注意......
日頃から妄想を書いてますが、さらに妄想となっておりますので、ご注意ください。
クパン(両親?)と、ホシウジ(子供=小学校1年生頃)設定の301号室と、
ジョシュア(保護者)と、ディノ(永遠の5歳児)設定の302号室と、
ウォヌ(社会人)とミンギュ(大学生)の、兄弟?設定の303号室。
そんな彼らのおはなしですが、それでも良ければどうぞ............
生まれてきた理由
ディノには、色んなことが判らなかった。
でも救いなのは、ワカッテナイコトガ、ワカラナイコト。
音楽が流れてると楽しい。身体が勝手に動くから。でもそれが音楽が流れてるからだとは気づいてなかった。
でも誰もそんなこと、ディノに教えようともしなかった。
壁をバーンって叩くと、手がじーんとして楽しい。それ以上に音が出るから、それはディノが作り出す音楽だった。だからバシバシバンバン叩いてたけど、誰もディノの音楽を楽しんでくれなかった。
そして気づけば誰もいない間は手が縛られていた。手が縛られてしまった理由が、ディノの奏でる音楽が煩くて迷惑だからだとは、当然ディノには判らなかった。
1日の大半を、ディノは縛られたまま過ごしたけれど、ディノの耳には色んな音楽が聞こえていた。
どこからか曲が流れてくる訳でもない。誰かが歌ってる訳でもない。それはただの風の音だったり、誰かがとこかを歩く音だったり、何かのモーター音だったり。
世の中には色んな物事に順番があることも、ディノは知らなかった。
その順番の中で、ディノは自分が何番目ぐらいかなんて、考えることすらなかった。
この世界に生まれてきた日に、「私の赤ちゃんだ。世界で1番可愛い、私の赤ちゃんだ」ってディノを産んでくれた人がそう口にしたその瞬間には確かに1番だったはずなのに、気づけばその順番は色んな人に抜かされて、忘れられて、捨て去られて。数えきれないぐらいに後ろに後ろに追いやられてしまったけれど、当然それもディノには判らなかった。
でもある日。ディノを自由にしてくれた人がいて、その日からディノは一度も縛られたことはない。壁を叩いたって、部屋の中で跳ね回ったって、ベッドに縛り付けられることもなければ、忘れ去られたこともない。
それがどれほど幸せなことなのかも判らないディノだったけど、ディノは自分の名前がディノだってことを覚えた。
「ヌナ」って言葉を覚えたら、誰だって「ヌナ」になってしまうディノだったけど、怒られたこともない。
今は誰でも「ヒョン」と呼ぶけど、隣りのミンギュとウォヌも、隣りのエスクプスとジョンハンも「ヒョン」だから何も問題ない。
ディノよりも小さいホシとウジのことも「ヒョン」だけど、それだって誰も問題にしない。
小さいヒョンたちは、いつの間にか一緒にいた。
そしてディノは、その小さいヒョンたちと、一緒に育っていった。
「シュアヒョン」
ある日ディノがそう口にしたら、いつも優しく笑ってくれるばかりのヒョンが、ボロボロと泣いた。
その意味も理由も判らなかったけど、ディノも泣いた。
生まれてきた理由なんて、ディノには判らない。
でも名を呼ぶだけで泣いてくれる人がいるなら、それは立派な理由かもしれない。
The END
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