流れ星ピンナダについて
続きものではないけれど、ディノちゃんからはじめたセンイルおはなしが溜まって来たので、contentsページを作りました。
流れ星ピンナダ11
結構緻密な計算のもと、ウジは配達の経路を決めているっていうのに、大抵はジフナ~とどこからともなくやって来るホシが手伝うとか言って手を出してきて、大雑把に荷物を搔っ攫って行くもんだから、気づけば最短経路とはほど遠い場所を走ってたりする。
ウジの移動距離は長い。
それほど器用でもないのに、器用だと思われている。
全員が適材適所で働いてるだけなのに、大変な部分ばかりを任されてるとも思われているっぽい。
空を駆けるのは嫌いじゃない。ただ楽しくて、ただただ色んな願い事を見たり聞いたりしながら移動してるだけなのに、仕事が終わったから手伝うとジュンもやって来たりする。ホシのように邪魔する感じでもないから、持ってた荷物の1つを渡す。
やたらと飛ばしてホシが戻ってきたりするから「ちゃんと届けてんだろうな」といいつつも荷物を今度はちゃんと渡す。
そうしたらウォヌもミンギュを引き連れてきて、「ジフナ、俺たちも手伝う」とか言ってくれるから、荷物を2つ3つ渡す。
そうこうしてたら山とあった荷物を減って行く。
もちろん誰かが失敗したりしたら、そのフォローに入ることもあるけれど、それだって別に無理してることも我慢してることもないのに、95ラインの3人はいつだって「いつも悪いな」って言ってくれる。
ただ頑張って駆けてる訳じゃない。ただボーっと駆けてたら、気づけば豆粒みたいな星が目の前にあるってだけで、丁寧に心を込めて運ばなければたどり着けないみたいなこともないから、ただただ駆けてるだけだっていうのに。
届ける順番が決まってたり、届け先に受取人がいないことが判ってる荷物があったりと、時々は複雑な荷物はあるにはあるけれど、別段それだって、ウジじゃなきゃできないってこともない。
だけどマンネラインの3人はいつだって「俺たちもいつか、ウジヒョンの手伝いができるようになるから」みたいなことを言う。
まぁ97ラインの3人は最近よく手伝ってくれるようになったけれども、その複雑さに頭を抱えてたりするから、それをマンネラインたちは見てるのかもしれない。
「ウジヒョンごめん。この謎な、届けるフリだけする荷物っての、で、どうしたらいいの?」
ドギョムが1つ手伝うと言ったのに仕事の内容を理解できなかったようで困ってた。
「あぁそれ、受取人が差出人の名前見て、いつも受取拒否するってだけだよ。それで差出人のところに届けなおすまでが仕事。最初から往復料金が払われてるやつだから」
説明してやれば判ったんだか判ってないんだか、でもドギョムはイケると言って駆けてった。
そうこうしてたらホシがまた戻って来る。
「いやだからお前、ちゃんと届けてんだろうな」
もう一回そう聞けば、ホシは決まってんだろって感じでグーってするだけだった。
早すぎるから勝手な置き配をしてそうな気がしないでもなかったけれど、また1つ荷物を渡す。
そうやって結局ウジのもとからは、荷物が減っていくから。
ウジの移動距離は長い。
でも大変だったとしても、それほど大変じゃない。
困ることもあんまりない。
なにより自分だけ............が、頑張ってる訳でもない。
The END
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