妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

そこにあるのは愛なのか

 

「クプスヒョンッ! 俺らの宿舎出禁だからッ」

スングァンが部屋の入り口付近で叫んで逃げてった。
近くからだと捕まる可能性があるために、逃げる算段をたててから叫んだんだろう。叫ばれたエスクプスが、「やー、なんでだよッ」と慌てて怒ってたけど、当然のごと間に合わず。

「ヒョン、スングァニのこと怒らせたの? うちの宿舎の決定権はあいつが握ってるんだよ」

ホシがあちゃーとか言いながら、エスクプスの肩を叩いていく。

「いや、なんでだよ。俺が何したってんだよ」
「まだ何もしてないけど、物凄い痛いこと言ってたじゃん」

冷静に振り向きもせずに言ったのはウジで、そこは当然のようにウジの作業部屋だった。
ジョンハンが右腕にギブスをはめていて、メンバーもスタッフも、当然同じ宿舎のホシもウジもスングァンも気遣っていたのに、エスクプスだけはなんでかゲヘゲヘしてたから。
ウジがそう言えば、「やー、俺がいつどこでゲヘゲヘなんて言ったんだよッ」とエスクプスは怒っていたけれど。

「さっきヒョン、朝は色々大変だから、俺がお前の右手になってやるよ。な?な?な? って言ってた時、確実にゲヘゲヘって心の声が漏れてたよ」

ホシにまでそんなことを言われ、エスクプスは負けじと「だって朝は歯磨きしたり顔洗ったりトイレ行ったり着替えたり飯食ったり、大変だからじゃん」と言ったけど、まぁそれ以外の諸々も含まれていたのは事実だったのか、エスクプスの声は少しずつ小さくなっていく。

「ほらやっぱりゲヘゲヘしてたんじゃん」とホシが言えば。
「確実してたなゲヘゲヘ」とウジも言う。

ジョンハンはそれを見てただ幸せそうに笑ってた。
エスクプスがゲヘゲヘしてたって、弟たちがそれを揶揄ってたって、自分のためを考えてスングァンが厳しいことを言ってたって、全部嬉しいからだろうけど、最近弟たちに全然勝てなくなってるエスクプスを見るのは特に楽しかったから。

「それにクプスヒョン、朝の準備は何から何まで、スングァニと俺が手伝ってるから、全然大丈夫なんだよ」

ホシがそう言えば、エスクプスは「何から何までってなんだよ」ってまたブーブー言っていたけれど、「何から何までは、そりゃ何から何までじゃん」と言われて、「だからそれはなんなんだよ」って聞き返し、さらにまた「だから、何から何までだよ」と言われ............。
それを何度か繰り返し、「ヒョンもスニョイもバカすぎるだろ」と振り向きもしないウジに切り捨てられていた。

「じゃ、じゃぁじゃぁ、トイレの時に後ろから支えてやってるのかよッ」

エスクプスが痛いことを言いだした。そりゃスングァンも怒るってもんだろう。

「ハニヒョンは座ってしてるもん。だからパンツあげるの手伝ってるだけだよ」
「なんで手伝ってんだよお前がッ」

ホシも大分痛いけど、まだゲヘゲヘ言ってないだけマシだろう。
でももうシャワーだって、食事だって着替えだって、ホシが言うようにそりゃもう何から何まで手伝えるものは全部手伝っている。もちろんそれはジョンハンが苦労しないように。
いつだって笑って「ケンチャナ」とか言ってるヒョンが、無理をしたせいで結局手術まですることになったことで、弟たちは少なからず心を痛めていたから。
特にスングァンは最近ジョンハンのことが大好きで、俺ら夫婦みたいなんだよって自慢してたのに、そこまで悪いと知らなかったことで凹んでいたりもしたから、余計にゲヘゲヘって感じのエスクプスが許せなかったのかもしれない。

「冗談だろ? 冗談だよな?」

時折、スタジオの中や移動車の中でエスクプスがスングァンのことを捕まえてそう聞いていたけれど、「ダメに決まってるじゃん。ハニヒョンがちゃんと元気になるまでは絶対ダメッ」ってスングァンは厳しかった。

「ジョンハナ~」

そうなると、エスクプスが訴える相手は当然のようにジョンハンになる。
ギプス姿のジョンハンにすり寄って、「スングァニのことどうにかしろって」と真剣に言うのに、「お前が悪いんだろ。ゲヘゲヘしてたから」ってやっぱりジョンハンは楽しそうだった。

「ゲヘゲヘはだってしょうがないじゃん」

ジョンハンの大丈夫な方の手を握りしめながら、エスクプスがジョンハンに甘えてる。スングァンは優しいけど頑固だし、なによりゲヘゲヘには厳しいし。

「じゃぁこの後、飯でも食いに行こうぜ。お前の驕りで」

そう言われたけれど、エスクプスは嬉しそうについて行く。驕りぐらい、どうってことないんだろう。
店の中ではジョンハンが座りやすい場所を探して、上着だって脱がせてやって、椅子だって当然引くし押すし、食べやすさよりも食べたいもの重視で料理を頼んでやって、水の準備だって箸の準備だって、スプーンとフォークだって店に頼んで、料理が来たら来たで食べやすい大きさに切り分けてやって。それでも食べにくそうなものはエスクプスが箸でジョンハンの口元へと運んでやる。
ジョンハンは大丈夫な方の手でスマフォをいじりながら、エスクプスに何もかもを委ねて楽しそうに食事を楽しんでいた。

当然のようにカトクの中では料理の写真やら、状況やらを自慢しながら報告しながら。なんでかエスクプスは「俺はあれもやったこれもやった」とキレてんの?って聞きたくなるような感じのカトクを山のように残してて、メンバーの反応が薄いとみるや、ウィバースに投稿してカラットたちに訴えかけていたけど......。

「なぁ、俺驕ったじゃん。ちゃんとスングァニに、もういいだろそろそろって、言えよな」

タクシーの中でエスクプスがそう言えば、「もう大丈夫だろ」とジョンハンが笑ってた。
何がもう大丈夫なのか。全然大丈夫じゃないのに。
そう思ってたエスクプスだったけど、宿舎に帰りついた頃にはスングァンからカトクが届いていた。

『クプスヒョン、ごめんね。宿舎出禁なんて言って』って。

エスクプスの手厚い対応に、どうやらスングァンの方が勝手に疚しい気持ちがあると判断してごめんと、謝ってくれたようだった。
次の日、「じゃぁ俺、今日はハニんとこに泊ろっと」とエスクプスがルンルンで言えば、「ゲヘゲヘ漏れてるけど?」ってウジが言う。「言っとくけど、ゲヘゲヘってたら、スングァニに追い出されるからね」とホシまでもが言う。

「なんだよ。ゲヘゲヘ漏れてるって」

そう文句を言ったエスクプスだったけれど、当然のように一緒に風呂に入ってあちこち俺が洗ってやるな......みたいなことを思っていたところだったから、確かにゲヘゲヘは漏れていたかもしれない............。
でもジョンハンはやっぱり楽しそうに笑ってた。

そしてエスクプスがスングァンによって宿舎を追い出されたかというと、そんなことはなかった。

「ボノナ、スングァニのこと、今日お前んとこに泊めてやって」

そう言いながら、エスクプスはバーノンにお小遣いをやっていたから。

「ヒョン、俺、たっかい焼肉驕ってくれたら、仕事の都合で今日は宿舎に戻れないかも。当然ウジも一緒だし」

そんなことを言うホシには、エスクプスはカードを渡していた......。
それを真横で全部ジョンハンは見てたのに、やっぱり楽しそうに笑っていたから......。

統括リーダーの威厳は微減したかもしれないが、愛を優先したんだと言いはるエスクプスだった。

The END
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