サンタクロースたちたちたち
サンタクロースな彼らのおはなしのcontentsをつくりました。
言葉を失うサンタクロースたちたちたち
ドギョムの手の中には、クリスマスプレゼントが1つ。
それを前にして、全員が言葉を失っていた。
それもそうだろう。だって全部プレゼントを配り終えたのに、プレゼントが1つ残ってるんだから............。
去年と違ってディノもなかなかなスピードでサンタらしくプレゼントを配れるようになって、全員が今年は楽勝だなって笑ってて、気持ちはもはやクリスマス当日夜の、打ち上げに向かっていたっていうのに............。
そして早々にプレゼントを配り終えて、あとは仲良く帰るだけで、マンネラインの3人は楽しくなったのか、「あわてんぼうのサンタクロース」なんて歌ってたりしたのに、そんな中、自分の手を見つめて固まっていたドギョムに気づいたのはジョンハンで、「ドギョマ? どうした?」って言ったら手の中のそれを見せられた。
「およ?」
ちょっとバカみたいな声が出てしまったジョンハンだったけど、それもしょうがないだろう。少し小さめだけど、それはカワイイリボンがかけられた、れっきとしたクリスマスプレゼントだったから............。
「いやいやいやいや、ないないないない」
次に気づいたのはエスクプスで、絶対ないと信じたいのかそんなことを言う。
「なに? クリスマスジョーク? やめてよね。引っかからないよ」
ディエイトはそれをドギョムの冗談だと信じたいんだろう。
「いやお前、ほら、予備のプレゼントも用意してたじゃん。それじゃないのか?」
ウジが冷静にいう。サンタクロースはいつだって、いざって時の予備のプレゼントを幾つか持っている。訪れた家に友達や親せきの子どもが泊りに来てたりしたら、その子にだけ何もあげないなんてことは可哀想だから。
それで皆が「な~んだそっか」な空気になったっていうのに、「予備のプレゼントは、ほら、全部そこにある」ってドギョムが指さす先には、確かに予備のプレゼントがあって、一緒に準備したからそこに全部揃ってることはミンギュだってディエイトだってすぐに判ってしまった。
「いやまぁ、クリスマスプレゼントが貰えなくて、明日大人になる子がいるってことで、もうよくね?」
ジョンハンがちょっと酷いことを言う。でも確かに今からそのたった一人を探すのは途方もない。
がしかし、冷静な顔と声で、「いや、明日大人になる子ども、一人じゃないよね?」とウォヌが言う。
意味が分からなくてキョトンとしてる面子と、「あぁ、そっか」ってすぐに気づいた面子を前に、ドギョムがさらに慌てて「どういうこと? ウォヌヒョンそれどういうこと?」って必死になっていた。
「だって、プレゼントが1つ余ってるから、貰えてない子が一人いるんだろうけど、どこかで配るプレゼントがズレてないとも限らないじゃん」
そう言われてもドギョムが理解できないでいると、「プレゼントがどっかでズレてたら、お人形が男の子に届いて、ロボットが女の子に届いて、小さい子に望遠鏡が届いて、大きい子に抱き枕が届いてたりするかもってことだよ」とミンギュが説明してた。
「まさか......。そんなことないって............」
ドギョムがさすがにそれは......と言っていたけれど、余る予定もなかったのにプレゼントが余ってるんだから、もはや何がどこで起こっていてもおかしくない。
「でも俺は、お人形でも抱き枕でもなんでも、プレゼント貰えたら嬉しいよ」
スングァンがドギョムの横でそう言って慰めてるっていうのに、「俺は嬉しくない」ってバーノンが素直な意見を口にして、スングァンに怒られていた。
「全員で手分けしたらどうにかなるよ。ほら、一人一つずつ、とりあえず予備のプレゼントを持って。プレゼントが貰えてない子にはそれを渡そう。一応誰もが喜んでくれるんじゃないかっていうのが予備のプレゼントのはずだから」
ジョシュアがそう言いながら、皆に予備のプレゼントを配ってくれた。
それから13人で、慌ただしく夜空を駆け回った。いやもう駆けずり回ったって感じだったかもしれない。
途中「ハニヒョンどうしよう。赤ちゃんの枕元に野球のグローブがあるッ」ってディノが屋根から落ちそうになっていたあたりから、全員気合を入れなおしたかもしれない。
普段から爆速なジュンとホシが、音速な勢いで夜空をかけて回り、器用なミンギュと小回りのきくウジがプレゼントの調整をして、95ラインの3人は器用にプレゼントを交換していく。
バタバタしすぎて真冬なのに暑すぎて、最後の方には全員赤い衣装なんて脱ぎ捨てて暗躍してたものだから、いやもうサンタクロースなのか泥棒なのか、紙一重な感じになったけど......。
でもどうにか夜が明ける前には、謎なボードゲームが置いてあった女の子の枕元に着せ替え人形のセットを置いて、プレゼントを配り終えたサンタクロースたちだった。
本当は颯爽と夜空を駆けていくはずが、夜明けが近いため、人がいそうな場所では普通に地面を走り、人の目がない場所でも低空飛行で地味に帰ることになったサンタクロースたちたちたち。
それでもなんとか、クリスマスを無事に終えたサンタクロースたちたちたち............だった。
The END
2121moji