妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

イソクミンの反撃

 

ドギョムは優しい。ひたすらに優しい。もっと押しが強くたっていいのに、いつだって自然と相手の立場に立って考えることもできるから、譲ってしまうことも多いのかもしれない。

唯一、対等に文句の言えるチングのミンギュとディエイトがまた驚くほどに押しが強くて譲らなくて、基本負けない2人だから、楽しく笑いあってることがほとんどだけど、時々ぶつかると大抵の場合ドギョムが負ける。

盛大に文句を言って憂さ晴らしでもするならまだしも、ドギョムは理不尽なことも悔しいことも悲しいことも全部飲み込んで黙るから、負けると結構な期間凹む。もちろん自分が悪ければちゃんと反省だってするけど。

その日、3人で約束してたのに、ドギョムは2人に置いて行かれた。正確には3人でのご飯の前に2人は買い物に行き、ドギョムは行かないと言ったから、置いて行かれた訳じゃない。

後から合流するつもりでいたのに、2人からの連絡は、もう店でご飯食べて飲んでるから早く来いよってものだった。

それじゃあ一緒にご飯を食べる意味がないじゃん、俺が行った時にはもう2人は食べ終わってて、色んな料理も楽しめないじゃんって、その前に早めに出てきてとか言えばいいじゃんとか、店を選ぶ権利は俺にもあるんじゃないのとか、それこそ色々言葉は浮かんだけど、ドギョムがカトクに返したのは、俺もう行かないって言葉だけで、逆に2人からなんだよ、3人でって約束してたじゃんって文句を言われたほど。

いつもなら怒ったとしてもそれ以上に悔しくて、きっと凹んでそんな自分にまた落ち込んで、部屋に籠ってだんまりを決め込んだだろうけど、ドギョムだって時々は反撃に出ることもある。チングたち相手にはやっぱり負けん気だって出るだろうから。

だからドギョムはウォヌに電話をかけて、「ウォヌヒョン、一生のお願い。俺、物凄い夜景の綺麗ないいホテルとるとか、俺と一緒に泊ってよ」って言った。
ウォヌは「どうした?」って言って、ドギョムの話をちゃんと聞いてくれて、それから、「一生のお願いは取っとけよ。お前からのお願いなら、ただのお願いでも全然オッケーなんだから」って言ってくれて、ドギョムの涙腺を攻撃してきた。

そしてそれから約2時間後。
ドギョムはミンギュに電話をかけた。
『お? どうした? やっぱり来るか?』
そんな声に重なるように、ディエイトが「来たらいいじゃん」て言ってるのも聞こえてくる。
でもドギョムは「行かないよ。俺、忙しいし。これからスィートな場所でスィートな人とスィートなことするから」と答えて、テレビ電話に切り替えた。
そこには何故かバスローブ姿のドギョムがいて、ホテルの部屋から見える景色を後ろに立っていた。
『なに? どこ? お前何してんの?』
状況が飲み込めないミンギュは、それでも別に慌ててもないし驚いてもないし、当然怒ってもいなかった。
でも、ドギョムがカメラを室内に向けるまで......だったけど。
だってホテルの大きなベッドの上には、ドギョムと同じバスローブを着たウォヌが座っていたから。しかも見るからに、その下、何も着ていないですよね............って感じの生足を投げ出した状態で。
『は? なに? どこ? 何してんの? まさか2人? え? ウォヌヨン?』
一気にミンギュの言葉が早くなるし増えた。
「愛してるよ! ウォヌヒョン~」
そう言いながらドギョムがベッドに近づいていけば、ウォヌからも「俺も愛してるぞ~」って返事があって、ニコニコとウォヌが笑ってる。
『は? なにやってんの? そこどこ?』
「別にいいじゃん。そっちはそっちで楽しめば」
『ヤーッ、いいからそこどこだよ』
電話の向こう側でミンギュが苛立ちはじめたけど、ドギョムはふふんと笑って教えてやらない。
でもそんなミンギュの横ではディエイトが、全然余裕な顔で笑ってた。まぁそりゃそうだろう。ウォヌがドギョムと一緒にいたって、ディエイトは痛くも痒くもないはずだから。
ドギョムはちゃんと、そこだって考えていた。
「ミョンホや~、実はジュニヒョンもいるよ~ん」
そう言ってカメラをパーンとまわせば、そこにはなんでかシャワーを浴びた後の腰にタオルを巻いただけの、あほほど男前なムンジュニがいた。
ディエイトは、『え? だから?』って言っちゃったけど......。
ジュンがそれを聞いて、「そのリアクションはなんだよ。だからじゃないじゃん。俺がいるのにまず驚かないのかよ」と唾を飛ばして怒り始めて、ドギョムが「ジュニヒョン落ち着いて、タオル外れるから、取れちゃうって」って慌ててたけど、とりあえずミンギュも2人きりじゃないと知ってホッとしていた。
いや信じてるけど、そこは絶対信じてるけど............ってなんでか呟いてはいたけれど。
でも結局最後にはディエイトだって、『ヤー、そこどこだよッ』ってミンギュと一緒に叫ぶ羽目になったけど。
もちろんそれはジュンの腰のタオルが外れたからとかじゃなくて、カメラの向こうに現れたジョシュアが、「ミョンホや~。いつかみんなで飲もうって言ってたお前のシャンパン、貰ってきたから~」と、部屋に大切に飾ってあったはずの特別な1本が、そこにあったからだろう。
それからお揃いのバスローブを着たジョンハンまでもが出てきて、「ミンギュや~、ミョンホや~」と手を振っていた。
『え? なに? なに? そっちに全員いんの? どこ? 突然なんでホカンスなの?』
ディエイトがシャンパンにキレて何を言ってるか判らない文句を言ってる間にも、ミンギュは立ち直って、でも明らかにドギョムの方が楽しそうに見えたのか、『俺もそっち行きたい。どこ? なぁ、どこだよ』って言いだした。
それに対して、ドギョムは答えない。別に意地悪をしてるつもりはなくて、もうカメラマン的に忙しくなってきたから。だってバスローブ姿のエスクプスに、ホシにウジに、当然そこにはマンネラインだっていて、スングァンの「ムンジュニッ! タオル巻くッ!」って叫び声とかも聞こえてくる。
2人いなくても11人だから、全員を写そうと思うと大変だった。

ドギョムはウォヌに電話した後も、電話をかけまくった。それから一生のお願いと言いまくった。そして今がある。
「ぇえ~い、お前の一生は何回あるんだよ」とか、ジョンハンには言われたけれど。

大騒ぎはできない。ホテルに迷惑はかけられないから。でも飲んで食べて小さく歌って、疲れたらベッドに横になって。
結局、11人ではじめたホカンスは、最終的には13人になっていた。
ミンギュとディエイトが、「俺たちが悪かった。ごめん」って謝ったから。
それでも絶対に許さないと言えばいいのに、やっぱりドギョムは優しすぎるからか、「全員で楽しんだ方がいいから」って、ミンギュとディエイトのことを喜んで迎えていた。

ドギョムの反撃は結構響いたかもしれないけれど、その後の楽しさに全員すっかり忘れてしまった。
それにミンギュとディエイトは、後から来た時に料理を持ち込んでくれた。それは来ると決まってから頼んだにしては早すぎたから、きっと元々持って帰るために注文しててくれたんだろうって判るもので......。

ミンギュとディエイトも謝ったけど、ドギョムも謝った。それからまた3人で、ご飯に行く約束をした。

The END
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