誕生日まであと数秒。
今年こそはとドキドキして待ち構えてたら、時計の針が12時を超えた。
その瞬間に、グループトークに投稿があって物凄く嬉しくて、「ジョンハナ~」って部屋を奇襲したら、ジョンハンはスヤスヤと寝てた。
一瞬、ギリギリまで起きてて投稿した瞬間に寝たのかも......と思いはしたけれど、枕元にもベッドの上にも、スマフォが見当たらない。
それでも信じたくて、いやいやベッドの向こう側に落ちたのかもしれないとのぞき込んでみれば、ベッドの下に知らない人がいた......。
「ギャ~~~~~~~ッ!!!!!」
当然叫ぶ。
「わぁッ! なに? なに?」
叫んだら、隣りにいたらしいジョンハンが驚いていた。
懐かしいリビングの、誰かがいつだってベッド代わりにしてたソファの上に座ってうたた寝をしてたらしい。だから怖くて目が覚めたそこもまた夢の中で。
でも髪が長かったころのジョンハンがそこにはいて、「驚かすなよ」って怒ってた。
「いやだって、お前が寝てたベッドの下に、知らない人がいたんだもん」
そう言えば、「何ホラーな夢見てんの」って笑ってた。
「俺の誕生日だったんだよ」
必死になって今もまだ夢の中にいるんだって語れば、ジョンハンは笑って「何年たってもずっと、誕生日に拗ねてんのな」なんて言う。だからちょっとだけムッとして「おめでとうって一番にお前が言ってくれればすむはなしだろ」って言い返したけど、「はいはい。じゃぁ俺が一番に言うよ。それからプレゼントも用意する」って適当なことを言うから。
「絶対だな」
「絶対」
「夢だからって嘘ついたら許さないからな」
「夢の中でも約束は守るよ」
指切りをして、「じゃぁ俺、良い夢みたことにする」って言いながら夢の中でも眠りについた。
目覚めてみれば、誕生日のまだ前日だった。
それなのに、マネージャー経由だったけどジョンハンからは欲しかったサンダルが貰えた。
「俺の欲しいやつじゃん」ってカトクを送れば、「だからプレゼントしたんだろ」って返事。当然のようにニヤニヤしてしまった。
しかも誕生日になった瞬間には、グループトークにジョンハンの投稿があって、物凄く、物凄く嬉しくて。
次の日、カラットランドの控室で、夢の中で見た夢の通りになったんだと自慢げに語って聞かせたら、全員が固まっていた。
「な? 凄いだろ?」って言ったのに。
「は? ヒョン何言ってんの? 何がすごいの? バカじゃないの?」って、いきなりスングァンがキレていた。
「怖ッ。怖ッ。なにそれ、怖ッ」ってドギョムがバタついている。
案外怖がりなウジがホシにくっつきにいって、なんでかホシはエスクプスに向かってコッソリ親指を立ててグッジョブって言いたげだったりしたけど、エスクプスは全然、何を皆が言ってるかは気づいていなかった。
「いやヒョン。夢が全部現実になったって喜んでるなら、ベッドの下にいた人だって、ほんとにいるかもしれないってことじゃん」ってミンギュが怖いことを言うから、「ハジマ~」って思わずエスクプスも言ったけど、ホシ以外の全員が冷たい視線を向けてくる。
「え? マジで? そういうことなの?」
自分が言ったことに驚いているエスクプスを他所に、控室のあちこちでは部屋の入口の暗唱番号を変えようって話してたり、マネヒョンと一緒に全部屋確認しようって話してたり、とりあえずスングァンはジョンハンに対して、「ヒョン今日は一緒に寝てよ」と言ってたりもして......。
遅れてビビりはじめたエスクプスも慌てていたりして。
最後には全員でリビングで寝たら怖くないって力説してたけど、なんでかホシに猛反対されていたけど......。
The END
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