事務所の会議室で、たまたまホシとウォヌは並んでた。
目の前にはジュンとディエイトもいたけれど、ディエイトは本を読んでたし、ジュンは眠そうな顔で睡魔と戦っていた。
手元の資料を見ながら次の撮影のコンセプトの話をするってことだったけど、まだ全員は揃ってなくて、「どうせジフニ待ちだろ」とウォヌが言えば、「いや、ミンギュ待ちじゃね」とホシが言う。
ウジは相変わらず作業室に籠りっぱなしで、最近宿舎で見かける方が少ないし。
色んなことがあったミンギュはまだまだ後処理が多いのか、事務所に詰めてることが多くなっていた。
なんてことはない話のはじまりだったのに、なんでかウォヌとホシは謎な言い合いをはじめた。
「ミンギュは優しいから」とウォヌが言えば。
「ウジだって優しいだろ」とホシが言う。
「ミンギュは面倒見がいいから」とウォヌが言えば。
「ウジは面倒を見られるのが上手いだろ」とホシが言う。
「ミンギュは一番背が高くてカッコイイ」
「ウジは一番背が低くてカワイイ」
たぶん競い合っているとかではなく、お互いがただ事象を言い合ってるだけなのかもしれない。
「ミンギュとは、ケンカにもならないかも。ミンギュはたまに拗ねるけど」
「ウジとはケンカにはならないよ。まぁでもウジは基本、折れたりはしないけど」
ウォヌもホシも、自分の言葉に頷いている。
そんな二人をバカだなって顔で見てたジュンだけど、横にいるディエイトがそんなジュンの足を蹴って来た。
ディエイトにしてみれば『目の前の二人が鬱陶しいから黙らせてよ』っていう気持ちだったというのに、なんでかジュンはそれを『目の前の二人に言い負けないでよ』と受け止めたらしい。
「ほぇ？」
思わず『ほんとに？』みたいな声を出したジュンが、なんでかウォヌとホシの謎な言い合いに参戦していく。
「ディエイトは、何でもさせてくれるけど」
「............」
「............」
しかし突然謎なことを言い始めたジュンのせいで、一瞬沈黙しかけたウォヌとホシだったけど、負けたくないとでも思ったのか、そこにも当然のように乗っかっていった二人。
「ミンギュだってだいたい、俺が言うことはなんでもオッケーだけど？」
「ウジはだいたい、俺が言えばなんでも怒るけど、最後は許してくれるけど？」
なんでか二人とも疑問形なのは、ちょっと話を盛ってるからなのか......。
「ディエイトは、何でもしてくれるけど」
「いや、ミンギュだって、結構する」
「ぅ、ぅぅぅぅん。ジフニは、年に一回ぐらい、ミラクル起きる時がある」
いやそれ逆に何の話？って、もしもここにスングァンがいたら聞いてくれただろうが、ここには自分の好きなこと以外は興味ありませんって顔して本を読み続けるディエイトしかいなかった。
「ディエイトは凄いけど」
「そりゃミンギュも凄いよ」
「ぅ、ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん。ジフニも、ある意味凄い」
謎な会話が続くなか、気づけばメンバーがほぼ会議室の中あちこちに散らばっていて、ミンギュとウジもやって来た。
珍しくも96ラインの三人が揃ってたからか、ウジはそのまま会議室の中を歩いて近づいてくる。
当然それに気づいてジュンもウォヌもホシすらも、話題を終わらせて「遅かったな」とか「働きすぎだって」とか無難なことを口にしたというのに......。
「ウジヒョン、年に一回ぐらいミラクル起きて凄い時があるって、ほんと？」
本から視線も外さずにそんなことを言ったのはディエイトで.........。
ウジの後ろからついて来ていたミンギュが思わず息をのんだほど、一瞬で不機嫌オーラを出したウジは、そのまま96ラインの三人が座る場所を回ってどこかへ行ってしまった。「ウジヒョン、落ち着いて」って言いながらミンギュもついて行く。
「ディエイトは、破壊力がハンパない」とジュンが言えば。
「ミンギュは、状況判断がハンパない」とウォヌが言う。
「あぁウジは、天才的に理解力がハンパないんだよ」とホシは頭を抱えてる。
「そうだね。ウジヒョンは、一を以て万を知るを地で行く人だから」と飄々とディエイトが言う。
「ギ、ギリギリセーフだよな」とホシがジュンとウォヌを見ながら情けない声で言ったけど、ジュンは両手でお手上げポーズを取るし、ウォヌは「骨は拾う」とかカッコよく言ってくるし......。
「ホシヒョン、全然ギリギリでもなく、完璧アウトだったよ」
とディエイトにダメ押しされていたホシだった。
まぁジュンだってウォヌだって、「お前らも同じ穴の貉だろうが」とウジからふる無視されていたけれど............。
その後ホシがどうやってウジに許してもらったかは、誰も知らない............。
The END
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