ウォヌの誕生日の後に、ミンギュとウォヌは珍しくも喧嘩した。
きっかけは2人の部屋にどどんとあるベッドだった。
部屋の動画を撮ることになった時に、ミンギュはウォヌのベッドをまたリビングに出して、自分のベッドはマネヒョン用にと移動して、部屋の中にどデカいダブルベッドを置いた。
それはいい。それを実行する前に、ミンギュはちゃんとウォヌにもマネヒョンや事務所のスタッフにもプレゼンをして全員を納得させたから。
お金は全部、シーツ代も新しい枕代も含めて自分が出すというし、ウォヌが一緒に寝たって十分な広さはあったし、何よりリビングには自分のベッドがあるんだから、いざとなったらそこで寝ればいいだけだったから。
それなのにケンカになったのは、ウォヌが知るプレゼンの前に、部屋での日常を撮る動画を出したいっていうプレゼンを、ミンギュが事務所にしてたことを後から知ったから。しかも人づてに。
「いやだって、ウォヌヒョン自分の日常を動画に撮るのって、苦手そうだし」
言い訳のようにそう言った後にミンギュがすぐに「ごめん」と謝ったけど、「最初から言ってくれたら、絶対反対しなかったって、判ってるだろ」って言い返したウォヌに、ミンギュがしょげた顔しながら、「だってやっぱりちょっとは、邪な思いがあったんだよ。部屋にダブルベッド置きたいってのが、最終目標だったんだもん」と言うから笑いそうになったけど、そこはグッと耐えたウォヌだった。
「嘘は嫌いだ」
そう言いながらも、「そう簡単に許されるとは思うなよ」って捨て台詞みたいな言葉を残してウォヌはリビングのベッドへ移動した。今日は1人で寝ることにして、気持ちはなんだか「実家に帰らせていただきます」的な感じ。
それなのにミンギュがついてきて、ベッドの真横のフローリングで寝ようとする。
そんな2人を通りがかりに見つけたエスクプスが「なに? お前らそこで寝んの? じゃぁお前らのダブルベッド、俺とハニが使ってもいい?」とか言ってきた。
「ダメだよヒョン。そんなの絶対ダメ」ってミンギュは言ったけど、「好きにすれば」って言ったのはウォヌで、そうしたらミンギュが「ヒョンッ」って悲しそうに言うもんだから、きっともうそこら辺でウォヌの怒りはなくなっていたかもしれない。
「ラッキー。じゃぁ借りよっと」
エスクプスがそんなことを言いながら、早速電話をかけて「ジョンハナッ! ウォヌとミンギュのダブルベッドの寝心地、俺と一緒に確かめようぜ」とか言っていたりして、「ヒョン、ヒョン、俺たちのベッドなのに」ってミンギュが泣きそうな顔でウォヌを見つめてくる。
だからハニヒョンが来たら「ごめんヒョン、やっぱり貸せない」って言うつもりだったのに............。
なんでか嬉しそうにやってきたのはホシとスングァンで、楽しそうにミンギュとウォヌのダブルベッドにダイブしていた。
「なにお前ら、ハニは?」
エスクプスがちょっとだけ慌ててた。
「ハニヒョンは今からシャワーだって。だから後から来るよ。ウジヒョンにも声かけといた」とスングァンが言えば、「俺ら今日ウォヌとミンギュのダブルベッドで4人で寝るんだ」とホシが言う。
いやさすがに4人は無理じゃないか......とは思ったけれど、ウジはまぁ小さいし、ジョンハンはなんだかんだいってエスクプスの部屋に行きそうだから、寝るには困らないかもしれない。
ミンギュも予想外の展開に驚いていたけれど、エスクプスとジョンハンに貸すのは嫌でも、ホシとスングァンとウジが寝るのは問題ないらしい......。
「ふたりのことなんだから、次からはちゃんと、俺に話せよ」
そう言えば、「うん。ごめん。次からはちゃんと言う」って真剣な顔で謝ったミンギュだったのに、許されたと思ったのかなんでかフローリングからベッドの上へと移動してきた。
リビングのベッドは、狭いっていうのに。
でもたまには、この狭さだって悪くない。
ジョンハンがやって来て、エスクプスが「なんでホシとスングァンも来てんだよ~」と文句を言っていたし、ウォヌとミンギュの部屋からは楽しそうなホシとスングァンの声もずっと聞こえてきていたけれど、そんな賑わいの中でもウォヌはいつのまにか寝ていた。
ウジがいつの間にか来ていたり、「なんで俺も誘ってくれないんだよ」ってドギョムが文句を言っていたらしいが、そんなことも全然知らなかった。
The END
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