流れ星ピンナダについて
続きものではないけれど、ディノちゃんからはじめたセンイルおはなしが溜まって来たので、contentsページを作りました。
流れ星ピンナダ12
弟たちが駆けていく。
「お前はまたサボってるのかよ」とエスクプスは言うけれど、本当に流れ星のように光の筋を残して、弟たちが夜空を駆けていくのを見るのが好きだった。
そして一段と輝く姿を見ながら、時々ジョシュアは願い事を口にする。
「シュアの願い事は、大抵叶うもんな」とジョンハンは言うけれど、そんなに大きなものなんて願ってない。
せいぜいが自分では買いたくない流行りの靴とかが欲しいとか言うぐらいだ。
ほぼジョシュアの独り言なお願い事を大抵叶えるのはエスクプスなのに、それについては文句を言ったこともない。
「いや、シュアヒョン、願い事は普通、口に出して言わないもんじゃないの?」
ホシが言う。
「バカだな。言わなきゃ誰にも伝わらないじゃん」
そう返しておいた。
すかさずジョンハンが「口に出して言わないのは、誕生日の時だけだよ」と言っていたけれど、それを聞いてたジュンは首を傾げてた。
早く帰ってこいよとか、ケガなく無事に帰ってこいよとか。そんな言葉だってジョシュアの願い事と言えば願いごとだった。
困ってる誰かにはすぐに気づく。よく見てるからだろう。
行ったはずなのに戻って来るディノとか。
バーノンが荷物を持たずに行っちゃったと慌ててるスングァンとか。
そして荷物は持ってなかったのに、落としたと思って探しながら返ってくるバーノンとか。
大抵は「ウジや」って言えば、ウジが96ラインの中で采配してくれて、遅れてた荷物もちゃんと届けてくれるけど。
だから何をしてるってこともない。でも弟たちが「シュアヒョンがいて良かった」と言ってくれるのが嬉しい。
でも時々は本当に役にだって立つ。
「シュアヒョン、ドギョマがトラブったみたい。ミンギュが追いかけてったけど」
ディエイトが自分は荷物があるから抜けられないんだと声をかけてくれば、ジョシュアが立ち上がる。
結構普段からちゃんと働いてるってのに、そんな時には「ジョシュアが立った」とか慄かれるけれど、「俺が出るよ」と言えば大抵エスクプスもジョンハンも当然のようについてくる。
そして95ラインが抜けた穴は当然のように96ラインが埋めてくれる。
駆けつけてみればドギョムとミンギュは、爆発物とかかれた荷物を手に右往左往してた。そんな荷物は届けられないし、持って帰って爆発なんてしたら目も当てられないし、怒られるかもだけどブラックホールに捨てに行こうかとか。
でもあっさりと、「爆発してないなら、まだただの物だ」と言ったジョンハンの言葉に落ち着いていたけど。
「とりあえず、届け先でドカンってなる予定の爆発物ならお届け先様にとっても困るけど、そうじゃないならただの荷物だしね」
ジョシュアもそう言えば、エスクプスがほらとドギョムから荷物を受け取っていた。
「後は俺らがやるから、お前らは戻って、ウジに指示を仰げよ」
ジョンハンがそう言えば、ミンギュもドギョムもホッとした顔をして、素直に先に戻って行った。
2人が走る後に残る光の筋は、なんだか楽しそうに見える。
「俺が行くよ」と言ってるのに、エスクプスは「1人は嫌だ」と言い、ジョンハンは「俺は行かない」と言う。
「いやだから、俺が行くよって」
再度そう言うのに、「だから1人は嫌だ」とエスクプスが言う。どうやら自分じゃなくても1人は嫌だってことらしい。
それにジョンハンが「じゃぁ2人で行けばいいじゃん」と言うのに、今度はジョシュアがうげって顔をする。
「俺は1人がいい。その方が早いし楽だから」
そう言ったら、エスクプスが「あぁもうなんだよ」と拗ね始めた。
「いやこっちがあぁもうなんだよだわ」
ジョンハンがプンスカ怒ってる。
でも結局拗ねるエスクプスをなだめる方が面倒だとでも思ったのか、「俺は走らないからな」と何故かエスクプスの背中に乗っていた......。
ジョンハンを背負うエスクプスを連れて荷物を持ったジョシュアが空を駆ける。
どんな意味があってお前そんな状態でついてくるの? と思わずエスクプスに言いそうになったジョシュアだったけど、一番ジョシュアの願い事を叶えてくれる相手でもあるから、黙っておくことにした。
きっと遠い世界から見た夜空には、そんな3人の姿は流星のように見えたかもしれない。
The END
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