TTTだってもう何度目かで、それでなくてもアイドル歴は長い。スタッフたちとも長いし、メンバーとはもっと長い。さらに言ってしまえばカラットたちとだって長い。
みんなもうTTTにも慣れていて、笑って受け止めてくれることは多い。
それでも早めにカメラを止めたのは、痛い発言が多くなってきて、このままならカットだらけだろうと判断されたからだった。
最初にやらかしたのはバーノンとスングァンだった。
「なんでもう寝るの? せっかくのTTTなのに。それに撮れ高とかもあるじゃん」
そうプリプリ怒ってたのはスングァンで、「俺は寝てても撮れ高あるもん」と言い返したバーノンに、さらにプリプリ怒ってた。
このままケンカになるのかなと思ったら、バーノンだってスングァンとの付き合いは長い。
「じゃぁほら、一緒に寝よ」
そう言ってバーノンがスングァンの手首を掴む。
本当なら誤魔化すなとか言わんなきゃいけないかもしれないのに、なんでかスングァンは顔を真っ赤にして黙ってる。手首を掴まれただけなのに。
しかも黙ってしまったスングァンに、「寝るって言っても、一緒に横になるだけだよ」とかバーノンが言うもんだから......。
部屋の隅っこでやりとりしてたらならまだしも、2人は1階のキッチンスペースど真ん中でそんなやりとりをしてて、カメラだって複数台あって、ミンギュなんて暗くてもう見えないのに気配だけで遠くのスタッフに向かっておやすみと、Bluetoothハグをしまくってるような状態だったのに......。
まぁでも、なんでか大人しくなったスングァンは、バーノンに手を引かれていなくなった。また後で、さっさと寝てしまったバーノンにプンスカ怒りながら戻ってきてはいたけれど......。
「なんか今、さらっと痛いもの見たけど大丈夫?」
そう言ったのはウォヌだったけど、ウォヌだって負けてなかった。
そりゃ宿舎が一緒なんだから、そういう癖がついてるだけだろうけれど、まだまだ夜を楽しもうとしてるミンギュに向かって、「俺、どこで寝るの?」とか聞いていたから。
普段どれだけ甘やかされてんだ......みたいな顔でウォヌのことを見てたウジがいたけれど、何も言わなかった。
ウジは酔ってなかったけれど、それほど飲んでないはずなのになんでか酔ってるホシが目の前にはいて、俺やってやったぜみたいな顔をしてるから。
バスケットゴールに確かに後ろから、しかもバスケットボールでもないのにゴールしたのは確かに凄かったけど、それにしては引っ張り過ぎじゃないだろうか。
そう言ってやりたかったけれど、エヘヘって笑ってる姿は鬱陶しくはあるがまだ迷惑ってほどじゃない。だから放置しとこうっていうウジの判断は間違ってないだろう。
「卓球やろうぜ~」
みんなに負け続けてるのに、なんでか楽しそうにドギョムが誰かを誘ってた。
「ハニヒョン、やる?」
そう誘ってくるのに「おぉ」って答えるくせにジョンハンの腰はなかなか上がらない。見ればエスクプスがなんでか後ろからジョンハンの腰に手を回して、結構な距離に座ってた。
でももう誰も何も言わない。
ポロリとジョシュアが「誰にも見えてないんじゃない?」とツッコんではいたけれど、それすら誰からも無視されていた。
酔ってはいないけど、「だってTTTだもん」とか言っていた。
いや監督陣が聞けば「いや、TTTってそういうもんじゃないけど」って言いそうなことを言ってるし、ジョンハンはもう諦めたのか、それともこっちも酔ってるのか全然認めてた。
チャイナの2人はさっきから2人の世界で盛り上がってる。
「なぁ、俺、どこで寝るの? もう寝たいんだけど」
ウォヌはどうやら1人では眠れないようだった。
「ねぇ、俺と卓球やるの誰?」
ドギョムは何故か拗ねはじめてた。
「わかった。じゃぁ俺とやろう。でも負けてやらないからな」
ミンギュがそう言って立ち上がる。でもしっかりと「ウォヌのこと寝かせてくるから先行ってて」とも言っていたけど。
マンネなディノが、「クプスヒョン、ちょっと俺と話そうよ」とエスクプスのことを呼びにきて、マンネに言われれば行かない訳にはいかなかったのか、エスクプスがやっとジョンハンから離れてた。
さすがマンネ......と思っていたけれど、ディノだってしっかり酔っていて、そのままかなり深い時間までエスクプスは捕まってたようだった。
「カメラ停めますんで。後はもう自由で。おやすみなさいお疲れ様でした」
そんなスタッフたちの声を、どれぐらいちゃんと聞いてる人間がいたかは微妙だった。
でもすでに全員が自由に過ごしてて、誰もが楽しそうに笑ってはいたけど......。
The END
1905moji