ホシはよく、「わかってるだろ」と言う。
曲調のことだったり、歌のことだったり、踊りをあわせるタイミングだったり、ゲーム中のやりとりだったり、セブチのこれからだったり。
大抵のことはわかる。だからウジだって「おぉ」程度で、時には声もなく頷くだけなのに......。
「わかってるだろう」と言われて頷いた。
それが、『俺の気持ち』だった時はさすがに驚いたけど、別にそれが嫌だった訳じゃなかった自分にはもっと驚いたのは、もう大分昔のはなしだ。
今でもホシは嬉しそうにその時のはなしをする。
『わかってるだろう』しか言わなかったくせに、愛を語ったような言い方もする。
ウジが頷いたのをいいことに、勝手に押し倒してきたくせに。
「チャムッカンマンッ」って止めたのに、俺もわかってるみたいな顔で続けた男は、今もウジの作業部屋に当然のように居座っている。
「わかってるだろう」
やっぱりそう言って、なんの話だったっけって思いつつも仕事しながら適当に頷いたら、それから数カ月もせずにホシは豪邸を手に入れていた。
「俺(たち)が暮らすんだから、これぐらいじゃなきゃ」と自慢してるのを聞いた。スングァンあたりに「よくウジヒョンが一緒の豪邸了承したね」と言われて喜んでいたけれど、同意したつもりはない。
でも否定したって拒否したって、ホシはいつだって『俺もわかってる』みたいな顔で笑ってる。
本当にわかってるのかは疑わしいけれど、そんなホシがいたからこそ、今のセブチはあるような気がする。
当たり前のように未来のはなしをするから。
当たり前のように愛を語るから。
当たり前のように待っててくれるから。
当たり前のようにそこにいるから。
自分の着た服をプレゼントしてくるし、勝手に首後ろにキスしてくるし、その服を着させてみせて喜んで脱がせてくるし。
人が泣いてるのに、ヒョンや弟たちやチングはみんなウジの背中を叩いたり抱きしめたりと落ち着かせてくれようとするのに、「俺、来年もお前のこと泣かせる自信あるよ」とか言ってくる。
MAMAの大賞なんて、3年連続は無理だろう。だいたいその頃、お前はもういないかもしれないじゃないか......と思ったけど......。
ホシがいつものように「わかってるだろ」と言う。
ホシは嘘はつかない。目指す場所には絶対にたどり着く。きっとだから来年もウジは、大きな舞台の上で「あぁチンチャ」って言うのかもしれない。
The END
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