妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

EGO

[GOING SEVENTEEN] EP.28 EGO......

怖かったのですが、滲み出る可愛さもあり。楽しかったかも。
とりあえず、考えつくされたかのような2人組が良かった。

ホシくんとディノちゃんは、いやもう存在が癒されたし。

そしてこれ、脱出ゲームと思わせて、そうじゃなかったんだ......ってことにしみじみ。
あぁでもウジさんが可愛かった。そしてウォヌさんがカッコ良かった。
ジョンハンとドギョムの2人は、いつも通りだったwwww
そしてソラブーが私を超癒したよ。

チャイナの2人がいないことが悔やまれたけど、きっといたら、ハオちゃんだって大活躍したはずだし。
でも、楽しかった。


[GOING SEVENTEEN] EP.27 EGO #1


[GOING SEVENTEEN] EP.28 EGO #2

 

EGO

錠の無いキャビネットは開けるな

そういうことは、先に言って欲しかった。
雨が降っていた日。今日はそこらの悪ガキどもも大人しいだろうという予想に反して、都会からやってきた本当の悪ガキが、町はずれの研究所に忍び込んだらしい。
研究所とはそう言われているだけで、本当は古い病院だとか、何かの施設だったとか、いろいろ言われていたけれど、町の人間は大抵そこを研究所と言っていた。

古びた建物と、打ち捨てられたような敷地。
本当なら悪ガキどもの恰好の遊び場だろうが、町のものたちは、本当にそこが恐ろしい場所だと知っていて、誰も近づかない。
いやでも誰も、そこで本当に人殺しが起きていたなんて、思ってもいなかったけど......。

とにかくその日、都会からやってきた本当の悪ガキどもが、研究所に忍び込んだ。
それからビビって、通報してきた。
『人が殺された。殺されてる。火事だッ』
そう喚いてる通報の記録は今も残されているから、それは本当にあった事件だったっていうのに、あの現場に子どもがいた記録は一つもない。

あの日、通報を受けて飛び出したのは数人の警察官と、消防と、それから非番の刑事たちと。
その中に自分もいて、たまたま、錠の無いキャビネットを開けてしまった。
この町の出身じゃなかったから、『錠の無いキャビネットは開けるな』なんて、知らなかったから。

そこには子どもが、しゃがみ込んでた。突然開かれたから眩しかったのか、それとも怖かったのか、腕を顔の前にして、怯えてるようにも見えた。
その時には2階から出た火が結構回りだしていたから、何も考えずにその腕をつかんだ引っ張りだした。

「早く出ろッ! 火がまわるぞッ!」

そう叫びながら、半ば抱えるようにして外に出た。
その時にはせいぜいいっても15歳ぐらいに見えて、本当に子どもだと思ったのに。

建物の外は結構な雨で、「ケガはないのかッ?」って叫ばないといけなかったほど。
子どもは頷いたけど、薄着なその姿は寒そうで、自分の上着を脱いで着せ掛けて、パトカーの後ろに乗せた。
きっと悪ガキについてきた誰かの弟なんだろうと思ってたのに、最終的に、その子どものことは誰も知らなかった。

気づけば本気でクローンの研究をしてたらしかった研究所からは、死体が山ほど出てきて、焼け残った僅かな資料の中からは、生きた人間や、死んだばかりの人間を使って行った研究資料がたくさん見つかった。
その中に、どこからか連れ去られたきた妊婦が産み落とした子どもたいたことが判った。
アーサーキム博士が直接名付けた名は、「イ・チャン」と記されていた。
誰が育てたかも、どう育てたかも判らない。もしもそれが事実なら、まともには育たなかっただろう。
まともな世話も受けられず、誰からも愛情を注がれず、話しかけられもしなかった赤ん坊は、長くは生きられないはずだから。

2番の部屋には入ってはいけない

いやだから、そういうことは先に教えといて欲しい。これまた地元の人間は知ってるっていう情報を全く持ってなかったから、誰も残ってないことを確認するために研究所の中に戻って片っ端から部屋を開けて覗いたら、そのうちの1つが、かの2番の部屋だった。

開けた瞬間、生暖かい風が吹いた。今しがたまでそこに誰かがいた気配もあったのに、そこは無人だった。火さえ出てなければじっくりと調べられたのに、咄嗟に掴んだのは机の上にあった本みたいに分厚いノートだけだった。

「火が回るぞッ、全員退避ッ、出ろッ」

そう聞こえた時には煙が既に回ってて、口元抑えながらも姿勢を低くして、外を目指す。でも元から判りにくい構造で、研究資料やら棚やら手術道具なのか解体道具なのかが積まれたカートとかもあって、方向を見失った。窓を破りたくても塞がってるし、外が見えるドアにも鎖が何重にもかかってる。
それはまるで、誰も逃さないぞって言う誰かの強い意志が感じられるほど。

「こっちだッ」

視界の悪い中、そう声がかかる。煙のせいで人影すら見えなかったけれど、きっと消防の人間だろうと、助かったとばかりに後を追う。でもそれは後から考えて見れば、誰も知らない出口への道だった。

逃げ出した場所は建物の裏手側で、誰かの後ろをついて走ったはずなのに、建物から飛び出してみたら自分1人だったっていうホラーな状態だった。

いつか火が出たら、それは建物すべてを燃やし尽くすようにでも仕組まれていたのかもしれない。建物のほとんどは燃え落ちて、色んな証拠は一緒に消えてしまったから。
気づけば握りしめていた本みたいな分厚いノートだけが唯一焼け残ったものだったけれど、その存在は誰にも知られることはなかった。

 

その男を助けてはいけない

地元の悪ガキたちではなかったから、建物に忍び込んだガキたちは当然そんなことは知らなかったんだろう。
だいたい、その男って誰だよって感じだけれど、確かに助けちゃいけない男だったようで、誰が火を放ったかは判らないけれど、その男が「ここからは誰も逃げられない」と言って、突然高笑いをしたらしい。

だからパニックになった悪ガキの1人がナイフを持ち出してその男を刺したって言うが、あちこちに血の跡があり過ぎて、その場では判断がつかなかった。刺された男もいなかったし。

ただ現場には、内臓が飛び出した状態の女は1人、当然ながら死んだ状態で見つかった。死にたてだと判ったのは、色の濃い化粧が綺麗なままだったから。
建物が焼け落ちる前に見たからそれは確かに死にたてではあったけど、結局生きてる人間を助けるのが優先されて、死にたての死体も焼けてしまった。

そして刺されたという男は見当たらなかったから、もしかしたら一緒に焼けてしまったのかもしれない。
焼け跡に一番に入るのは、消防関係者と鑑定士たちで、人が死んでると言っても警察の人間が現場に入るのは二番手だった。
誰が加害者かも判らないのにその場にいた人間は全員拘束されて、全員が警察に、ケガをしてる人間は病院に連れられて行き、その場には消防と警察関係者と死体しか残ってはいなかった。
死体がゴロゴロ出てきてしまえば、たまたま現場にかけつけた警察官なんて後から颯爽とやって来る人たちにその場を追い払われるだけで、上の指示を待って現場を後にする。

普通なら事件現場や火事現場には人が集まってくるっていうのに、その町の人間は誰一人として近づかなかったから、一応は立ち入り禁止のテープが張られはしたけれど、日にちが経ってもそこを潜るのは警察関係者だけだった。

 

クローン人間は繰り返し作られる

結局火事でほとんど焼けたから、クローン人間が作られていたっていう情報は、自分が持ち出した本のようなノートに書かれていた日記から判ったことだった。
でもそれは、証拠資料にもならなかったから、自分しか知らない事実でもある。
署に戻ってみれば、あの時連れ出した子どもはいなかった。
その時は逃げ出したのかとしか思わなったけど、結局誰も子どもなんて見なかったと言われれば、自分しか知らない事実だったのかもしれない。
放り出しておいたノートを思い出したのは次の日、仮眠を取って戻って来た机の上に放り出してあったそれを見てから。
何気に開けばそれは誰かの日記で、あの場ではクローン人間が作られていたという。
アーサーキム博士のそれは、ある意味成功してたのかもしれない。だって作られた人間たちは、時々は意志を持って動き出すことがあったっていうから。
日記は、色んな人間が書いていた。それはもう字体も違えば時折言語も違って中国語や英語が混じる。
でもいつだってそこには「ディノは」とか「チャニは」とか、どうやらそれはそこで生まれた子どもの名前だったようで、多くの人間が子どもを見守ってる様子が書かれていた。
生体実験の内容が変わり始めたのは、その頃だったと記されていた。
それは「ディノが寂しいと最近言うようになった」って一言が書かれた日から。
アーサーキム博士が作りたがっていたクローン人間とは別に、似て非なる実験をはじめた人たちもいたらしい。
「ディノには家族が必要だ」
そう日記には書かれていたから。
自由になる身体があって、その中に入り込むことができれば、ディノに触れることができるはず。
実験は日夜繰り返される。時折クローン人間は成功したかに見えて、失敗を繰り返す。

追加実験により混乱が生じたらしい

アーサーキム博士の実験記録には、「予定にない追加実験が行われた」と記されていた。それを実行に移した人間の名はない。
だけど身体を手に入れたい人間がいた。
「ディノが、12人のヒョンたちの、身体が必要だって言う」
そう日記には書かれていた。
子どもが育ってきたんだろう。
12人のヒョンたちがどこにいるのかは判らない。それはただの戯言なのかもしれない。
時々はディノの中で声がして、時々は外からも触れてきてくれると、日記にはディノ本人がそう記してる。まだ幼い字で。
「どうせ実験体は山ほどあるんだから、とりあえずやれることは全部やってみようぜ」
無茶苦茶なことを言いだしたのはユンジョンハンで、実験には秩序が必要だと訴えていたのはウジで、別に身体なんて俺はいらないけどって言ったのはジョシュアで。
色んな人の文字で色んなことが書かれてあったけど、読んでいけば一番多く日記を書いているのはディエイトという名の中国人だった。
「ディノには見せたくないと、ウォヌヒョンはいつもあの子を優しく押しのける」と書かれていることもあれば、「危険が及ぶといつだって前に出るのはジュニヒョンだ」と書かれてもいた。
あの時、ロッカーの中にいた子どもは、一体誰だったのか......。

 

怖がりなヒョンと、悪戯好きなマンネたち......

自分たちの存在の方が世間一般から見れば怖いってのに、一番ヒョンなのに怖がりなその人は、滅多に外には出てこない。
でも呼ばないと拗ねるらしい。
ディノと一緒にマンネラインと括られているバーノンとスングァンは、怖がりなのに悪戯好きで、あちこちに仕掛けを作ったり、鍵を隠しあったりして楽しんでいたらしい。
でも何かあればディノと一緒に押しのけられてもいて、危険なことには触れたりはしない。
考えるのが得意なのはウォヌで。行動力はミンギュがあって。
でもうっかりだから、大切な鍵はなくすし研究所の窓ガラスをうっかり割るのも大抵がミンギュだと、名指しで文句も書かれてた。
ジョシュアはインテリだけど手が汚れるのは嫌いで。ドギョムはビビリだけど、参加はしたがりで。
楽しそうな様子だってその日記には山のようにあった。
まるでそれは家族の思い出のような、日記だった。
いつだって何かあれば、ジョーカー的なユンジョンハンがいて。

 

30分しか時間がないなんて......

日記はまだ最後まで読めてなかったけれど、それでも夢中になって読んでいた。
でもまさか、その日記帳を開いてから、僅か30分しか時間がないなんて、それこそどこにも書いてなかったのに......。

「悪いけど、それ、大事なものなんだ」

気づけば真横に人が立っていた。すらりとした足は長くて、そのまま足から少しずつ見上げていけば、驚くほどに背が高かった。そしてそれ以上に顔は整っていた。

「ヌグヤ......」

そう言えたのは、なかなかだったかもしれない。
相手もそう思ったのか、ニヤリと笑った。

「ユンジョンハン?」

そう聞けば、「ハニヒョンは面倒ごとは嫌いだし、案外人見知りなんだよ」とその男が笑う。

「キムミンギュ?」
「いや、あいつはうっかりだから」

そう言いながらも手が伸ばされて、日記帳はあっさりと奪われた。

「うちのディノを助けてくれて、ありがとう」

そう言った男は一瞬で廊下に消えていた。
慌てて立ち上がって廊下に出た時には探す相手はもういなかったけど、誰もいなかった訳じゃない。全員警察関係者だから人だって日頃からちゃんと見てるはずなのに、ひとりは「子どもだった」と言い、別のひとりは「いや、背の高い男だっただろ?」と言い、「子どもじゃなかったけど、線は細かった」と言った人もいた。

入り口は当然ながら、留置場に続く廊下や階段にも監視カメラがあるというのに、そこには誰も映っていなかった。探す相手は。

それからしばらくして、研究所は閉鎖された。建物は壊され、たくさん死んでいただなんて、もう誰も覚えてない。
子どもはどこかに行ってしまったけれど、元から自分しか知らない子どもだったから、特に問題はなかった。

時々楽しそうな笑い声が聞こえるらしい。地元の子どもたちの間ではそう言われているとか。笑っているのは誰なのか。きっと名前までは誰も知らないだろう。
あの日記にあった名前を順番に思い出すけれど、真相は判らない............。

The END
5162moji

 

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