妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

スングァン、無事に家に帰る

LEFT&RIGHT


sevmin.hateblo.jp

 

スングァン、無事に家に帰る

家の中には誰もいなかったけど、玄関はいつも通りに開いていた。
倒れかけていた棚は元通りになっていたから、どちからの兄が直したんだろう。
台所には、ラーメンを作った形跡があって、「スングァナ、ごめんな。お前のラーメンはない」って置き手紙があって、笑ってしまった。

どこかから隙間風が入ってきてて、ガス漏れがあっても絶対助かるなっていう家はやっぱり通常通りで、ここ2日ほどの夢みたいな出来事が、本当に夢だったんじゃないかと思うほど。

でもスングァンの手には、最新のスマートフォンがあって............。
欲しいと思っても、絶対に買えないようなものだった。

それはエスクプスとジョンハンの家で、ミンギュが自分のもののように使ってたエスクプスのものだった。
今回のゴタゴタでスングァンが無くしてしまったもの。
一人だけ家を離れることになって、ようやく手にしたスマートフォンは、契約すると手に入る安価のものだったけど、それだって大切に使ってたってのに。

襲ってきた男に投げつけたリュックの中に入れたままになっていたはずだったのに、よくよく思い出してみればあの時スングァンは携帯を持ちながら歩いてた。それをようやく思い出したのは、どうやったのかは知らないが、スングァンのもとにリュックが戻ってきてからだった。

財布や学生証などはまんま戻って来たというのに、そこにはスマートフォンだけがなくて。きっとそれが盗まれると、個人情報なんて簡単に抜かれてしまうんだろう。
だけど投げつけた事実を思い出してしまえば、どうなっているのかは判らないけれど、スングァンの壊れたスマートフォンは簡単に見つかった。

バキバキに割れていたのは、投げつけられたからか、それともその後に車か何かに引かれたのかは判らないけど。

壊れてしまったのは残念だったけど、変な輩の手に渡るよりは全然いいと慰められた。それからなんでかエスクプスが当然のようにそれを持って帰ればいいと言ってくれて。スングァンは当然のように断ったし、そんな高価なものを貰う訳にはいかないと言ったけど、なんでかあれよあれよと機種変更の手続きがされていき............。

携帯会社に出向かないとそういうことが行えないと思っていたのに、電話一本でやってきた人が、その場で手続きを終えてくれて、それは夢みたいな数日間の総決算みたいな感じで。

運転手付きの黒い車で送ってもらって、ちょっとだけ自分もそんな世界の人みたいでふわふわしてたけど、懐かしくも愛おしい日常が目の前にあって、それはそれで笑ってしまった。

ベランダの自分の部屋は、あんな豪華な家を見てしまえば犬小屋みたいに見えてくるけれど、それでも、自分にとってははじめての自分の部屋で、気に入っている。

だからそれからも、スングァンの生活は変わらなかった。
ヘンガレの世界では、相変わらずバレーボールを楽しんだ。
エスクプスの運転する水陸両用車では当然のように皆と一緒にギャーギャー叫んで喚いて死にかけたけど、それもまた面白かったし。

時々エスクプスもジョンハンも、「スングァナ、次はいつ来る?」って普通に言ってくれたけど、「学生だから、俺これでも勉強で忙しいんだよ」って断った。
二人ともちょっと悲しそうな顔をしてたけど、「ヘンガレでいつでも会えるじゃん」って笑っておいた。

だって本当に、夢みたいな世界だったから。
楽しくて楽しくて楽しくて、楽しいしかなかったんだけれど。
それでもスングァンは、冬になれば段ボールでスングァンの部屋を補強してくれる兄たちが大好きだったし、スングァンのラーメンにだけ特別に卵をひとつ入れてくれるおばさんが大好きで。最新のスマートフォンを「当たったんだ」と言えば、「お前は本当に運のいい子だ」って褒めてくれるおじさんが大好きで。

スングァン、無事に家に帰る............って感じ。

 

The END
1611moji