酔っぱらったジョンハンが電話を掛けてきた。
「電話なんて突然どうした？」
そう聞いたら「誕生日じゃん」と言って、愛してるともおめでとうとも言ってくれた。
タイマーをセットしておいたんだ。俺が一番に祝ってやろうと思ってとも言っていた。
「ビックリした。何かあったかと思ったじゃん」
そろそろ本気で誕生日なんて祝われてもって年齢になってきて、アイドルなんてしてなかったら、恋人と家族ぐらいしか祝ってはくれないような年齢で、それだってあっさりとしたものなはずなのに。
そう言えば、「じゃぁどっちみち俺じゃん」と電話の向こうでジョンハンが笑ってた。
曰く、恋人も家族も自分じゃん......って言いたいらしい。
まぁそうだけど......。
「欲しいものがあるならなんでも買ってやる」
本気で酔ってる訳でもないだろうに、ジョンハンは大きなことを言う。
だけど付き合いは長いから、そんな言葉にうかうかと乗っかったりしないエスクプスだった。
「そんなこと言って、お前また俺のものなんだかんだと盗っていくだろ」
結構なあれこれが、お揃いだとネット上で突き止められていた。それをするカラットたちも凄いが、結構盗られてる自分も凄いし、結構盗ってっているジョンハンも凄い。
「なんだよ。どうしてもって言うやつは2回ぐらい来たら返してるだろ」
「それはヒョンにあげる約束してた奴とかだけだろ」
別に盗られたからといって怒ってる訳でもない。
なんとなく愛されてるような気にもなるから。
でもジョンハンはまるで自分のものかのように着るエスクプスの洋服を、本当に自分のもののように弟たちに貸してしまうことだってある。
たまにホシとかが自分の服を着てたりして、聞けば「ハニヒョンに借りた」とか言うから。
当然ジョンハンには文句は言うけれど、そこにはやっぱり愛があるような気もする。
本当の家族に、13人の兄弟に、13人それぞれの家族に。もう全部愛してるのかもしれない。当たり前のように。
でも一応「勝手にホシとかにも貸しただろ」と文句を言えば、「そうだよ。やってないじゃん」とあまりにもジョンハンが堂々と言うもんだから、笑ってしまう。
もう俺のものはお前のもので、お前のものも俺のもので。なんなら弟たちのものでもあって。お互いそう思ってて。
「ヤバイ泣きそう」
だから思わずそう言ったら、「そうか？ そんなに喜ぶならたまに電話してやるけど？」って、全然理解してないジョンハンがいた。
The END
1016moji
