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SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

深渊 (Abyss)

 


[THE 8 Contemporary ART] THE 8 - 深渊 (Abyss)

 

深渊 (Abyss)

生まれる前の世界のようで、全てが終わった後の世界にも近くて。
地獄のようでもあり、誕生の場所にも見える。
安息の地だと言う人もいれば、絶望しかないと嘆く人もいた。
覚えてない人たちは幸せかもしれない。でもその記憶を忘れてしまうのは耐えられそうもない。
誰もが自分を見てるようでいて、誰も自分なんて見てなかった。
暗闇の中で光ってた。たった1人というべきか、たった一つというべきか。
きっとあれは魂なんだと思う。
いつか.........、生まれる前なのか、死んだ後なのか、巡り巡る輪廻転生の最中なのかは判らないけれど、過去か未来か並行世界のどこかか。
とにかく、ディエイトの前にはいつだってその魂があって、目が惹きつけられて離せない。
そして今もそれはディエイトの前にいる。
ただの光だったはずのモノは、普通に生きてそこにいる。
「はじめて会った時には気づかなかったんだよ。君があの時の光だって」
そう伝えたこともあったけど、ジュンは楽しそうに笑うだけで、俺も覚えてるとも言わないし、逆になにそれとも言わない。
「だから俺たち、ここじゃないどこかでも会ったことがあるんだと思う」
そうも言ったのに、やっぱりジュンは笑ってる。
横にいたスングァンの方が「凄い。2人はやっぱり運命なんだよ」とテンション高く喜んでくれるっていうのに。
「お互いがお互いを引き寄せたんだよ。きっとセブチじゃなかったとしても、2人は絶対出会ってるんだよ」
運命論者では決してないけれど、でも信じたくもある。
同じ国とは言え普通なら出会わないような場所でそれぞれ生まれて、でも違う国で出会ってなんて。
ディエイトの覚えてる世界全てを信じると言ってくれなくてもいいけど、スングァンの半分ぐらいは喜んだりしてくれてもいいのに。
いつだってジュンは曖昧に笑うばかりだった。
「ジュニヒョンは? 光ってる魂みたいなの、見えてた?」
でもディエイトがいない場所で、スングァンがそんなことをジュンに聞いていたことは知らなかった。
「いや、アイツはいつも色んなものに目がいくから、見失わないようにするのが大変なんだよ」
だから当然、ジュンがそう言ったことも、ディエイトは知らなかった。
きっとまた、あの世界には行く気がする。
世界は巡るような気がするから。あぁ願わくば次の生でも出会いたい。隣りにいてくれなんて我が儘は言わないから、やっぱり光輝くその姿を目にしたい。
時々そんなこともディエイトが考えてるってのに、ジュンは相変わらず笑ってる。変なことで爆笑してたり、しょうもないことで腰砕けになっていたり、96ラインの中で子どもみたいな小競り合いをしながら笑ってる。
でもいつだって気づけばディエイトの背中を守ってくれている。

The END
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