いつか書こうと思ってたやつ......
しかし、本は持ってないし、読んでもいないので、おはなしの中身は知らないし、今回のおはなしとは、全く関係がない......ので、ご了承ください。
そして驚くほどにショートなおはなしたち。
そしてライン別です。
95ライン
少年エスクプス
大人になったら、旅に出るんだと言ったら、アボジもオンマもヒョンも、そりゃあいいと言ったけど、エスクプスは少年のままだった。
この世界は恋をしないと大人にはなれないから。
同じ町には可愛い子も素敵な子もカッコいい子も面白い子もたくさんいるのに、エスクプスは一度も恋をしたことがなかった。
それなのに............。
「あ、ごめん」
不意にぶつかっただけの相手は、普通に謝ってくれて、そのまま行ってしまいそうになる。
でもエスクプスはその声に、表情に、顔に髪型に見た目に会釈した時の角度に、それから足早に歩いて行く姿に、恋をした。
慌てて追いかけた。それが旅のはじまりだった。
追いつくかって時に相手が消えかけたから掴んだら、一緒にこの世界から消える羽目になった。
でも恋をしたから、旅に出たんだと、家族は思ってくれるはず。
とびきり素敵な恋を見つけたんだと............。
タイムマシン
「おょ?」
見知らぬ町を通り過ぎただけ。
タイムマシンって言ったって、どこでも行ける訳じゃなくて、面倒なことはたくさんあって。
だから自分の暮らす世界に戻るために立ち寄った見知らぬ世界の見知らぬ町で、珍しく人にぶつかりそうになった。
ちょっと印象的なほどの目に惹きつけられたからだとは、その時は気づけなかった。
だから普通に謝って通り過ぎて、人気のない場所でタイムマシンを作動させたっていうのに、気づけば後を追ってきていた男が一緒で、世界を超えていた。
ぶつかりそうになった時には、まつ毛がバチバチで目がでっかくて、少年のように見えたのに、改めて見れば、なんだかしっかり、男だった。
「おょ?」
2度目も変な声が出た。だって抱き締められたから。
別の世界から人間を連れてきてしまった時の罰則はなんだったか考えて、とりあえず家に匿おうとか思ったジョンハンだった。
美女とジョシュアと野獣
ジョンハンが泣きついてきた。
どっかの世界から、連れて来ちゃったって言って紹介されたのは、エスクプスだった。
2人で暮らしてる家に、そうやってエスクプスがやって来た。
別に家は広いから、2人が3人になったって何も問題はないんだけど、「ジョンハンに恋をしたから大人になった」というエスクプスの世界では、性別っていうのは問題じゃなかったのかもしれない。
まぁそれだって別にいい。
もうそんな時代でもないし。
でも世界が違うから、色んなことが違うんだろう。
「きっと俺たちの子どもは可愛いと思う」
真剣な顔でエスクプスが言う。
「まぁ俺も、俺たちの子は可愛いとは思うけど」
ジョンハンがそんなことを言うもんだから、エスクプスは自信満々で頷いていた。
いや、産めねぇわって言えよと思いつつ、聞かなかったことにしたジョシュアだった。
96ライン
思い出が行方不明
ジュンは異世界から来た記憶があるという。
でも事故にあって記憶喪失になって、この世界にとどまっているらしい。
「なにその、テキトーな設定」
ウォヌは何を言っても笑うし、ウジは何を言っても呆れてるけど、ホシは何を言ってもスゲーと言う。
いつからかチングとして高校生活を送っていた4人だったけど、「確かに俺ら、思い出ってないかも」とかウォヌが言い出した。
「なんかあんだろ? そこはかとなく」
ウジがテキトーなことを言う。
「バカなことばっか言ってるから、思い出がハッキリしないんだって」
ホシは時々鋭いこと言う。
「でもさ。異世界人って宇宙人なん?」
ウォヌがそんなことを言い出せば、ジュンは自分のことだというのに「さぁ」と言い、ウジは他人事だからと「俺が知るかよ」と言い、ホシがなんでか「いや違う」と断言してた。
そして今日も、思い出に残りそうもないバカな会話を繰り広げてる4人がいた。
水面20センチ
海に行こうと言ったのに、行き着いたのは湖でも川でもなければプールですらない。
そこは公園の噴水だった。
「ここでいいだろ」
ウォヌが言う。
「泳げるか?」
ジュンが真面目な顔で聞く。
「お前の努力次第だろ」
ウジがテキトーなことを言う。
「俺は泳げる」
ホシは本気で答えて、なんでか笑われた。
近くでは小さい子どもがパンツが濡れたと泣いていた。
それを見て、ウォヌもジュンもウジも微妙な視線をホシに向けていたけど、「いや、俺はパンツ濡れたぐらいじゃ泣かないって」と言い切っていた。
たぶん、そう言うことじゃないと思うけど、ホシには全然伝わってなかった。
最後の砦
ウォヌは自分のことを、最後の砦だと結構真剣に思っている。
ジュンはちょっと不思議だし、ウジは常識がありそうで実はないし、ホシは異次元的に自由だし時々バカだし小さいことどころか大きいことも気にしないし。
噴水でバタフライをして頭をぶつけた時には、これ以上バカにはならないだろうと思ったのに、「俺が間違ってた」とか言うからやっと判ったのか、噴水じゃ泳げないってことが......と思ったら、「ここは平泳ぎ専用だわ」とか言い出して、やっぱり泳いでいた。
ため息つきつつ「俺がいないと」的なことを言えば、なんでか全員に全否定されたけど。
ジュン曰く、「最後の砦なら、洋服のまま泳ぐ前に止めろよ」ってことらしい。
ウジ曰く、「いやそれなら、噴水を目指した時点で止めてやれよ」ってことらしい。
ホシ曰く、「俺はバタフライ前に止めて欲しかったけど」ってことらしい。
最後の砦は、結構簡単にはなれない。
兄弟物語
4人でつるむと大抵、兄弟みたいだとか言われる。
そうしたら一番下みたいに言われる。
確かに96ラインの中では一番誕生日は遅いけど、頼りないのはフラフラしてるジュンの方だし、ボーッとしてるウォヌの方だし、自由すぎて脈略のないホシの方だし。
「俺びしょびしょ」
噴水で泳いだホシが言う。
「見たら判る」とジュンが答えてた。
「うん。知ってる」と、ウォヌも答えてた。
3人揃ってそのままウジのことを見てくるけれど、言うことなんてない。
「帰るか」
だからそう言えば、3人とも「そうだな」って頷いて歩き出す。
帰り道なんて誰も知らないのに、トボトボと歩き出す。
もう大分長いこと一緒にいるから、兄弟でもいいんだけど。でもその時は自分が長男だと思う。
いつかそう言ってやろうと思いながら、歩いたウジだった。
97ライン
青い城のあるじ
ディエイトはお城に住んでいる。
大きいお城で1人で暮らすのは寂しいけれど、料理を作ってくれる人がいて、掃除をしてくれる人もいる。
「ミョンホや〜、飯が出来たぞ〜」
長く一緒にいすぎたせいか、この城のあるじはディエイトだって言うのに、公式でない名前を呼ぶ男がいる。
「わぁ、わぁ、わぁ〜〜〜」
時々叫ぶ声が聞こえたと思ったら、高い皿とかを割っている。
長い廊下を歩けば、まるでミュージカルでもしているかのように、歌い踊りながら掃除をする男がいる。
この城のあるじはディエイトだって言うのに、掃除をする男が「汚れが目立つ壁紙はやめようぜ」とか言うから、この城はいつだって青系でまとめられてて、いつの間にか外の人からは青の城とか呼ばれてる。
いや、お前がちゃんと掃除したらいいんじゃないの?って、いつかは言ってやると、思い続けてるディエイトだった。
ミンギュと魔女の恋
ミンギュは魔法使いだけど、誰も信じない。
まぁ料理は得意だから普通にこなしちゃうし、ベッドメインキングも好きだからやっぱりやっちゃうし、なかなか魔法を使うタイミングがないからだろう。
ミンギュはいつか魔女と恋をして、幸せに暮らすのが夢だった。
それを言えば、「で、魔女ってどこにいるの?」とドギョムが聞いてくる。
知らないけどって言えば、ディエイトが今度は「じゃぁ魔女狩りでもしてやろうか?」と言う。
いやなんか、それは雰囲気が違うというか、きっと余計に魔女たちは逃げて隠れてしまう気がする。
でもこういうのは運命の出会いだと思うからって言えば、「でもお前ここから出ないじゃん」とドギョムが言う。「やっぱり魔女狩りだな」とディエイトが言う。
いいよいつか出会うから。
そう言えば、「いやいつかなんてないって」「やっぱ魔女狩り」と、いつまでも同じような会話が続く。
そして今日もミンギュの1日が過ぎていく。
アーサー王は何処に
剣を抜ける人になりたい。
ドギョムはミュージカルが好きだけど、中でも一番好きなのはアーサー王の物語。
いつか自分もって、時々は真剣に思ってる。
「バカだな。あれは絶対、みんな簡単に抜けるのに抜けないフリしたに決まってるじゃん」
ミンギュは魔女との出会いを夢見てるくせに、人の夢には辛辣だった。
「まぁそうだろうね。面倒臭いことは、誰もやりたがらないのと一緒だよ」
昔からの城を1人で守ってるくせに、ディエイトまでもがそんなことを言う。
でもアーサー王には、周りを守ってくれる騎士たちがいた。
「そんなの、そんな間抜けで頼りないやつがいたら、しょうがないから助けてやらなきゃっていう感じだって」
ミンギュが言う。
「まぁそうだろうね。放っておくのも、寝覚めが悪かったんじゃない?」
ディエイトが言う。
そうかなぁ............とドギョムはちょっとだけ凹んだけれど、いつかドギョムが剣を抜いてしまったら、2人は絶対についていこうと、守り抜こうと決めてるなんて、知らなかったけど。
いやでも2人が強すぎて案外悪どくて辛辣だったりするから、いつかのドギョムが民衆から英雄視されるかは謎だったりするんだけど......。
マンネライン
赤毛のブスングァン
スングァンは遠くの町からやって来た。
ちょっと赤毛で、学校では転校生なんて興味を持たれるのは一瞬で、大抵ちょっと寂しいというか詰まらない思いをして、最初に失敗すれば虐められる可能性だってあるのに、転校初日、スングァンは転校生なのに学校の先生のモノマネを披露して、大喝采をあびてあっさり人気者となっていた。
「転校生って、そういう感じなんだ」
町では転校生自体が珍しいからか、バーノンは簡単に納得して、「そんな訳ないだろ、俺の努力と才能と場数と美の結晶に決まってるじゃん」とスングァンに言い返されていた。
「美ってどこかにあった? そんなの」
一緒にいたディノにはそんなことを言われた。
2人とも、スングァンがお世話になったお家の隣りに住んでいて、学校までの道のりを案内してくれた。
「友達になってくれる?」
スングァンがそう聞いたのに、「誰かの友達に、なってあげたことなんて、一度もないけど」と、友達なんて気づけば友達なんだと言うバーノンと、「お俺も友達でいいの?」とディノは逆に喜んでいた。
虫が苦手な森の人
バーノンの家系は森の人と呼ばれる家系だ。
いつかはバーノンだって大自然の中で暮らす......かもしれない。
でもバーノンは虫が大嫌いで、苦手すぎて埃にも驚いて逃げるほどだ。
そんなバーノンの隣りに、つい最近別の町からスングァンがやって来た。
バーノンのことは森の人と紹介されてしまったから、虫が苦手だとは言い出せなかったし、チョウがヒラヒラしてたって我慢してたっていうのに、「あ、バッタだ。食べられるかな?」ってスングァンが言った時には卒倒しそうになった。
バッタを食べる食べないで見たことがなかったから。
「ボノニヒョン、都会ジョークじゃない?」
ディノがそう言うから、「な、なるほど」って復活しかけたっていうのに、「足は毟る派? そのまま派?」と聞かれて、腰が抜けそうになったほど。
世の中色んな派ばつはあれど、初めて聞く派ばつだった。
ディノは魔法使い
隣りに越してきたスングァンが、バッタを食べる食べないと言い出した時、バーノンは卒倒しかけたけど、ディノだって慌てた。
「バッタは食べないよ。俺の弟子たちだし」
そう言えば、スングァンは驚いていたけれど、ディノの家系は魔法使いだってことを思い出したようだった。
本当は犬とか鶏とか、もうちょっと大きな個体を従えて歩きたいけれど、ディノは魔法使いの家系の中でも傍系の傍系の傍系で、虫たちにお願いしたら、虫が苦手なバーノンの周りには寄って来なくなるぐらいのものだった。
それでも言うことは聞いてくれるから、ディノにとっては虫たちは弟子だった。
「そうなんだ。だってこっち来る途中に、バッタは煮付けが美味いって言ってるおじいさんがいたから」
ここらは食べないよと教えてあげれば、「ちょっとだけドキドキしてたから良かった」と笑ってた。
ディノには解らないけど、転校生は大変らしい。
なんでか誰よりも人気者になってたけど、友達はバーノンとディノだけだっていうスングァンは、「郷に入っては郷に従え」って言葉を教えてくれた。
でもってそれからは毎日のように、バーノンとディノと走り回ったりして遊んで暮らしてる......。
最後に......
超ミニマムなおはなしにしたのは、文庫だったから。
タイトルだけなんとなく文庫にあわせようと頑張ってみましたが、中身は超テキトー。
まぁそれはいつもだから許されるだろう。
家の中にモノを置くのが嫌いで、それこそ色々処分しまくってる現在なので、本は買わなかったんですが、でもセブチさんたちのあの表紙には、惹かれたんだよなぁ。
いやほんと、13冊買ってしまいそうになったもん。
と言うこどで、SEVENTEEN文庫でした。
※15少年漂流記は書いてないけどね~