BitterSweet
ビタスイのミーニーの続きが書きたくて、でも長いのは書けそうになくて、ミニマムで時々、ビタスイの2人を書こうと思う............。えへへ。
ウォヌヨンが怒ってる
カウンターの内側で、今日はウォヌの機嫌が悪い。
昼に明太子のパスタが食べたいと言っていたのに、うっかりナポリタンを作ったからかもしれない。
ミルクティが飲みたいと言っていたのに、コーヒーフロートを作ったからかも。しかも家に持って帰って風呂上りに食べようと言ってたアイスを、コーヒーフロートに使ってしまった。
黙ってそれを堪能していたけど、機嫌が良くなることはなかった。
最近また客が増えた。普通なら喜ぶところだろうけど、それでもウォヌは機嫌が悪いのかもしれない。
普段から無表情でいる。だから機嫌が悪く見えるのは常だったけれど、本当に機嫌が悪い時は、ミンギュにだけ判るように機嫌が悪いアピールをしてくる。
「なに？ どうしたの？」
そう声をかけないと、さらに機嫌が悪くなる。だから聞くけど、ウォヌは大抵「別に」って言う。
「今日は店を早く閉めて、どこかに食べに行く？」
そんなことも言ってみるけれど、ウォヌは頷かない。
いつもなら店の奥にいることが多いのに、今日はわざわざ椅子を持ってきてウォヌの横に座る。お揃いの椅子って訳じゃないから隣りに座っても目線はあわないけど。
実は不機嫌だって別に悪くないし、そのままずっとムスっとしてたって、特にミンギュは困らない。それこそ付き合いが長いから、長くケンカをしたことだってあるし、ケンカすることすら楽しいと思えるぐらい好きだから、何も問題なんてない。
でも不機嫌なウォヌよりも、楽しそうなウォヌを見てる方が好きだけど。
「ヒョン」
そう言えば、視線も寄こさない。
だから「ウォヌや」って言ってやる。
「呼び捨てするな」
そうすると絶対、そう言ってくるから。
店の中に客がいなければ、さっさと店をクローズさせてたのに、それから腰に手を回して引き寄せて、抱きしめたのに。
そう思いながらもカウンターの下、見えない場所で手だけ握ってみる。
握り返してはくれないけれど、ウォヌは振りほどきもしなかった。
「ウォヌヒョン、機嫌、悪いね」
手を握りしめてまま真っ向からそう言えば、「お前が無駄に愛想を振りまくから、最近また客が増えたからな」と答えてくれた。
それが本当の理由かは判らない。でも......。
「でもヒョン、俺の本気の姿、見たことあるのはヒョンだけじゃん」
そう言えば、手を引っ込められた。でも不機嫌な表情を続けているように見えて照れてもいたから、少しは機嫌が直ったのかもしれない。
「うるさい。お前は裏で仕事しろ」
まぁそう言って、裏に追いやられたけど......。
怒っててもいいよ。好きだから。そう言ってから裏に行こうかちょっとだけ迷ったけれど、黙っておいた。自分のいないところで、照れてる顔なんてされちゃ堪らないから。
The END
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