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SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

社内恋愛がはじまる世界線8 地下ボイラー室の秘密編

注意......

続きものだけど、別に前を読まなくても読めるかも。
そしてはじめに諸々書くのが面倒になってきたので、contentsを作った。

sevmin.hateblo.jp

 

社内恋愛がはじまる世界線8 地下ボイラー室の秘密編

社内の便利使いみたいな仕事を一手に引き受けていたドギョムは、相変わらずボイラー室に勝手に住んでいた。誰も文句も言わない代わりに誰も訪れもしない場所だったというのに、今では当然のような顔でジョシュアがやって来る。
そして時々はドギョムがいない間にもやってきて、勝手に持ち込んだベットで惰眠を貪っている。
嬉しいから、全然いいんだけど、馘にならないかだけが心配だった。
2人が密かに付き合いだして、結構な時間が過ぎたけれど、ドギョムはジョシュアの家すら行ったことがないし、ご飯を食べに会社近くの店に行くことはあっても、どこかに出かけたこともない。
普通なら遊ばれてるとか騙されてるとか疑ってかかるところだけれど、ドギョムは誰かと付き合ってる自分ってものに、満足していた。
各部署にコピー用紙を持って行くのだって、コピー機の紙詰まりを治すのだって、前よりもウキウキしながら働いている。
ちょっとだけジョシュアが自分のことを負担に思ってるのもドギョムは知っていたけれど、でも、付き合うことはやめたくなかった。
誰かに送ったカトクが既読になるだけでも嬉しいのに、時々貰える返事に飛び上がりそうになるぐらい嬉しさが込みあがるから。
「昼は一緒に食べよう」
たったそれだけの、同じ会社で働く相手になら、誰だって送るような内容のカトクが嬉しくて、ドギョムは今日も働く。
昼って言ったって時間は押してばかりだし、時々は「ごめん急な打ち合わせが入った」と言ってキャンセルになることもあるし、トラブルが発生すれば連絡だって来ないこともある。
それでも同じ会社にいるからこっそり見に行けば、いつだってジョシュアは優しく笑ってて、どんなに大変でもバタバタしてる素振りもなくスマートに働いていた。
そんな姿を目の端に捉えるだけで、ドギョムはウキウキする。ちょっとだけ自慢な気持ちにもなるし。それからちょっとだけキビキビとコピー機の不調を直したりして、自分までもが出来る社員のような気持ちになって。

時計を見れば14時を過ぎていた。
まだ昼は食べてない。
ドギョムには後で連絡すると言ったまま、大分経っているけれど、カトクを見ても「まだ?」の一言もない。
「本気で付き合うつもりかよ」
エスクプスはそう言って驚いていたけれど、「別にいいだろ」と笑っておいた。
会社の中で明らかに異質で、なんでか冷遇されている。その理由が会社を経営しているドギョムの家族たちが、冷遇しているから......っていう、冗談みたいな理由が主だった。
バカにしても誰も文句の言わない人間がいて、その人間がほどよく使えなくて本当にバカっぽく見えて、冷遇したままでも誰も何も言わないとなると、どんな人でも冷淡になれるのかもしれない。
でも、ドギョムはバカじゃない......と、ジョシュアは思っている。
地味な仕事をコツコツとできる人間は、働き方や学び方のコツさえ掴めば小手先で仕事をする人間よりも伸びるだろう。
それに要領さえ掴めば、ドギョムの仕事は早くなった。もちろんそれはジョシュアが手を抜いても問題ない場所を的確に教えたからだけど。
ただドギョムは、それで空いた時間にサボる訳でもなく、自分のために使うでもなかった。
「大丈夫か? あいつの清さに、お前、やられるんじゃないか?」
カカカカと笑いながらジョンハンが言った。
でもそういう意味でやられるほど、ジョシュアは純粋でも真面目でもなかったけど。
まぁでも、「俺時間ができたから、コーヒーとか、買って来ようか?」とか言われた日には、多少の罪悪感は感じだけど。
だってジョシュアはドギョムを利用してやろうと考えていたから。
「案外、地下室から最上階までの、直通エレベーターかもよ」
そう言って笑えば、エスクプスは「お前サイテー」って言ったし、ジョンハンは「まぁワンチャンあるけど、勢い余ってこの会社から飛び出るかもな」と笑ってた。
でもまぁどうせドギョムは何もしなければそのまま地下ボイラー室にいるんだし、自分は何もしなくても最終的にはかなりな上層階まで上がれるだろう。ならそれが多少早くなるだけのことだし、最悪会社を飛び出ることになったって、自分ならどこでもやっていけるだろう。そしてドギョムだって、やっぱり地下ボイラー室に居続けるよりはマシなはず。
「こういうのを、winwinって言うんだよな」
にこやかに微笑みながら独りごちると、それから大分遅くなったけど昼を食べるために、ジョシュアは地下ボイラー室に向かって歩きはじめた。

お腹は空いていたけれど、「ごめん、腹減っただろ?」って言って現れたジョシュアには、「大丈夫。俺もバタバタしてたから」って言ってしまった。
でも特別大きな嘘でもない。これぐらいなら、人間関係を円滑に進めるための、生きていくには必要な嘘だ。でもドギョムはそういうのが人よりも多かったけど。でもでも、我慢してるとか思ったことはなかったんだけど......。
「お店ももう空いてるだろうしな」
そう言いながらジョシュアは選択肢を3つぐらいあげる。ドギョムに負担とならないような場所や店の名を。
高い店に行ったって、一番安いものを頼もうとするドギョムのために、さりげなく自分は多めに頼む。俺が食べてみたかったんだよって言いながら。
それから3回に1回は奢ってくれる。高い店だけに限らない。本当は全部奢りたいけど、それじゃぁ俺との飯が負担になるだろって言いながら。
別にドギョムだって貧乏な訳じゃない。ちゃんと会社から給料は貰ってる。同期と比べるなんてしたことがないから判らないけれど、きっと人よりも多いはず。知らないけど......。
それをドギョムは極力使わないようにして、いつか部屋を借りる時の保証金にしようと貯めているだけだ。
ジョシュアはドギョムが節約してることをちゃんと知っていて、それは良いことだと応援してくれている。一応会社の、それも経営者の一族なんだから、無理しなくたってどうにかなるんじゃないかとも言ってくれた。ボイラー室に勝手に住んでる理由も聞かれた。
ドギョムの存在を知って近づいて来た人は少なからずいたけれど、言ってくれたり聞いてくれたりした人はほとんどいなかったし、その後も側にいてくれた人ははじめてだった。
それに、付き合ってもいる。
一生は一緒にいてくれないかもしれないけれど、しばらくは一緒にいてくれるはずで。
ドギョムにしてみれば、寂しいのがいっときどうにかなるだけでも十分で、だからそこにドギョムを利用してやろうという思いがあったって、全然平気だった。
ただ、自分が利用できるような存在じゃないってことが、申し訳ないだけで......。

付き合ってるなら横を歩けばいいのに、ドギョムはいつだってジョシュアの少し後ろをついてくる。
誰に対してもエスコートをしてしまうのが癖のジョシュアは当然のように車道側だって歩きたいのに、車通りのある場所に出ればドギョムは何故かジョシュアの真後ろについて歩く。
でも歩きにくいかと言われれば、そんなこともなかった。
「恋人のふりなんてして楽しいのか」
そうエスクプスは言うけれど、「別に、ふりじゃないけど?」と笑って答えておいた。
だってそんな歩き方をするドギョムのことだって、ちゃんと愛おしいし、やっぱり思わず笑ってしまうから。

 

 

 

 

 

書きかけ~ <(_ _)>