中まではスングァンのところを気遣ってしんがりを走るらしいが、スングァンからドギョムに運転を変わったあたりで、買い物のためにも速度をあげる予定だとか。マンネラインの2人だけならドキドキしまくっただろうが、エスクプスとミンギュがいれば何も心配はないだろう。
結局買い物まで引き受けていたミンギュだったけれど、それだって何も問題ない。
買うのを躊躇することもないだろうし、書い忘れもないだろうし、必要なものを必要んだけ買うだろう。いやもう安定しかない。
時折助手席のジョシュアがエスクプスにカトクを送って状況を確認していたけれど、やっぱり順調以外のなにものでもなかった。
「俺らが、このままじゃ一番じゃない?」
助手席でナビをするといいつつ結局何もしてないジョシュアが、当たり前なことを言う。
「まぁな。でも途中で何か食べるから、抜かされるだろ」
ジョンハンはそう言ったけど、あまりにも早かった。
途中で確かに何かを食べて行こうと言ったのはジョンハンだったけど、飲もうと言ったのはジョシュアだった。
「え、運転変わるって言ってなかった?」
「だってウォヌがいるし」
「俺ら最初に撮れ高おさえとこう」
アイドルも長いとそうなるんだろう。
きっとたどり着いてしまえば全員でわちゃわちゃとして、歌ったり騒いだりと大変だろう。その中で撮れ高に気を使いながら動くのも面倒だなと、ジョシュアが言うのに一理あるって感じで頷いたジョンハンだった。
1人カトクに忙しいウォヌは、自分が次の運転手になったことを聞いてるのか聞いてないのか判らないけれど、別段何も言わなかった。
店に入ればカメラの前でちゃんと2人で小芝居もした。ウォヌはそれを笑って見てるだけで、やっぱり何も言わない。
乾杯もしたし、飯は美味いし、酒も美味いし、撮れ高もゲットしたし。
店を出れば当然のようにウォヌが運転席に座る。
「やー、お前やっぱりイイ男だな。あいつには勿体無いな」
酔った勢いか、細かいことは気にしないのか、ジョンハンが言う。
「やー、カット部分が増えるだろ」
ジョシュアが文句を言うのに、ウォヌはやっぱり笑ってるだけだった。
でもそんなの............。
しばらくしてジョンハンがウォヌにジャレついていた。飛び切り可愛く。
それから「これでいいだろ。お釣り来るだろ?」とも言っていたから、酔ってはいても計算だろう。
そしてその場面はジョンハンの予想通り、バッチリ使われていたけど............。
The END
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