妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

ディノが生まれた日 feat.愛のバカヤロー

注意......

日頃から妄想を書いてますが、さらに妄想となっておりますので、ご注意ください。

クパン(両親?)と、ホシウジ(子供=小学校1年生頃)設定の301号室と、

ジョシュア(保護者)と、ディノ(永遠の5歳児)設定の302号室と、

ウォヌ(社会人)とミンギュ(大学生)の、兄弟?設定の303号室。

そんな彼らのおはなしですが、それでも良ければどうぞ............

 

sevmin.hateblo.jp

ディノが生まれた日

その年の2月11日は、猛吹雪だった。
本当ならもう誰も、ディノを産んだ人しかその日のことを覚えてる人はいなかっただろう。
ジョシュアがそれを知っていたのは、たまたまだった。
ディノを産んだ人から、「天使が生まれた」って写真付きでカトクが来たから。

でも赤の他人のジョシュアにそれを知らせるぐらいだから、もうその時には彼女の横には、守ってくれる相手はいなかったのかもしれない。
その写真には、クシャクシャな顔で泣いてる、普通の赤ちゃんに見えるディノが写ってた。

時々今も、ディノは泣く。
でも自分の希望が通らなくてギャーギャー泣くなんてことはしない。
もちろんホシとウジと一緒に遊んで自分だけ負けて泣くこともあるし、2人が小学校に通いはじめると知って、1人だけおいて行かれると知った時には理解できなくて泣いていたけど、それ以外で言えば、ディノは誰かの踊りを見て泣く。はじめての音楽を聴いて泣く。美味しいご飯を食べても泣く。

どんなものがディノには見えて、聞こえて、味わえているのかは判らない。
それからディノは、泣いてなくても時折慰めてくれるから、涙なんて流さなくても見えるのかもしれない。

生まれてきた子どもに障害が見つかったっていう連絡が来た時には、彼女はだからこの子は私のところに来てくれたんだってカトクしてきた。幸せにできると神様が思ってくれたから、この子を私に託してくれたんだって。
でも結局、それが子どもの父親との決定的な別れに繋がったんだろう。
元より音楽をやっていると聞いたことのある男に、生活力なんてなかったのかもしれない。
アルバイトすらしたことがないような彼女が、障害を持つ子どもを1人で育てていくことは、想像以上に困難だったんだろう。

二度と家には帰らないと言って出て行った人が、1人で帰ってきたのはディノが生まれてから半年も経っていなかった頃で、その腕には子どもはいなかった。

ディノの行き先は、当然彼女からのカトクで知った。
ジョシュアはディノの父親でもなんでもないのに、「私にはダメだった」って一言。彼女からカトクが来た時、そこには施設の写真もあったから。

ディノはホシやウジより年上だけど、地域の人たちの嘆願もあって、同じ小学校に通うことができるようになった。もちろんクラスは違って特別学級だったし近所の遠足ぐらいなら問題ないが、距離のある場所への遠足や泊りごとには参加できないけれど、きっとそんなこと、ディノは気にしないはず。

「ディノは何年生?」

一緒に買い物に行けば八百屋のおばさんがそう聞いてくれる。それにディノは元気に「一年生ッ」って答えてる。指はなんでか2本だしてたけど。

「じゃぁもうキュウリも食べれないと」

そう言われてディノは「アンデアンデアンデアンデ」って、物凄く慌てていたけれど。
買い物に来てた近所の人たちにも盛大に笑われていて、脹れっ面したディノにイチゴを買わされた。
ディノを引き取った時には、きっと永遠に5歳児にも満たないぐらいの、一生オムツが必要な状態ですよって言われたのに............。

ディノの1歳の誕生日。その時にはもうディノは施設にいて、ジョシュアは窓の外の猛吹雪を見て、ディノのことをかすかに思い出しただけだった。
ディノの2歳の誕生日。晴れていたからか、ジョシュアはディノのことなんて、思い出しもしなかった。
ディノの3歳の誕生日。噂話で彼女が結婚したことを知ったからか、久しぶりにディノのことを思い出した。巷には謎な肺炎が流行っていて、多くの人が亡くなった年でもあって、世の中では病院が足りなくて、施設が足りなくて。あの子はどうしてるだろうかと気になった。
ディノの4歳の誕生日。預けられた施設でせめて、誕生日を祝ってもらえていたらいいと強く思った日。それは彼女に家族が増えたと知ったからだろう。

どうしても気になって施設を訪ねたのは春先のことで、そこでディノは、キレイなだけが自慢の施設の個室の中で拘束されていた。大きなベットに小さい子どもが、暴力的でも自傷癖がある訳でもないのに。
憤ったけど、「預ける人も、当然知ってますよ。うちがそういう病院だってことは」って冷静に説明されて、何も言えなかった。

それから、他人の自分には関係ないって考えて、見ない振りして、忘れて暮らすのが当然だって考えて。
でも一度も誕生日に歌っても貰えない人生なんて、ありえない。
あぁでも誰かの人生を背負っていけるほど、自分は偉くも強くもない。産んだ人すらその手を離したっていうのに。
でもジョシュアの手元には、ディノの生まれた日の写真があって............。

決めたのは、ジョンハンがホシのことを迷うことなく「俺が育てる」って言った時。
もう意識もなくて、ホシを無事にこの世に送り出すためだけに生命維持装置をつけられてるだけだったジョンハンの妹は、ホシを生んだその日に息を引き取った。

それでもジョンハンは、生まれてきたホシを抱きしめて「よく生まれてきたな」って言ったから。

それからジョシュアは色んな準備をして、ディノの5歳の誕生日には絶対、家で誕生日ケーキを用意して歌を歌うって決めた。
はじめての誕生日ケーキを前にして、ディノは驚いていたし、その時はまだちゃんと1人でものを食べられなくて、顔を突っ込む勢いでケーキを堪能したディノだったけど............。
ディノが生まれた日、その時から毎年ジョシュアは歌を歌う。今はディノも、一緒に歌う。

 

The END
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