妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

いつかくる日のはなし

 

95ラインで飲むことは少ない。きっと3人で最初から最後までなんて、片手で数えられるぐらいなはず。
3人で集まって飲む時は、よっぽどボロボロの時か、よっぽど感極まってる時か。
俺たちが踏ん張ろうって言いあうこともあれば、疲れすぎてもういダメかもしれないって愚痴しか出てこない時もあって、時々は泣いて、時々は笑って。
7年目を無事に超えるまでは、それをただ目指してた。
大分早く契約更新のはなしを出せた時にはカラットたちにも世間に対しも自慢でもあったけど、だからって地盤が安定するとか、この世界で安泰だとか、そんな訳もない。
やっぱり頑張り続ける必要があって、そんな中で、どうしたって避けられない問題も山ほどある。
きっと生きていれば、いつかは経験するだろう話でも、踏ん張る必要があるんだってことに最近気づいたから。
そして本当に最近になってようやく、何もなくても集まれるようになったかもしれない。
「ジョンハナ、お前、酒弱くなった?」
エスクプスがそう聞いたのは、まだ3杯目ぐらいなのにジョンハンがボロボロ泣き出したから。
「だって、俺とお前はずっと一緒だけど、シュアはいつか国に帰るじゃん」
目の前で俺はジョンハンの涙とは関係ないって顔をして笑ってたジョシュアが驚いた顔をする。
「いつかって、どれだけ遠い先の話してんの?」
笑ってそう言っても、ジョンハンの中にはそのいつかが見えているのかもしれない。
「ジュニだってミョンホだって、いつか帰るじゃん」
どうやらジョンハンは寂しい病にかかったらしい。
「会いにくればいいじゃん。お前が」
「先に一回は否定してやれよ」
二度と会えない訳じゃないとジョシュアは笑うし、そんなジョシュアにエスクプスが否定しろと言うけれど、ジョシュアは嘘はつかない。
帰るも何も今からそんなこと決めてもいないけど、でも絶対にないと言い切れない以上、ジョシュアは絶対に否定の言葉なんて言わない。
それが判っているだけに、ジョンハンはまた悲しくなる。
でも所詮酔っているから、話題はすぐに変わっていく。
「俺の楽しみはディノが成人することだった」
それをこの13人でデビューすると決まった日から、マンネなディノの成人までどれぐらいだろうかと指折り数えてたとジョンハンが物凄く熱く言う。
「でもアイツ、成人してから全然俺らに頼ってこないじゃん」
エスクプスが弟の成長を喜べばいいのに、「寂しいじゃん」と拗ね始めるのに、ジョンハンが「俺、あいつが軍から戻ってくる日も指折り数えると思う」とか言い始めて、またしてもボロボロと泣き出す。
「いや、コイツもお前すらまだ行ってないのに、なんでディノの心配なんだよ」
ジョシュアが笑う。
酔うとジョシュアは楽しくなるから、ケラケラと笑ってるのに、ジョンハンが真剣な顔で「俺が2回行くから、ディノは行かなくてよくなればいいのにって、時々真剣に思うんだよ」とか言い出して、謎なルールを作り出そうとしている。
でもそんなルールが本当にできたら、スングァンの分だって代わってやりたくなるだろうし、マンネラインは全員行かせたくないとか言い出しそうだった。
「俺はホシの夢を叶えてやりたい」
エスクプスもまた真剣な顔をして言う。
7年を迎えてもなお、上を目指したいとホシが言うからだろう。
ちょっとだけ感動してジョシュアだって頷きかけたのに、「なんでだよ。お前もウジのこと押し倒したいの?」とか言い出したのはジョンハンで、どうやら最近のホシの夢はそっちらしい。たぶん表に出せる夢と表に出せない夢があるんだろう。
「じゃ、じゃぁウジの夢を叶えてやりたい」
焦ったエスクプスが言いなおす。
ビルボードで余裕で1位を取れるような曲、俺が作るよと、本気で1位が取れずに悔しがるホシに向かって、ウジはいつだってそう言うから。
やっぱり感動してジョシュアは今度も頷きかけたのに、「ぁ? ウジの夢って、異世界転生で無双したいだったけど、お前応援って何すんの?」とか言い出したのはジョンハンで、どうやら最近のウジは何かのアニメにハマってるんだろう。
セブチの要とも言っても過言ではない2人だけれど、それぞれに夢があるらしい。
「どっちも叶いそうにないよな」
そう言ってジョンハンが笑う。
いや確かにウジの夢は無理だけど、ホシの夢はどうにかなるんじゃないかと思うのに、エスクプスも真剣な顔して「無理だろうな」とか言うから、ジョシュアは笑っておくことにした。
楽しく飲んで、笑って、泣いて。
バカみたいに言いあって、夜が更けていく。
飲み会ももう終わりって頃、ディノが戻ってくる日を待ってるって言ったジョンハンの言葉の意味にジョシュアは気づいた。あぁそれは。また13人が揃う日のことだって。
それは絶対いつかくる日のはなしで、きっとまた、全員で泣く気がする。

The END
1962moji