妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

幸せは難しくない

ご注意ください

ナナツアーネタです。
読んだってネタバレではないと思うけれど、嫌だなって言う方は、ナナツアー見てからお読みください。
いやでも、見なくたって全然いいと思うけど......。

 

MVをひとりで撮るエスクプス

寂しくないと言えば嘘になる。なにせいつもは13人もいるんだから。
それでもイタリアにいるメンバーたちからは頻繁にカトクが入って来て、突然かかってくる電話に、謎なエスクプスクイズに。
MVを撮る前日に夕飯を食べたことを、スングァンには怒られた。ヒョン管理しなきゃって。
ディエイトには謎に逆キレをされた。ヒョンのせいで俺失格になったんだからって。
それからも、メンバーたちのカトクはひっきりなしで、ドギョムのバカっぽい回答と、ディノのカワイイでしかない回答と、カトクの内容が飛びまくるから全然理解できなかったけれど、楽しそうな雰囲気ばかり伝わる内容だった。
それが突然、「ヒョン愛してる」とか言い出したミンギュがいて、そう思えば「会いたい」とか、普段はカトクなんて既読スルーなのにジョシュアがそんなことを言いだして、そうしたら次々と、ほぼ全員が次々と愛を伝えて来るから何かと思ったら、カード会社からイタリアでカードが利用されたか問題ないかという確認メールが入って来た。
どうやらエスクプスのカードを盛大に使ったことで、全員で次々と愛を囁こうってことになったらしい。
別にいいのにそんなの全然......とは思いはしたが、止めなかった。だって普段は愛どころかカトクすら送って来ないウジが「ウアヘ~」と言ってくれて、恥ずかしがり屋なジュンも「ヒョン会いたいよ。愛してるよ」と言ってくれたから。
座ったまま撮ったMVは、案外良かった。新しい髪の色も気に入ってる。
本当なら湯水のように使ってくれても良かったっていうのに、ナナツアースタッフから横やりが入り、カードを止めることになったけど、それでもやっぱり楽しかった。一緒に旅してる気分にもなれたから。

 

寝てる子がカワイイとキスをするジョンハン

一番デッカイが、それでもミンギュだってカワイイ。
寝てるミンギュがあんまりにもカワイイからキスしたら、マンネなディノが驚いていた。
マイクやカメラがなければもっと盛大に騒いでいたかもしれないが、我慢したんだろう。呆れたような、かなり微妙な顔をしていたけれど。
でも寝てるんだし、唇を奪う訳でもないし、カワイイんだからしょうがない......と、ジョンハンは思う。
スングァンは宿舎が同じだから、よくキスをする。
寝る前にそうしてやれば、嫌な夢はみないんだぞと言えば、スングァンは「嘘くさいなぁもぉ」と言いながらも嫌がらなかった。
宿舎が同じじゃないメンバーには、一緒に泊った時、つまりはツアー中にキスをする。
寝たら起きないメンバーもいれば、忍び足で近づいてもすぐに起きるメンバーもいるけれど、最終日には大抵酒を飲んでいるから、結構簡単にキスができる。
でも大抵のメンバーは酔うとキス魔になるホシよりも、普段からキス魔なジョンハンの方がたちが悪いと知ってるはずなのに......と考えて、思い出す。
ディノは酔うと結構、色んなことを忘れる。というか、どうでも良くなるようで、色んなことのハードルが下がる。だから覚えてないんだろう。
一番難しそうなウジは、「ハニヒョン、ほらさっさとして」と逆に進んで顔を出してくれる。嫌がるよりそれの方が早いと知ってるからだろう。
エスクプスがいないことがやっぱりちょっと寂しいなとか思いながら、この旅の間に全員にキスしてやろうと決めたジョンハンがいた。

ブルーのシャツが良く似合ってたジョシュア

ワインも大分飲んだからかもしれないが、「あぁ今日ヒョンは幸せだったよ」とジョシュアが言う。
スングァンは「それもう4回目だよ」と言えば、「ほんとに?」とジョシュアが笑う。
でもしょうがない。本当に幸せだったんだから。
番組での旅だから、好きな服を持ってこれなかった。せっかくのフィレンツェだけど持ってる服で我慢しなきゃいけないしょうがないと言い聞かせながら洋服を選んでいたのに、スングァンは当たり前のように「ヒョン。俺のブルーのシャツ着ていきなよ」と言ってくれた。
袖を通せばスッキリとしたシャツの色と自分が良く似合ってて、腕まくりした時の腕とか、袖の長さとか。全部がカッコ良かった。
なによりスングァンのその何の気負いもない当たり前みたいな優しさが嬉しくて、それでなくてもステキな旅が、写真を撮るたびにジョシュアを幸せにした。
そしてそれがワインを飲んだら止まらなくなった。
ため息のようにして口から洩れる「あぁ幸せ」って言葉に、「なんでこんなに幸せなんだろ」って自分で問いかけてみれば「あぁ、スングァニのこのシャツのお蔭だよね」って答えが導きだされて、「あぁ、今日ヒョンは幸せだったんだよ」と誰かに口にする。
ウォヌ辺りは毎回律儀に「シュアヒョン良かったね」と言ってくれるのに、ジョンハンは飽きてきたのか「おぉおぉ」としか言わないし、ディノは「ヒョン、酔ってるの?」と逆に心配してくる。そしてスングァンがまたため息をついて、「シュアヒョンそれ5回目だからね」と睨んでくる。
普段ならスングァンだってウォヌのように頷いてくれたかもしれないが、手厳しいのはカメラがたくさんあって、撮影中だからで、放送のことを考えてるからだろう。
「うん。これで最後にするから。ヒョンね、今日は本当に幸せだったんだよ」
絶対また言いそうだとドギョムが笑ってたけど、しょうがない。だって本当に幸せなんだから。

 

ポテトが顔面にヒットしたジュン

痛くはなかったし、驚いたけど、ポテトが顔面に当たることはなかなかない。
思えば今日はそんな日だった。
1人でプールで遊んでいたら、ホシが当たり前のようにジュンが乗ってる浮き輪に飛び込もうとしてきた。
「ヤー。俺は服着てて、足しか濡らさないつもりなんだからなッ」
そう叫んで止めさせたけど、ホシの後ろから走って来たディノが、なんでかホシと同じようにして、ジュンをめがけて走って来て、思わず同じことを2度叫んだジュンだった。
のんびりとした朝食はウォヌと一緒だった。プールに誘いたかったけど誘えなかった。
それをポテトが顔面にヒットしたっていうのに、スングァンにバラされた。
でもスングァンだってプールで1人はちょっと寂しいかもと思うタイプで、ジュンがもしもずっと1人だったとしたら、後から怒ってくるタイプでもある。
愛してるって言ってよと兄弟たちは言うけれど、それはジュンにしてみれば、ポテトが顔面にヒットするよりも難しい。
どうしたって照れるから。
だいたいこの顔でそんなことを口にしたら、自分だって真っ昼間からドラマみたいな状況になるって判ってる。
「でもジュニヒョン、ミョンホには結構ちゃんと言うだろ?」
大抵平和で幸せな空気しか出さないドギョムだけど、時々問題発言をする。
「な、な、な、な、な、な、な」
なんだよそれって一言もまともに言えないジュンを余所に、「あ、これ美味い」とか「あ、俺もう酔ったわ」とか「ホシヒョンこれからワイナリーなのに」とか。周りはいつもと変わらない会話を口にしてて、目の前ではチングのウォヌがポテトを顔面にヒットさせた張本人だというのに、ニヤって笑ってた......。

 

お金も持たずにハンバーガーを食べに行ったウォヌ

スングァンがすでに並んでると聞いて、じゃぁ車で行こうと何も考えずに出てきたウォヌは、当たり前のようにお金なんて持ってなかった。
キョトンとしてるスングァンだって、お金もないのに並んでたって言うんだから、13人もメンバーがいる弊害だろう。
だっていつだって、誰かは持っているから。
ウォヌは特にミンギュと暮らしてて、大抵はミンギュがいつも一緒だから、当たり前のようにミンギュが払ってくれる。まぁミンギュの財布の中にはウォヌのカードも入ってるけど。
それでもこれが自国なら、スマホさえ持ってれば大抵どうにかなるけれど、さすがにイタリア。
でもナナツアーのスタッフさんたちは優しいから、普通に前借りさせてくれた。
「これでディノがお金出してくれなかったらどうする? 何か差し押さえとかされるかな?」
ウォヌがそう言えば、「そんなの、ヒョンとして俺がガツンと言うよ」とスングァンが頼もしい発言をする。
でもディノは素直だから確かめもせずにホイホイ払いそうだと言えば、スングァンも大きく頷いていた。
ウォヌは日頃、13人の中では冷静沈着で落ち着いていてしっかりしていて余裕もあって、そんな立ち位置にいるっていうのに、この旅に出てからはスタッフさんたちから、少しだけ頼りない存在として写ってるかもしれない。
それはなかなか自分の部屋を見つけられないウジだって一緒のはずなのに、何故かウジには何も言わないのに、自分にはやたら「ケンチャナ?」って言葉がかけられるから。
まぁ多少行動がトロイことは自分だって自覚してるけれど、それでもフリーズしてる訳じゃないってのに。
何か食べてる時にもウォヌにだけ「ケンチャナ?」って言葉がかけられるのは、食べたいものをちゃんと食べられているかって意味なんだろう。
まぁ食べようとしてるものを前にちょっとボーッとすると、皿はあっという間に空になってしまっているけど、それでも「俺もこれ、食べたかった」と言えば、かならず誰かが注文してくれるけど。
ちゃんと並ばなきゃ買えないハンバーガーのお土産を買ってきてやったのに、「ウォヌヒョンお金も持たずに買い物行ったの?」ってなんでかウォヌだけ笑われたけど......。

 

チャレンジだって本気で踊るホシ

踊る。それをしない人は、練習するには鏡が必要なんじゃないかと思ってた。
ナナツアーのスタッフたちからチャレンジの話を聞いて、ホシは映像を何回か見てる間もその後も、身体を小さく、それこそ手首だけだったりを動かすだけだった。
踊るためのしっかりしたスペースを作るでもなければ、大きめな鏡すら必要としなかった。
しかもそれをホシはメンバーにしっかりと教えもした。
タタンタン的な適当な音というか言葉だけで。
そんな感覚的な伝え方で伝えられるのか、そして覚えられるのか、さらには揃うのかって感じの練習で、しっかり踊れるようになっていたし案外揃っていたし、何よりただのゲームにしてもカッコ良くさえあった。
セブチはやっぱり凄いと驚いたけれど、もっと驚いたのは、終わったはずのそのチャレンジの曲を、部屋の隅っこで踊り続けるホシの姿だったかもしれない。
あぁだからセブチは踊りが凄いと言われるんだってことが、その姿を見ただけでも判ったから。
残りのメンバーは、そんなホシのことを驚きもしなければからかうこともせず、ただ当たり前のように放置していた。だからそれはいつもの風景なんだろう。
ワインが結構入って酔ってたって、ホシは踊る。
そこまでしなくても......と誰かが言ったって、それは本人が納得するまで続くんだろう。
「なぁスングァナ、帰ったらこの曲で真剣にチャレンジ撮ろう」
ホシがそう言いながらスングァンのことを追いかけていたけれど、「嫌だよ。ホシヒョン、ただのチャレンジでも全然納得しないじゃん」と拒否られていたから、ホシが目指す完成度は高いのかもしれない。
「ウォヌや〜」
今度はそう言ってウォヌを追いかけていたけれど、多分断られたんだろう。
バチクソカッコいいチャレンジ動画には、ウォヌの姿もまたなかったから......。

 

空を飛んだウジ

マンネには、申し訳ないことをしたかもしれない。
でも正直空を飛べるなら、飛んでみたかった。
気球に乗って旅をするアニメを、昔見たからかもしれない。
それほど熱中して見てたアニメでもないのに、小さい頃の自分は、自分だっていつか気球に乗るかもしれないからと、風を読む力を身につける方法とかを模索したことだってあった。
だからそれは、小さい頃のウジの夢の1つだったかもしれない。
自分の身体が、カゴみたいな箱に乗って空を飛ぶ。
温められただけの空気を抱きしめた風船が、ウジの身体を空に連れて行く。
「ごめん」
そう言ったら、「なんでヒョンが謝るんだよ。ちょっと残念だけど、また気球に乗れるチャンスはきっとあるよ。全然大丈夫だから、楽しんできて」と大人な発言をディノはした。
「まぁウジヒョンにワイナリーツアーは確かに無理があるもんね」
そうも言っていたけれど、ウジだって多少の酒は飲める。旅先だと余計にそう思う。
空の上、でっかいミンギュは小さくなっていた。
ディエイトはただただ楽しそうで、スングァンは遠くを見つめてる。
ウジはただ、世界は本当にキラキラしてるんだって思ってた。見てる景色の素晴らしさや、澄んだ空気や、太陽の光や、それに反射する全てのものが輝いていた。
でもすぐに、それだけじゃないって気づいたけど。
ミンギュが不意にエスクプスに電話したから。いないはずのエスクプスの声を聞いて、ウジの中では幸せが倍増した。一緒に来たかったっていう寂しさだってもちろんあったけど、それ以上にこのタイミングでこの景色の中、エスクプスの声が聞けて、姿が見れた嬉しさの方が大きかった。
たった4人だったけど、それでも一緒にいられることの幸せ。
特別な出来事はいつだって、13人いたから成し遂げられてきたことばかりだった。
はじめて空を飛んだ。でも、大切なものはすでに手の中にある。

 

スクショで注文するディエイト

もう話せないことなんて、大した問題じゃない。
もちろん言葉は大事で、判りあう努力を放棄したりはしない。それだって楽しむことは当然の権利だって思ってる。
だけどディエイトは、どこにいたって自分らしく、自分の欲しいものに素直に手を伸ばす。
見知らぬ場所にも平気で出て行くのは、すでに日常として暮らすのが異国の地だってのも、関係してるのかもしれない。
言葉の壁を乗り越えるまでの苦労と、乗り越えてしまってからの楽しさと。そのどちらも知っていて、すでに掛け替えのない仲間までいるともなれば、怖いものなんてないんだろう。
ナナツアーのスタッフさんたちが、ディエイトの楽しそうな姿に感嘆の声ばかりあげて褒めてくれるっていうのに、「でも電波なきゃ、ダメじゃない?」とか口を挟んだのはドギョムで、「でもイマドキ、どこでも電波あるじゃん」とディエイトが言い返していた。
「そうそう。それに今って、Wi-Fiとかじゃなくて、直衛星に繋ぐってミラクルな方法もあるらしいよ。高いらしいけど、やり方とか知らないし良く判らないけど、俺らにはいざとなったらクプスヒョンのカードがあるじゃん」
ちゃんと噛み砕けば何の情報も持ってないのに、人のカートで強気の発言をしたのはミンギュで、ドギョムとディエイトがその話に凄いなってなっていた。
「ミョンホは最強だよ。尊敬だよ」
全然はなしを聞いてなかったくせに、話題に乗っかってきたのはホシで、でもそんなホシが隣りの隣りの席ぐらいの見知らぬ人たちが食べてる皿を指さして、「俺あれ」と物凄く普通に韓国語で口にしたら、ちゃんとオーダーが通っていた。
ディエイトとドギョムとミンギュが同じタイミングで笑うのに、やっぱりホシが「え? なに? どうした?」って気づいてなかったけど、97ラインだからしょうがないかって感じで納得してた。
「あぁもう、俺、自分が最強って気がしてたのに、一瞬で負けたんだけど」
ディエイトがそう言えば、「お前だって最強だって」とドギョムが抱きしめてくれて、ミンギュはそのドギョムごとディエイトのことを抱きしめてくれた。

 

ウジのワインを当然のように飲むミンギュ

ミンギュはディエイトとウジと一緒に祭り会場を回った。早足で歩いてしまえばきっと5分もかからなそうな広場を、ディエイトが先陣を切って進んで行く。ウジはイタリアでもやっぱり小さい方だったから、心配する空気を出さないようにしながらも、ウジを見失わないように気をつけていた。
楽しそうに振り返ってくるディエイトにだってちゃんと対応しつつ、ちゃんとウジがついて来てるか楽しめているかワインを持て余してないかも確認しつつ、ディエイトから次々と渡されるワインを飲みつつ。
もちろんカメラだって意識して、時々は時計も見てと、起用なミンギュはいつだってうまいことやる。
「ウジヒョンもほら。白ワインも美味しいよね」
ホイホイと、ディエイトがウジにも次のワインを渡すけど、ウジはそれをクルクルと回して香りを楽しんで、それから小さく一口二口、口に含むだけ。後は楽しそうにしながらも、ワイン片手についてくる。
だからミンギュは特に何も言わずに、ウジのワイングラスに手を伸ばす。それはいつもと何ら変わらないこと。
さすがに自分たちの飲みや食事の場ではウジの前に酒が並ぶことはないけれど、仕事関係の打ち上げとか、ちょっと良い店では普通にウジの前にも食前酒とかが置かれる。
当然のようにそれは誰かが口にする。近場にエスクプスがいれば飲むだろうし、スングァンあたりがいれば、勝手にまわされてくる。
昔はちゃんと、代わりに空のグラスがウジの前に戻されていたけれど、最近はそんな気遣いも不要になった。
「お前何やってんの?」
次々と、自分の分とウジの分のワインを飲んでたら、それにやっと気づいたディエイトが呆れ顔で言ってくる。
「何って、ワイン飲んでるだけじゃん」
「ワインはそんなに、ガブガブ飲むもんじゃないんだよ。まぁ飲みたいならいいけど。ほら、最初に説明聞いたでしょ。飲めない分とかは、あそこに戻すんだよ」
見てみれば何人かの人は、飲めなかったのか飲まなかったのか、ワインを戻してた。
聞いたような気もするけれど忘れてた。それはウジも一緒だったようで、ふ〜んって顔で頷いている。
いやいやでもでも。うん。いやいやでもでも。
「いいんだよ。ウジヒョンのワインは俺が飲むって決めてんだから」
そう言えば、ディエイトが「どこで男気使ってんだよ」と笑ってたけど......。

 

ワインの味を覚えたドギョム

韓国でも、滅多にないけどワインを口にしたことはあった。でもそれは本当にTHEワインって感じで、ディエイトがよく「愉しめばいいんだよ」と言っていたけれど、ドギョムはそれを楽しむまではいかなかった。
なんだか難しくて。名前も見た目も楽しみ方も、あの薄っぺらい、下手すりゃすぐに割れそうに見えるグラスも含めて。
なのにイタリアで飲むワインは、明るさと陽気さの中に当然のようにあって、昼間でも美味しくいただけてしまって、いつもと同じぐらい歌ってるのに許されたりして、ただただ楽しかった。
祭りはさらに楽しかった。
あんな人混みの中で、みんなが楽しそうに笑ってて、ドギョムが時々「サルーテッ!」って口にすれば、見知らぬ人たちも一緒になってワイングラスを掲げてくれて。
「ヒョン、どうしよう俺、楽しいかも」
なんの問題もないはずなのに、ちょっと動揺したほど。だからジョンハンを捕まえてそう囁やけば、笑ってジョンハンが頭を撫でてくれた。
食事をしながら、食後の甘いものを食べながら。楽しかったと言い合いながら。もちろんワイン以外だって飲んだし、どれも美味しかったけど、「俺、ワイン覚えたかも」って言ったら目の前にいたミンギュから「ドギョミのは雰囲気ワインだろ」とかからかわれたけれど、ディエイトからは「韓国戻ったら、じゃぁ一緒にワイン飲みに行こう」と言って貰えた。
「いやどうしよう。俺、本当はイタリア人なのかも」
あんまりにもイタリアとワインがしっくりくるから結構本気でそう言ったのに、ただの酔っ払いだと全員から笑われた。
でもユンジョンハンだけは、「別にイタリア人だったとしても、どうもしないだろ。お前は俺らの自慢のイドギョムだ」と言ってくれたけど。
ちょっと泣きそうになって、思わず持ってたワイングラスをグッと握りしめてしまったけれど、当然だけどワイングラスは割れたりしなかった。
ワインを飲んだら絶対に思い出す。このイタリアの綺麗な景色と陽気な空気を。
そう考えたら、やっぱりちょっと泣きそうになったけど......。

 

走ったけど逃げ戻ったスングァン

スングァンは走るのが好きだ。もちろんダイエットとか、健康とか、そういうのも意識してるけど、変わる景色の中を走るのが嫌いじゃないから。
どこに行っても結構走る。
ナナツアーのスタッフにも「走って来ても大丈夫ですか?」って早めに声をかけていた。
スタッフたちは快く「大丈夫です」と言ってくれたけど、それと同時に「どれぐらい走りますか?」って聞いてきた。もちろんそれはカメラとか、スタッフの配置があるからだろうけど、悩んだ結果スングァンは「結構走りますけど」って答えた。
でもそう言ったスングァンの横で、ジョンハンがカカカと笑う。
「なんだよヒョン。嘘じゃないじゃん。俺結構走るじゃん」
うんうんと頷いてはくれたけど、微妙に納得いかないスングァンだった。
当然その場ではその話は流れたけれど、ナナツアーのスタッフたちはジョンハンに後から「なんで笑ったんですか?」って声をかけた。
「だってあいつ、結構な確率で途中で逃げ戻って来るもん」
たまたまその時一緒にいたジョシュアも、「基本怖がりだからね」と笑ってた。
人がいないと怖がるし、人が多すぎても怖がるし、自分が知らない音が聞こえたら怖がるし、遠くのサイレンとかにも怖がるし、何もなくても気配とかにも怖がるし、風が強くても怖がるし、だから風の音にも怖がるし、雲が変な形とかでも怖がるし。
いやそれは怖がりすぎだろう......。というか、それじゃぁ何にでも怖がることになりはしまいか。
スタッフたちは半信半疑ながらも、走るスングァンを見守った。そうしたら本当に、何か鳴き声がすると言ってスングァンは逃げ戻った。
逃げ戻る前にも、持たせたGoProを確認すれば、視線と同じようにあちこちを気にして、時折本当にビクついてるのがよく判った。それに映像には当然スングァンの声も入っていて、そこにはたくさん「ケンチャナケンチャナ」って自分を励ます声も入っていたから。
その小動物なみのビクつき方に、ますますスングァンが愛おしくなったナナツアーのスタッフたちだった。

フィレンチェの街に負けてなかったバーノン

バーノンは基本、キラキラしてる。
それはどこでも一緒だったけど、さすがにイタリアのフィレンチェではどうだろうか。
ヨーロッパだから、ヨーロッパな人たちが当然多くて、多少はバーノンだって埋もれるんじゃないか。もしくは目立たなくなるんじゃないか。普通ぐらいにはなるかもしれない。
景色とも馴染むだろう。
フィレンチェの旅がジョンハンとジョシュアとバーノンに決まった時に、ナナツアーのスタッフ間で話題になった。
それを横で聞いてたジョンハンとジョシュアは「いや、どこでもボノニはボノニだから」と笑ってた。
まぁそうだろう。すでにイタリアについてからこっち、マイペースな姿は十分に見てる。そしてやっぱりキラキラしてるから、フィレンチェでだって変わらないだろう。
そしてバーノンは、やっぱりキラキラしてた。
異国の地でも変わらず、輝いていた。
でも誰よりも自然体で、全然俺様感を出さないのもいつものことで、見たいものを見て、驚いたら驚いた顔をして、楽しそうなら浮かれた感じの仕草を見せる。ただただ無駄に輝いているだけで、そこには素朴なバーノンがいた。
ジョンハンがバーノンのためにもうお腹いっぱいって言ったって、逆に無理して食べなくていいと言ったって、バーノンはいつもと変わらず嬉しそうに楽しそうに居続ける。
優しさを受け取ることに慣れてるマンネラインだからか、それともただただ性格なのか。
欲しいものを見つけると、「ヒョン、俺、これ欲しいかも」と素直に口にする。ジョンハンもジョシュアも、当然それに「買いな買いな」「いいじゃん。似合うよ」とかしか言わない。
バーノンがいつだってキラキラしてるのは、側で甘やかし続けるヒョンたちがいるからかもしれない。
ナナツアーのスタッフたちが話し合ってそう結論を出した。それをまたしてもたまたま横で聞いてたジョンハンとジョシュアは楽しそうに笑いながら、「いやでも俺らだって、石像とか買いたいとか言い出したら止めるよな」とか言っていた。
そりゃそうだろう。ナナツアースタッフだってそう思ったけど、ジョンハンとジョシュアが、『まぁ俺らが無理でも96ラインがいるからな』とか思ってるとは、知らなかった。
そうセブチには無敵の96ラインがいるから。大抵のことはやってのける。きっと96ラインなら、石像とか言われても驚かず、あっさり船便とかを確保するだろう。
だからやっぱりバーノンは、いつだってどこだって幸せそうに笑ってて、キラキラしてるんだ。

 

厳しくお金を管理してるつもりのディノ

ビーンって言ったのはディノだった。
自分がちゃんと管理して、大丈夫と思ってたお金が、気づけばかなり減っていたから。
誰かに聞かれても大丈夫とか、多分余裕とか、きっと問題ないとか、言ってたのに......。
勝手に前借りしてハンバーガーを食べる奴までいたら、そりゃそうだろう。
でもウォヌとスングァンは自分たちだけが食べたんじゃなくて、ちゃんとお土産を持って帰って来てくれた。
ジョンハンとジョシュアとバーノンに持たせたお金はほぼほぼ使い切ってこられたけれど、それだってみんなの為のキムチだったりご飯だったりおかずだったり。自分本位な使い方をした人間なんていなかったし、ウォヌが勝ったお土産なんてカワイイものだったし。
でもディノはちょっとだけ凹んだ。
もっとうまく管理できたはずなのに......ってのと、もっと面白くできたんじゃないか......って。
そう言ったら「お前、そういうとこホシに似てるよな」とウジには笑われたけど。
確かにホシも、面白くやれないと悔しがる。
でも面白くできなかったと思ってるのはホシ本人だけで、そんな姿だってちゃんと面白いんだから問題なくて、自分とはやっぱり違う。
「ちゃんと厳しく、管理してたつもりなのに」
ディノの呟きを聞いていたヒョンたちは、いやナナツアーのスタッフたちも、心の中で一斉に『あれで?』と呟いたことだろう。
頼めば快くお金を出してくれる。注文する姿を横で見ててもそれを制限する素振りさえ見せない。多分お金の管理というよりは、お財布係なだけだった気がしないでもない。
「俺、次はもっと頑張るよ」
ディノはそう言った。でもたまたま一番近くにいたのはジョンハンで、「おぅ。次からはクプスのカードをゲットしたら、さくっと時計とか換金率の高いやつを買わなきゃな」とか言って、ディノはそれに真剣に頷いていた。
冗談かとナナツアーのスタッフ陣たちは笑っていたけれど、ジョンハンは結構本気だったし、それを聞いてディノも真剣な顔でなるほどとなっていた。
だって絶対、エスクプスは高額な時計を買われたって文句なんて言わないはずだから。ディノにだって、それぐらいは判るから......。

The END