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SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

DREAM


SEVENTEEN (세븐틴) 'DREAM' Official MV

SEVENTEEN (세븐틴) 'DREAM' Official Teaser

 


SEVENTEEN(세븐틴) JAPAN 1st EP 'DREAM' Highlight Medley


[Choreography Video] SEVENTEEN(세븐틴) - DREAM


SEVENTEEN (세븐틴) 'DREAM' 応援方法

DREAM

やけにリアルな残像

ため息をついた。目覚めた瞬間には、目の前に広がるのは見慣れた自分の部屋で、ベッドで、見下ろせばそこには見慣れた、昨夜風呂の後に自分で着たスウェットで。
汚れが目立たないだろうと買った鼠色のそれは、大分長いこと着ているからヘタってたけど、家の中でしか着ないし家には誰も呼ばないから何も問題ない。
だけど夢の中で、そのスウェットを捲って手を中に差し入れてくる奴がいて、自分も抵抗なんてしてなかった。
見慣れた家の、見慣れた天井。
リアルだったけど、それでも夢だからいいやって最初は思ってたのに、同じ夢ばかり見る。それはもう毎晩。しかも毎回押し倒されている。
「いやでもなんで俺、男と付き合ってんの?」
思わずジョンハンは自分でツッコんでしまったほど。
いやでもそれよりも問題なのは、高校生でもあるまいし......とは思うものの、夢がリアル過ぎるからか、最近目覚めると自分の息子が元気だったりして、朝からシャワーを浴びる羽目に陥ることだってあって......。
夢だから、「いい加減にしろよ」と相手に文句を言うこともできない。
とりあえず、次の休みには夢占いとかに行ってみようとか真剣に思いつつ、今日もシャワーを浴びてから仕事に行くことにしたジョンハンだった。

The END
20221109

 

今夜また見るんだろう

別に、覗いてる訳じゃない。面倒なのか男の一人暮らしだからどうでもいいと思ってるのか、カーテンも閉めずにどんどん洋服を脱いでいく男は、ウォヌの裏のアパートの男で、ウォヌの部屋からは良く見える。
手を伸ばしても届きはしないだろうが、声をかけたら聞こえはするだろう。
でもあっちからはこっちは見えない。
ウォヌの部屋にはいつだって、薄いカーテンがかかっているから。時折風が吹けばヒラヒラと動きはするけれど。
「なに? ウォヌの好きなやつってアイツ?」
遊びに来てたチングのホシが、一瞬ウォヌが視線を動かしただけなのに、ピタリと言い当てる。
「男じゃん。しかもジュニよりデカいじゃん」
そう言ったのはウジで。
「でもいい男だね。優しそうだし」
悪くないと言う感じでジュンが誉めてくれたのが、ちょっと嬉しかったり。
「うん。モテるみたい。いつも色んな人と一緒にいるし」
あの部屋には色んな人がくる。でもカーテンは閉められたことがない。
「告らないの?」
ホシはそう言うけれど、ウォヌは首を振る。
「告らせろよ」
ウジはそう言うけれど、ウォヌは苦笑する。
「お似合いだよ、あの子とウォヌは」
ジュンはそう言う。やっぱりジュンの言葉は嬉しくて、思わず笑ったウォヌだった。
でも今はまだ、見てるだけで満足なんだけど......。

The END
20221109

 

Dejavu

なんでかホシが突然ウォヌんちで騒ごうとか言いだして集まってみれば、ウォヌの思い人を見ることができた。
男じゃんとウジは驚いていたけれど、あらゆる層のキレイどころにモテてるウォヌが見てるだけで満足してる相手が男だったとしても、ジュンは別に違和感は抱かなかった。
それに見てるだけって言う意味で言えば、ジュンも見てるだけだった。
1人暮らしの部屋の中は、スッキリしている。黒で統一させてるし、余分なものは置いてないし。
なのに不意に増える壁の絵は、誰が書いたかは判ってる。
ただ、会ったことはまだないけど。
それは既視感。過去に一度経験したかのような。そんな出来事。
きっとその過去は、今の生の前の出来事なんだろう。
そしてそれは、未来でもあって、いつかやって来るんだろう。
時折残像のように、誰もいない部屋の中をしなやかに動く人の姿が見える。
そう言えば、ホシは「怖ッ」って言うし、ウジは「地縛霊だろどうせ」とか酷いことを言うけれど、いつか交差する人生が来ることを信じてる。
しっかりしてるようで良く何かを探してるような様子だったり、心強くに見えるのに時折何かに不安にもなるのか、小さい子どものように隅っこに隠れてしまうこともある。
いつか会えたら、一緒に探してあげるのに。それから一緒に何にでも、立ち向かってもあげるのに。

The END
20221109-20221110

 

ただ「星になろう」って

「好きだ」とウジに告ったら、なんでか「今じゃない」と断られた。
「え? 忙しいの?」って聞いたらムスっとした顔と声で「そういうことじゃない」と怒られた。
ウォヌとジュンに相談したけど、チングな2人はあんまり役に立たない。
だってウォヌは「時間が悪かったんじゃないか」と言い、ジュンは「場所じゃないか」と言ったから、色々頑張ってみたというのに。
「朝も夜も昼もダメだったから、俺はちゃんと1時間毎に寝てるウジを起こしても試したし、部屋の中もベッドの上も、トイレだって風呂場だって試したのに全然ダメだし」
そう言ったらウォヌは爆笑するしジュンはダダ引きしてた。
「............いや、場所ってそういうことじゃないって、俺でも判るけど」
ジュンにはその後、そんなことまで言われたけれど、結局ウォヌとジュンは2人してため息を思いっきりついた後に、「時間も場所も俺たちが決める」と言い出した。
なんか嘘っぽいけど、2人の言われるままの時間と場所で、ウジに「好きだ」って告ったら、なんでかウジは「うん」と言う。
「ぅえ? マジで?」
告ったのは自分のくせに、変な声が出たホシだった。
「なんだよ。俺がいつどこで告っても「は?」とか言うだけだったクセに」
喜ぶ以前に思わずそう言ってしまったけれど、「そりゃそうだろ。夜中の2時に叩き起こされて告られて、誰が嬉しいんだよ。それに、風呂場にトイレにベランダに玄関に台所に、飯を食ってる時ってのもあったし、喜ぶポイントどこにもなかったじゃん」と結構言い返された。
「ぅえ? 俺の本気の愛を差し出してるのに、そんな、時間や場所にこだわるのかよ」
一応そう言い返しはしたけれど、「当然だろ」と言われてちょっと「ウッ」ってなる。
それからウジから、「お前、絶対プロポーズとかでも失敗しそう」とか酷いことも言われたけれど、よくよく考えてみれば............。
「相手はジフニなのに?」
そう言ったら聞いてない振りをされたけど、ウジは耳まで真っ赤にしてたけど。
あぁでも大丈夫。プロポーズの時には最初からウォヌとジュンを頼るから。

The END
20221110-20221114

 

夢を追うのか 追われてるのか 

「スングァナ」って呼べば、「ん~?」ってどこからか声がする。
「どこだよ」って聞けば、「ここ~」って声もする。
「来て~」って言えば、「もぉ、なんだよ」って怒りながらも顔を出す。
バーノンに取ってスングァンはそんな相手で、それはずっとずっと続くと思っていたのに、気づけばスングァンのことを見失っていた。
きっとこれは夢だ。目が覚めればそこにはいつもみたいに笑うスングァンがいて、「いつまで寝てんだよ」ってプリプリ怒ってるはず。
遅くなったけど、一緒にブランチでもしようって言えば嬉しそうに笑って、すぐに機嫌を直すはず。
そう思うのに、夢は一向に醒める気配を見せない。
あんなにいつも一緒にいたのに、「お前と一緒にいたやつ?」って、不思議そうな顔をする人の方が多かった。
「スングァニが見つからない」ってバーノンが言うたびに、「それ誰?」って言われることも増えた。
お前たちはいつも一緒にいて飽きないのかよって、色んな人に言われてきたのに。
街を歩けばスングァンの好きな色が目につく。アイスクリームを食べようって誘ってくるその顔と声も覚えてて、2人して1つだけ注文することだってあったのに。
毎日のように通ったコーヒーショップのヌナたちも、たまに1人で買い物に行くと、珍しい今日は1人なんだと揶揄ってきたっていうのに。
だからバーノンは今日も、目覚めますようにって願いながら眠りにつく。
それも無理ならせめて夢で逢えますようにって願いながら。
スングァンは絶対に、自分がいないとダメなんだからって、誰に言うでもなく口にしながら............。
The END
20221114-20221115

 

目を覚ますと

ディノが目を覚ますと、同じベッドの中にはスングァンがいた。
「スングァナ、なんで人のベッドに入って来てるんだよ」
そう文句を言ったけど、スングァンが潜り込んで来た訳じゃないことは判ってる。
昔から、ディノは夢の中で誰かを呼んでしまうことがあった。
小さい頃はオンマやハルモニだったりすることが多かったけど、距離も時間も関係ない。
ディノが目覚めれば、みんな消えてしまう。どうやら元の場所に戻っているようで、呼ばれてる側はそれこそ夢を見てるとでも思っているのか、誰もディノをバケモノ呼ばわりすることはなかった。
でもハルモニは亡くなった後も何度かディノのもとに来てくれた。
それだけディノの思いが強かったのか、それともハルモニ自身も心配だったのかは判らないけど、ある時「おちおち成仏できないだろ」って怒られて、それ以来は来てくれなくなった。
最近は目覚めるといつもスングァンがいる。
なんでかディノが目覚めてもスングァンは消えていなくなったりはしなくて、その変わり起きてもくれなくて。
自分が呼んでるのか、スングァンの意思もそこにはあるのか、よく判らない。
普通にディノが日常生活を過ごして部屋に戻ってくる頃には誰もいなくなってるから、どこかには戻ってはいるんだろうけど......。
自分の変な体質のせいではあるかもしれないけれど、それだけじゃないような気もしてる。でも、だからどうするってこともできない。
誰かに言ったこともない。だから当然助けを求めたこともなかった。
でももう1人ではどうしようもなくて、いつもスングァンと一緒にいたバーノンに「スングァニをどうにかして欲しい」って泣きついたら、物凄い驚かれて、それから逆に泣かれたけど............。
その日バーノンはディノの部屋に泊まりに来た。そして次の日、同じベッドの中にスングァンを見つけて号泣してた。
1つのベッドに男3人はさすがに狭いな......ってディノは思ったけど、スングァンはやっぱり起きなくて、バーノンはその日から連日、ディノの部屋に泊り続けている。

The END
20221115

 

夢で出会った

時々夢で出会う人がいる。金髪が良く似合うその人は楽しそうに笑ってて、見知らぬ人なのに夢の中で「ドギョマッ」ってその人に名前を呼ばれると物凄く嬉しかった。そう言うとミンギュとディエイトもまた夢の話かよって笑うけど、ドギョムはそんな2人とも友達になったのは夢の中が最初だった。
なかなかリアルな世界での人付き合いが苦手なせいか、いつだって夢の中で予行練習が行われるのか。
それはただの夢で、ドギョムが勝手に見てるだけのものだってことは判ってる。でもそれにしてはリアルで、夢だなんて信じられないものなのに。それに金髪のその人は、夢の中でしか会ったことがない。
「そんなことより」
そんなことよりと、ディエイトは最近家の中で人の気配がするという。
気配ぐらいなら我慢するけど、なんか圧が強いといいうか主張が激しいというか、時折捕まえられそうな気配もするというから、怖すぎる。でもディエイトは、「でも嫌じゃないんだよ不思議と」と言う。
「何それ怖すぎ」
そう言うミンギュだって、最近ずっと誰かの視線を感じるらしい。しかも結構近距離で。でも振り返っても誰もいないらしい。
「どうせお前のストーカーだろ。何人目だよ」
ディエイトが冷たく突き放す。
絶対、リアルな世界だけで知り合ったなら、友達にはなれてなかったhず。だって2人ともキツイ感じが強く出てることもあるし、ミンギュはそれこそ見た目が強すぎて、ディエイトは中身が強すぎるから。
「俺の夢の話が一番マシじゃん」
ドギョムがそう主張するのに、2人は揃って「どこがだよ」と突っ込まれる。
でも、いつか知り合いになったら紹介すると言えば、2人とも「変な奴に引っかかるなよ」と言ってくれたけど。

The END
20221115

 

魔法って呼ぶにはあまりにも現実みたいで

誰かに好きになってもらえることと、誰かを好きになること。それがピッタリ重なって、好きな相手から告白されたりすると、それは運命みたいな気もするし、奇跡みたいな気もする。
でもウジの家系は魔法使いだ。と、小さい頃にハルモニが言っていた。
手を振ってもモノが浮かぶこともなければ、飛んだりもできない。魔法の杖も持ってないし、フクロウとかを飼ってる訳でもない。
「でも強く願うことは大抵叶うよ」
ハルモニが自慢気にそう言うから、まだ子どもだったウジは、まだ遊びたいとか、どこそこに行きたいとか、そんなふわふわしたことを願ってた。
でも気づけば願いのほとんどは叶ってて。
ただ一緒にいると楽しいから。そんな薄い気持ちだったはずなのに、いつからだろう。ホシがずっと隣りにいるようになったのは。
きっと願ったのは自分で、ホシは魔法にかかったんだと思う。
そう言えば、ウォヌは笑って「大抵の願いが叶ってきたのは、お前がひとりっ子だからだろ」と醒めたことを言うし、ジュンは真剣な顔で「ホシなんてどうでもいいから、もっとお得なことを願ってみろよ」とか言ってくる。
好きだとか、愛してるとか。ホシは四六時中言ってくる。そこには雰囲気だとか、甘い空気なんてものはなくて、色んな好きと並列な感じでちょっとだけムカついていた時。
ウォヌが「じゃぁ絶対にホシは思いつかないような、虹色に光る観覧車をバックに告ってくるとか想像してみて」と言えば、ジュンだって「じゃぁ時間は、11時22分だな」とか言い出す。
そしてその話題が出た数日後には本当にそんな出来事があったけど、そんなの絶対ウォヌとジュンが手を回したか差し伸べてくれたかは確実で。
だってウジはそんなこと願わなかったから。
でもお揃いの時計とか何か、見えないところでペアルックがしたいなとかジョシコーセーみたいなことを考えただけ。
でも何事もなくもうすぐ家に着くってぐらいの超近所のコンビニ前にあったガチャガチャをホシがなんでか急にまわしはじめて、物凄いちゃっちいキーホルダーが2つ。色も形も同じで、きっとそのガチャガチャには同じものしか入ってないんじゃないかって感じだったけど、誰にも言わなかったのにウジの願いはまた叶ってしまった。
やっぱりすべてはウジの魔法の力かもしれない。でもそれでも構わない。
全部が魔法の力だったとしても、手放せないぐらいにはウジだって思ってるから。そんなこと、絶対言わないけど......。

The END
20221116-20221117

 

現実だとしたら胸あふれそう

2人の間を通り過ぎていく風は、なんとなく2人の空気をまとってる。
気づけば誰かが一緒にいた。
普通そういうの、影薄く存在するはずなのに、その人は輝いている感じだった。
ミンギュとドギョムにその話をしたら笑われて、そのうちハッキリクッキリ見えるようになるんじゃない? と言われて一緒になって笑ったけれど、ちょっとだけ期待した。
見知らぬ誰かでもないような存在なのに、自分のための存在がどこかにいるような気がして。
でもタイミングは悪いし時々はぶつかるような錯覚にも陥るし、きっとこれが現実だとしたら、一日の大半はイラッとしてそう。
でも寝る前のひとときとか、ちょっとだけ寂しい時には、もしもこれが現実だとしたら......って真剣に考えたりもする。
物言わぬ人は今日も部屋の中を歩いてる。なんでか壁をさわさわしてるから、気になって一緒のところを見てしまう。見てるうちにそうだと閃いて昔描いた絵をそこに飾ればその人も納得したのか、まるで絵を見てるような動きを見せた。
あぁ会いたいな。
真剣に願ったら、会えるだろうか。
そのうち忘れた頃に会えるんじゃね?とミンギュは言ったけど、忘れられそうにはない。だって毎日、人の家の中で鬱陶しいほどに輝いてるんだから。

The END
20221117-20221118

 

時間 / 空気 / 温度 / 君 そう 僕のすべて

スングァンはバーノンのことを愛してる。
でも、同じように本当の弟のように思ってるディノのことも愛してる。
家の近所の美味しいコーヒーショップも愛してる。
毎日寝る前に塗ってる保湿クリームも愛してる。
スングァンの周りには、I Likeじゃなくて、I Loveがあふれてた。
毎日色んなことが楽しくて、新しいことに出会えば嬉しくて、でもいつもと同じってことだってこれまでと同じように楽しくて幸せで、ワクワクがあふれてて、どうしよう。こんなに幸せすぎて、これ全部夢じゃないの?って思ったら、夢から抜け出せなくなった。
「おっとけ。ボノナ」
そう呟いても、「なにやってんだよ」と怒ったような口調で、でもいつだって絶対に振り返ってくれるバーノンの姿が見えなくて。
「ケンチャナケンチャナ。ディノや、ヒョンは大丈夫だよ」
緊張すると自分に向かって「ケンチャナケンチャナ、チャナ、ケンチャナ」っていうディノを真似てみたけれど、全然大丈夫じゃなかった。
でもそのモノマネが作用したのか、なんでかいつだって起きればディノの部屋にいたけど。
「なんだよぉ」
全然抜け出せなくて悲しくなったけど、でもディノの側にはいられることに少しだけホッとしていたら、いつの間にかバーノンもやって来た。
2人して目覚めないスングァンのことを起こそうとしてくれる。全然起きれないけど。
ふざけだした訳じゃないけれど、ここはもうあれじゃないかとスングァンは閃いた。
「やっぱりキスで目覚めるんだって。お伽話はそういうのが定番なんだって」
熱く語るけれど、当然それが2人には聞こえないから、なんでかディノは毎日スングァンの脈や熱を測ったりするし、バーノンは身体を拭いてくれるけど。
「そうじゃないんだって」とスングァンが1人で身悶えている。
なんで2人も揃っててそういう考え浮かばないかなぁ......と、最後の方にはイライラしまくってたスングァンがいて、「あぁもうそうじゃないんだってッ」って盛大に文句を言いながら起きてくるのは、もう少し先だけど......。

The END
20221118-20221124

無重力に乗って

見られていた。誰かに。
でも道を歩けば色んな人から視線を向けられるような人生を歩んできたし、いつだって誰かがついてきてスカウトされることも多いし、正直そんな視線には慣れていたから、長らくミンギュは気にしてなかった。
自分が標準以上に男前なことは知っていて、誰からも人気があって、誰からも好かれていて、誰からも視線を送られて、誰からも羨ましがられて。
きっと前世では世界でも救ったのかもしれない。それぐらい、恵まれた人生を送ってた。
だからもしも自分が誰かを好きになったら、その人は絶対自分を好きになる。
小さい頃は当然のようにそう思ってたのに、ステキな人もカワイイ人もカッコイイ人も、物凄く魅力的な人も、色んな人がミンギュの前にはいて、今度こそ愛せると思って付き合うのに、誰もミンギュの特別にはならなかった。
見られてた。誰かに。
気づいてみれば、家の中にいてもその視線は追いかけてきたから、こりゃ本格的にストーカーでもいて家の中を盗撮でもされてるなとか思っていた。
もうそんな相手でも全然良くて、吊り合いなんて取れてなくても、どんなに見窄らしくても、愛せる存在ならなんだっていいって思ってた。ちょっとどころか大分傲慢な感じ。
それが一瞬で覆ったのは、ある日ふわりとカーテンが浮いたから。
それはまるで無重力の世界のように。
そうしたらその向こう側、結構な近さからこっちを見てる目を見つけた。
「あ」
思わずそう口にしたのは同時で、その日以来ミンギュは視線を感じなくなった。いつも見られていたはずなのに。
自分が1番だったはずの世界が覆った日。名前も知らないのに忘れれない人ができて、家は判ってるからいつだって尋ねていけるのに、それもまた勿体無い感じがして、誰かを思う自分に浸ってる。
そんなことを悠長に思ってたら、ある日その家には金髪のでも頭以上に整った顔が派手な兄さんがいた。
「ウォヌや。向こうもこっち見てるけど?」
結構な近距離なのに人のことを指差して、楽しそうに笑ってる。
「誰あんた」
思わずそう口にして、まだ名前も知らない相手を束縛していたミンギュだった。

The  END
20221124-20221128

 

もう少しだけ早く眠ろう

夢の中で恋をした。
それだけならなんとなく素敵な雰囲気も多少はあるが、夢の中でキスをして、夢の中で押し倒して、夢の中でセックスまでしてしまった。
なんだかもう変態でしかない気がする。
しかも相手は男で、でもとびきり綺麗で、だけど軟弱なんてこともなくて、男前でカッコよくもあって強い。
夢の中でしか会ったことがないのに、なんでそこまで判るのか。
自分でも不思議だけど判るんだからしょうがない。もっと小洒落たデザインマンションとかに住んでてもおかしくない見た目に反して、家は普通だった。
妹が作ってくれたというカーテンはファンシーだったし。
夢の中だけなんてあり得なくて、はじめてシたその日から、エスクプスは夢で会う人を探してた。
窓の外の景色を見ようとしても、いつだってそこにはカーテンがひいてある。
住所が書かれた何かを探しても見つからない。
本人から聞けばいいんだと閃いても、気づけばいつだって愛し合っていた。
とうとう行き詰まってジョシュアに相談したら驚いていたけど、「じゃぁお前から伝えてみたら」とナイスな助言をいただいた。
「会いたい」と言ったら驚くだろうか。
「身体だけの関係でいい」とか言われたらどうしようか。
「夢の中で何言ってんの」って言われるかもしれない。エスクプスだって最初はそう思ってた。
でももう夢だけじゃ、我慢できない。
目覚めた後も、ずっと一緒にいたいから。
早くそれを伝えたくて、今日はいつもよりももう少しだけ早く眠ろうとか、思ってたエスクプスだった。

The END
20221128-20221130

 

やっと出会えた

ジョシュアはため息をついた。
幸せが一つ逃げてった。
この幸せの分はエスクプスの驕りで食べて飲んですることにした。それぐらいは許される。
夢の中の男を探してるというチングは、真剣な目をしてたけど、それを言われたジョシュアはどうしたらいいのか。
でもジョシュアはもう1人、夢の中にあらわれる男に恋をしてるみたいだって言ったチングがいて、そう言ったジョンハンは真剣な顔で、「俺、おかしくなったのかな?」って聞いてきた。
2人とも友達で、友達同士が付き合うことはままることだ。男同士なのは珍しいし、その出会いが夢の中だっていうのは、ほとんど聞いたことがないけど。
でも出会ってしまえばそれは普通の恋になるんだろう。
最初それを信じてなかったジョシュアは何を聞いても素知らぬふりをしてた。普通のチングらしく、「変な夢みてんな」って笑ってた。
でもエスクプスのため息は日増しに増えていくし、最近ではリアルな世界の方が俺にとってはニセモノなのかもとか言い出すし。
一方ジョンハンは「俺男もイケるみたい」と笑ってたくせに、「いや、そうじゃなくて、アイツしかダメみたい」とか言い出して、それはまるでホンモノの恋に身を焦がしてるのと同じようだった。
ジョシュアはため息をついた。
幸せが一つ逃げてった。
目の前では今、エスクプスとジョンハンがいて、ひしと抱き合っている。
まだ乾杯もしてないのに、そしてまだ夕方なのに。ビールを運んできたアルバイトには、「ごめんもう酔ってて」と言い訳したのはジョシュアだった。
この幸せ分も取り戻さなきゃと、一番高いものも頼んでみる。
「ヤーお前、いつも強引なんだよ。何勝手に人のこと押し倒してんだよ」とジョンハンが怒り出したけど、ジョシュアは無視してた。
「だってしょうがないだろ。ガッツイちゃうんだよ。お前のせいじゃん」とエスクプスが反論する。それが反論になるのかと思ったけれど、それはちゃんと反論になったのか、ジョンハンが顔を真っ赤にして黙ってた。ジョシュアは当然それも無視してた。
それから自分用にお土産を頼んでみたりして。
安くて旨くて気に入っていた店なのに、当分来れそうにないから............。

The END
20221130-20221203