妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

社内恋愛がはじまる世界線7 釜山編2

注意......

続きものだけど、別に前を読まなくても読めるかも。
そしてはじめに諸々書くのが面倒になってきたので、contentsを作った。

sevmin.hateblo.jp

 

社内恋愛がはじまる世界線7 釜山編2

仕事と恋人と、どちらがより大切なのか。
その問いに、ミンギュはいつだって「恋人」と言う準備はできているってのに、肝心のその恋人の方が、当然みたいな顔で「仕事」という人だった............。
「ウォヌヒョン、次の休み、どこ行く?」
後2日働けば休みが来る。できればレンタカーでも借りてドライブデートはどうだろうかって色々考えていたってのに、「俺仕事」とあっさり言ったウォヌは、仕事なんて全然人生のメインじゃないよね......みたいな見た目で、バリバリ仕事第一な人だった。
「嘘でしょ? なに? サービス残業的な? 俺、会社を訴えるよ」
「いや、普通に仕事。セキュリティのサーバー保守があるから、誰か出てくれって前に回覧回ってただろ」
そう言われて思い出す。休みの日に誰がこんなの引き受けるんだって思いながらミンギュはそれを無視したのに、引き受けたらしい。
「あんなの、放っておけば課長補佐とかが出てくるに決まってるじゃん」
「うん。普段はそうなんだけど、用事があったみたいで」
「ぁあ? 仕事もできないくせに何のために俺らより多く給料貰ってんだよ」
ミンギュが何故かキレていた。
誰かを悪く言うなんて珍しいのに。
「でも、子どもたちと約束した日だったみたいだから。何かのスポーツのチケットが取れたって、子どもたちにもう言っちゃったらしい」
「............ッ」
まさかの理由が子どもたちでは、ミンギュも黙るしかないんだろう。
「まぁでも24時間じゃないよ」
ウォヌはそう言ったけど、サーバー保守は基本夜中から朝にかけて行われて、早朝の5時ぐらいに終わる。何かあっても大丈夫な時間帯なんだろう。
確かに24時間拘束はされないが、残りの時間は睡眠や休息に使わないと、それでなくとも変な時間に働くことになるのに......。
「飯ぐらいは一緒に食べられるよ」
ウォヌにしてみれば、弁当でも買ってきて社内で一緒に食べたらって程度で口にしただけだった。まぁ普通はそれぐらいが当然だからで、ミンギュもその時はそれほど乗り気な風でもなく「わかった。そうだね」ぐらいだったっていうのに。
「当日、仕事はしないよね?」
「いや、するだろ。せっかく仕事場にいるから、ずっとリスケばっかしてる仕事とか片付けるよ」
立ち会うだけでいいはずなのに、仕事場にいるんだから当然のように働くという。人がいないからこそテキパキと仕事ができるとでも思っているのかもしれない。まぁ事実だろうけど。
「じゃぁ俺も行こうかな」
せめて一緒にはいたいからそう言ったのに、「休出の人員1名までだから、お前来ても無休だけど」とウォヌは素っ気ない。
もしも普通にミンギュがウォヌの彼女だったりしたら、とっくの昔に「仕事と私と」と言い出していたかもしれない。
だけどミンギュはもうウォヌが悪気なく、本気でそう言ってるのを知ってるし、「無休でもいいよ。俺はウォヌヒョンと一緒にいられるだけで、大分お得だもん」と言えば、「ふ〜ん」程度な塩対応だけれど、それでも喜んでることだって知ってるから。
「でも勝手に休日に社内に入れないから、事前に課長補佐にでも申請しとけよ」
「仕事はしないけどウォヌヒョンと一緒にいたいから休日に会社行きますって?」
「んー、そうだな」
「勝手にコッソリ行ったってバレないでしょ?」
「バレるに決まってるだろ」
当然のようにウォヌが言うから「嘘だぁ。釜山支社って本社並にセキュリティ高かったっけ? セキュリティカードなんてないじゃん。ただの首から下げる名札じゃん」って言ったのに、「だって俺が報告するもん」って言われた。
いや、黙っとけよ......って感じだけれど、思わず面白すぎて後からどれだけそれで思い出し笑いをしたことか。
しょうがないからミンギュは課長補佐に声をかけた。
仕事はするつもりもないのに休日に会社に入る許可を貰うのに、不思議な顔をされはしたが、子どもが喜びそうな場所のフリーチケットを差し出せば簡単に許可はおりた。
まぁ許可と言ったって、「別にいいよ」と言われた程度だった。
会議室のプロジェクターで映画を見るとも言ってみたけど、それだって「バレないようにしろよ」と言われただけ。
ついでに卓上コンロを持ち込んで肉も焼くとも言ってみたけど、「匂いは残らないようにな」と言われただけだった。
あまり仕事ができる方の人ではない課長補佐だけれども、謎に器は広いのかもしれない。
それをウォヌに伝えたら「ウジも言ってたよ。あぁいう人も会社には必要だなって」と言っていたから、ウジからも一目は置かれていたようで、それだけで尊敬したかもしれない。
もともと釜山支社にはユンジョンハンだっていたんだから、そう考えるとあまり仕事はできないかもしれないが、課長補佐は良い仕事をしてたのかもしれない。
「俺ちゃんと、課長補佐に許可取ったから」
自慢気にミンギュが言えば、ウォヌは「ならいいけど」と頷いただけだった。
休みでウォヌとミンギュ以外誰もいないのに、それでもウォヌはちゃんと着替えてた。
ジーンズにシャツにサンダル姿のミンギュは、手には海にでも行くのかって感じの大きな荷物を持っていたけど、ウォヌは多分気づいてもいなかっただろう。
会社につくならいウォヌはいつも通りにパソコンの電源を入れる。
ミンギュは早速会議室のプロジェクターに自前のパソコンを接続して、映画を見る準備を始めた。
ガスコンロもセットして、ポップコーンをつくる準備も万端で、後は飲み物の準備と応接室のソファを会議室に運びこめば、ゆったり席だってできる。
「お前、何やってんの?」
仕事の準備を順調に終わらせたウォヌが呆れたようにミンギュを見てた。
「俺は映画見るもん。はいこれ」
そう言って手渡したのは、今日の特設映画館の上映スケジュールだった。
ちゃんとウォヌが見たがってた映画を3本目に入れておいたから、それだけは見たいと思うはず。
「ちょうど昼休憩らへんだから、3本目は一緒に見ようよ」
素知らぬ顔で言ってみれば、「まぁ昼休みとちょっと長めの休憩ってことでいけるかも」と、ウォヌは簡単に釣れていた。
ウォヌがカチカチとキーボードを叩く音を聞きながら、ミンギュは見たかった映画を見る。
会社だと言うのにかなりくつろいだ格好で。
映画館じゃないから好きなタイミングで止めることもできる。トイレにだって行きたい放題だし、好きなタイミングで飲み物はおかわりできるし、ウォヌの状況も確認できて、「ウォヌヒョン、ちょっとこっちで休憩しない?」って声をかけることもできる。
「しない」
まぁウォヌには素気なく断られるけど......。
時折仕事に行き詰まると、ウォヌは「うへ〜」とか言う。そこにミンギュはすかさず「ちょっと休憩しなよ。その方が効率がいいよ」と声をかける。
効率って言葉が結構好きなウォヌは、「じゃぁちょっとだけ」と言ってミンギュの隣りに落ち着いてくれる。
すかさずストロー付の飲み物をウォヌの口もとに差し出し、すかさずウォヌの好きな食べ物をウォヌの口の中に放り込み、すかさずウォヌの好きな映画に変え、すかさず手を繋ぎ、しっかりと恋人繋ぎにする。
ウォヌは別段嫌がりもせず、その全てを受け入れて、ミンギュを満足させていた。
だけど「ちょっとだけが終わった」とか、5分も経たずにその手を振りほどこうとするんだけど。
「ぇえ、早いよ。もうちょっと休憩しなよ。それでなくても本当は休みなのに働いてるんだから」
ミンギュがぶーぶー言う。
「いや、昼まで、もう少し働く」
色んな誘惑に流されることなく、ウォヌはそう言って立ち上がった。ミンギュが最後までその手を掴んでいたけれど、それだってまるで船出の時の恋人たちのような感じで離れていく。
押しが強いように見えて優しさがさらに強いミンギュは、案外ゴリ押しができない。
その点、そういうのはウジの方が得意だった。いや、ウォヌとの付き合いが長いだけかも。
欲しい資料やデータがあると、曜日も時間も気にせずウォヌはウジにカトクする。大抵は「今何時だと思ってんだよ」って返事とともに、数分で資料は届く。
「日曜日なのに仕事かよ」
今日はそんな言葉だったけど、それでも欲しい資料は手に入った。
簡単に状況を説明すれば、「じゃぁミンギュにつきあってやれよ。協調性って言葉を知らないのか?」とも言われた。
「一分一秒を争う仕事でもないんだろうに」とも。
多分それは言い方とか考え方とかの話で、ウジはやっぱりそこら辺をよく心得ている。
まぁたまたま、ウォヌがゆっくりする時間帯と被ったっていうだけかもしれないけれど......。
ミンギュが呼びもしないのに、ウォヌはミンギュの隣りへと腰を下ろす。
「本格的に休憩?」
「うん。ちょっとのんびりする。酒は飲まないけど」
靴は脱ぐ。そうも言えば、楽なようにとスリッパだって用意したとミンギュが差し出す。
肉も食べる。そうも言えば、当然のようにすぐに焼けるよとミンギュが持ち込んだコンロに火をつける。
「お前ほんとに、これ全部許可取ったの?」
会社の中で映画を見るぐらい、そう思えてしまうほどに色んなものをミンギュは持ち込んでいたから。
「当然じゃん。だって許可とらないとウォヌヒョン五月蝿いじゃん。俺が唯一許可とってないのは、ウォヌヒョンを押し倒していいかってことぐらいだよ」
ミンギュが肉を焼きながら堂々と言う。
「会社では当然ダメに決まってる」
ウォヌはなんでもないように答えるけれど、家ではいいんだ......とミンギュがニヤってたのは気づいていなかった。
「ウジヒョンなんて?」
「あいつに協調性って言葉を知らないのかって言われた。でも絶対、俺の方が知ってると思うけど」
お互い仕事はできるのに、なんだか子どものような言い合いをたまにする。
そう言えば「付き合いが長いからな」と2人とも同じことを言う。ちょっとだけ妬けると言えば、ウジはうへぇって顔をする。ウォヌは不思議そうな顔で、「お前、ウジのことが好きなの?」とか言う。
どんなに真面目な会議中とかでも押し倒したいとか思うのは、ウォヌぐらいだってのに......。
実際やることだってミンギュとやってる癖に、なんでそんなことを言うのか。
ちょっとだけミンギュがぶすっとした顔で「俺が好きなのはウォヌヒョンだけなんだけど」と言えば、「そっか。良かった」とウォヌが笑う。
なにそれ色々全体どういうこと......って思うよりも前に、ミンギュはウォヌの笑顔に癒やされてニヘラと笑ってしまうけど。
肉は順調に焼ける。
「熱いから気をつけて」
そう言ってるそばからウォヌは「あちッ」とか言って口を抑えてた。
「ほら、言ったのに。火傷した?」
覗き込むようにしてウォヌの口を見れば、「大丈夫」って言いながらもウォヌは素直に口を開いて見せる。
その素直さが、自分にだけだといいなと思いつつ、ミンギュは笑って「ゆっくり食べなよ」と言った。
当たり前のように世話を焼くミンギュと、当たり前のようにそれを受け止めるウォヌと。
それはもう本当にただの相性なのかもしれない。
することが嫌いじゃなくて、されることも嫌いじゃなくて。
でも相手はウォヌじゃなきゃダメで、ウォヌだってきっとミンギュだからだと気づいてはいるだろう。
「この後の予定は?」
時々これ美味いって言いながらも考える顔をするウォヌは、大分長いこと考えた後、「お前と映画見る」と言った。しばらくは一緒にいてくれるつもりなんだろう。
「でも一本だけだから。その後はまた仕事に戻るから」
そうも言ってはいたけれど、ミンギュの用意した映画を見るためのあれやこれやを体感したら、抗えないかもしれない。
いやでもどんなにミンギュが頑張ったとしても、色んなことはさせてくれないだろうけど......。後はどれだけ早く仕事を切り上げて部屋に戻れるかって話になって来る。
もちろんミンギュの考える予定は完璧で、どうしたって一度は仕事に戻るだろうウォヌが働く間に今度は秒速で仕事場に持ち込んだあれこれを片付けるだろう。
ウジ辺りがそれを知れば、「いやお前、その意気込みを仕事に使えよ」とか言われそうだけど、ミンギュはほぼすべての気力も実力も運も当然精力も、ウォヌとの時間のために使っていると堂々と言えるから............。
「会社はそういうことをするところじゃないだろ」
と、何度か言われたミンギュだったけど、次の週末は絶対一緒にどっかに遊びに行く約束もとりつけていたから、満足してそうだった............。

The END
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