妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

愛が呼ぶほうへ

 

誰かを愛すると、捕まる世界。不思議。
出生率の低下がある一定を過ぎた時に、自然な恋愛の結果としての出産を諦めた世界が過去にあっただけ。
愛はいつだって一過性のもので、熱量は高いけど冷めやすく。
尊い命がそれで削られていく。
ましてや正しく子どもが生まれない愛だってある。
そしてそれを決めたのは誰でいつかは、誰も知らない。ただ、もう愛はいらないと誰かが判断して大分過ぎた世界なだけ。

愛が呼ぶほうへ

母という人がいた。産んでくれた訳でもなければ、育ててくれた訳でもない。
何かが良いと判断されてあてがわれた家族があっただけ。
期間は半年もない。
ただのレクリエーションのような、体験のような。
なのに母はジョシュアのことを愛してくれて、ジョシュアもまた母のことを愛してた。
そして捕まった。

罪を償えば解放されるのか。
どれぐらいの期間そこにいなきゃいけないのか。
誰も何も言わない。
だってもう、もの言わぬものたちがそこを支配してるだけだから。
でも孤独だったとしても、ジョシュアの中に芽生えた家族への愛は、寝ても起きても消えるはずがなく、だからこそそこから出られないのかもしれなかった。

「なに? お前、その年で捕まったの? ダサッ」

ジョシュアにそう声をかけてきたのは、自分だって捕まってるのに棚にあげまくった発言をしたエスクプスだった。
「だって俺は、大人になって今さら誰かを愛した訳じゃないもん」
愛を抱えて生まれてきたんだ......っていうのがエスクプスの自慢だった。
「でも今はここにいるじゃん。お前の愛は、じゃぁどこにあるんだよ」
大抵はそう言い返す。
判らないのかエスクプスは黙ってしまうけど、それでも「いつか会えるよ」と強がるから、いつのまにかジョシュアだって「そうだな。いつかは会えるだろうな」って言うようになった。
きっと2人の間には、いつのまにか友愛だって芽生えてたはず。
だからもう、一度愛って存在に気づいてしまった人間は、愛からは逃れられないのかもしれない。だって幸せで、心だって温かくなるから。疲れてても不安でも心が落ち着けたりするから。
愛なんて知らずに生きてた頃には、もう戻れそうにないから。

「あ? なんだよここ」

大抵は入りたての人間は沈んだ感じで立ち尽くすことが多いのに、ジョンハンは入った当日から騒がしかった。
そしてなんで自分が捕まったのかも理解してなくて、たまたま出会ったジョシュアが説明してやれば、「え? 俺じゃぁ誰かのことを愛したの?」と驚いていた。
世話が楽だからと最近石のペットを買ったらしく、「ヤバイ。あれかも」とも言っていたけれど、ジョンハンは捕まったっていうのになんでかカラカラと笑ってた。

「あ」

そしてジョシュアとよくいるからか、ジョンハンは当然のようにエスクプスと出会う。
「あ」って言ったまま固まったのはエスクプスで。
「お?」って言ったのはジョンハンで。

愛してしまえば捕まるその世界で、「なぁここって、捕まっても案外自由じゃん。だから俺ら、ここで愛し合えばいいんじゃないの?」とやっぱりジョンハンは笑ってた。
石が相手より、全然いいじゃん......とも。

エスクプスが抱えて生まれてきたという愛のかたわれが、正しくジョンハンなのかは判らない。でもエスクプスはいつだって楽しそうに笑ってて、何でもないことでもジョンハンは爆笑するしも、笑いは連鎖するのかジョシュアも一緒になって笑うことが多くなり......。

いつか世界中の人が愛に気づいてしまえば、きっとこんなところ、なくなるだろう。
それはきっと、遠い未来なんかじゃないはず。
3人の笑い声につられて、集まってくる。
そうやって仲間が増えていく。
あぁきっとそこには、家族のような愛もまた芽生えるはずだから。

The END
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愛が呼ぶほうへ byポルノグラフィティ