翌日が朝早くから夜遅くまで、それこそVLIVEしてる暇もないぐらい忙しいのが判ってたから、誕生日直前にVLIVEをして、朝というには夜明け前には起きなきゃいけないからと急いでベッドに横になったというのに、なんでか「ジフナ~」って言いながら、ホシがウジのベッドに潜り込んできた。
一緒に寝ようとか、寝ていいか?とかでもなく、なんでか「おっじゃましま~す」って言いながら。枕も持って来ずにウジの身体を押してきて、枕まで半分奪おうとしてる。
当然身体はくっつくし......。
「あ? お前何してんの?」
そう言えば、ホシは「誕生日じゃん、今日」と言う。
「俺のな」
ウジがそう言うのに、ホシは当然みたいな顔で「だろ?」って言いながら、後ろから抱き着いてきて、あろうことか足の間に片足差し込んでくる。
「いや、だからお前の誕生日じゃなくて俺のなんだけど」
足の間に押し込まれた片足を外しながら、ついでに枕も引き寄せて奪い返しながらちゃんとそう言ったのに、「うんうん。チュカヘ~」って言いながらも、押し出された片足を今度はウジの身体に巻き付けてくる。しかも後ろから首元に顔も埋めてくるという傍若無人ぶり。
思わず冷静になって今の状況を考えたほど。でもウジの思考の方が普通で、自分の誕生日でもないのに何しても許されると思ってるホシの方が完全に間違っている。
「スニョア............」
だから物凄く低い声で名前を呼んでやったのに、ホシはあろうことか「え? じゃぁ俺のベッドで寝る?」とか聞いてくる。
場所じゃない。そうじゃない。それを説明しようとしてる間にも、なんでか「よいしょ」とか言いながら、ウジの身体を勝手にちょっと持ち上げて、自分の腕を人の身体の下に入れて、なんでか腕枕体制をとりはじめた。
そんなの絶対数時間も持たずに、痺れてくるっていうのに......。
「俺の誕生日だから、俺がワガママとか言える日だろ?」
「そりゃそうだよ。当然じゃん。誕生日なんだから」
その会話だけ見たら成り立っているのに、なんでか希望してないのに、ホシにしっかり抱き込まれている。
「なに? 誕生日のワガママって?」
「1人で寝たいけど」
「あぁ、それ以外で」
「............」
思わず起き上がって、ホシのことを正座させて色々詰めてやろうかと思ったけど、疲れてて、明日も早くて、1人だと布団に入ってからも温まるまでに時間がかかるのに今は2人分の体温があって。
あぁ、睡魔に負けただけだ............。
誕生日だから、許してやるけど............。
その腕も足も不埒な動きをする訳でもないからと、ただの暖房器具だと思うことにして、眠りについたウジだった。
誕生日の夜には、普通はもっと、違う、はずなのに............って思いながら。
The END
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