カムバ中だと言うのに濃厚接触者に認定されて隔離措置がとられ、業界内では不運すぎるとか可哀想にとか、同情の声が多くあがっていたらしいが、当の本人達は結構楽しく暮らしてた。
何せ、仕事関係なく、パジャマパーティすら開催されたから。
「は? パジャマパーティ? なんだよそれ」
初めて聞いた時、エスクプスはちょっとだけバカにしたように言ったのに、その時一緒にいたドギョムは「お気に入りの青のパジャマ探さなきゃ」と急いで部屋に帰って行くし、ジョシュアは「俺は白のシルクのパジャマ、新しいのだそっと」とか自慢げに言うもんだから、もはや参加するとかしないとかでどうのこうのって話ではなくなって、エスクプスは焦って「お、俺は気慣れたパジャマで参加するもん」って言う羽目になったほど。
話によると、ジョンハンたちの宿舎では夜な夜なパジャマパーティが行われているという。そこに今夜は他のメンバーが無理やり参加するっていう話らしい。なんだからしいって話ばかりで誰も詳細は知らないっていうのに、スタートは夜中12時からだとか、食べ物か飲み物を持ち寄ることが参加条件だとか、そんな話は地味に流れてくる。
ドギョムはすぐにジョンハンに「そっちで何か、楽しいことやってるって?」って聞いたらしいけど、「何もないよ」って誤魔化されたらしい。
もちろんジョンハンは誤魔化してなんていなかった。だから夜中の12時にパジャマ姿のメンバーたちが次から次へとやってきた時には、「なに? なにこれ? は? なんなんだよ!」って真剣に驚いていたし、当然のようにジョンハンたちの宿舎ではパジャマを着てる人間なんていなかった。
ことのはじまりは、たまたまスングァンがジョンハンの部屋にお泊まりをしたこと。それを次の日に知ったホシが、勝手にお泊まり会をしてると怒ってた。
「いや、お前の部屋には俺が泊まりに来てたじゃん」
そう言ったのは、たまたまホシの部屋に泊まりに来てたジュンだったけど、「ジュニの無駄に長い足で俺ベッドから蹴り出されてたじゃん。全然お泊まり会じゃないよあれは」と文句を逆に言われてしまったほど。
「まぁ、足が長いのは事実だけど」
悪びれた風でもなく、そこは素直に認めたジュンだった。
結局ホシが、今夜は絶対俺もお泊まり会したいと訴えていたのを、自分の宿舎に戻ったジュンが、「ホシんとこの宿舎では、なんか夜に楽しいことやってるみたい」とふわっとしたことを伝え、それを聞いてたディノが、「パジャマパーティ?」と聞き、ジュンがまた適当に「あぁそれかも」と答えたりするもんだから、謎に話が伝播していった。
回り回ってジュンのところに戻ってきた時に、ジュンもちょっとだけ「ん?」と思ったらしいが、自分の発言で仲間たちがパジャマパーティに向けて色々準備してるなんて思いもよらなかっただろう。
まぁいきなりパジャマ姿で勝手にやって来られたジョンハンたちの方こそ、思いも寄らなかっただろうけど。
それでもホシが慌てて、「俺のパジャマどこ?」って部屋に向かって駆け出し、スングァンだって「そういうの、俺だってもっと早く教えてもらっとかないと、準備にいろいろかかるのにぃ」とむくれつつも走ってく。
ウジは案外そういうのに慌てず、料理をたくさん持って現れたミンギュに、「俺のパジャマどこ?」とか聞いていた。ついこないだまで同室だったから、ウジの荷物のほとんどはミンギュが把握してるからだろう。
「いや、何がどうなって何でいきなり全員でパジャマパーティなんだよ」
諦め悪く最後までそう言っていたジョンハンだったけど、全員がもうパジャマ姿で寛いでいて、持ち寄ったものを食べたり飲んだりしはじめるもんだから、最後には「俺もパジャマに着替えてくるわ」って言いながら消えてった。
もう少しで隔離措置が終わるって頃のこと。
どうしたって大変だったけど、どんなことがあったって、俺たちはできることを精一杯頑張ろうって言い合った日。全員パジャマ姿で。
ミンギュとウォヌは前日ケンカしたらしいのに、そんな様子は微塵も見せず。ディエイトは高いワインを数本持って参加してるっていうのに、バーノンは缶ビール1本だけで参加してて、しかもその1本も自分で飲み干していた。
ある程度食べて飲んだらすぐにお開きになると思っていたというのに、結構あちこちで真剣なあれやこれやも語られていた。
それはパジャマに着替えたウジが、ノートパソコンを持って戻って来たからだろう。
隔離措置中に作ったという曲を、全員が一発で気に入ったから。
バカみたいなことで笑って。
真剣に未来も語って。
明日も頑張ろうって言い合って。
セブチのパジャマパーティは続いてく。
ジョンハンが合間合間に誰に聞くでもなく、「で、これって一体どういうこと?」って口にしてたけど......。
それには当然、誰も何も答えられなかったけど......。
The END
2000moji