27時を過ぎた頃。ウジの予想通り皆の腹が空き、ミンギュが夜食を作ってくれた。
全員で食べて歌ってゲームして飲んで飲んで飲んで、その後カラオケするもの、ゲームするもの、また外に出て遊ぶもの。楽しみつくして、気づけば27時が目前で「おし、27時を迎え撃つぞ」とウジが言えば、ミンギュがはいはいと夜食を作り始めて......。
でも結局食べたのは95ラインの3人と、ウジにウォヌにディエイトにミンギュにスングァンにディノだけ。
ホシはかなり前にダウンしていたし、昼間も寝てたくせに2番目にいなくなったのはバーノンで、カラオケしてるドギョムにつきあってゲームをしてるジュンがそこにはいなかった。
テーブルはすでに2つに分解されていて、95ラインの3人は1つのテーブルで楽しそうに夜食を食べつつもまだ飲んでいた。
もう1つのテーブルでも、楽しく夜食を食べていたというのに、余計なことを言い始めて結果スングァンを泣かせたのはディノだった。
「ホシヒョン、ドギョミヒョンにポッポしまくってたじゃん。口にもしてたよ。あれって浮気じゃないの?」
ディノがウジに向かって、そんなことを言ったから。
普段のウジならふる無視してただろうが、ウジだってほかのメンバーに比べれば全然飲んでないけど、それでも乾杯にはつきあったりして、全部で3杯ぐらいは飲んでいたから......。
「浮気じゃない。相手はドギョミじゃん」
どうやらウジの中では、メンバーは浮気相手とはみなされないらしい。
そこからディノがさらに余計なことを言い出して「じゃぁ浮気されたらどうする?」とか言って、その場にいた面子を見渡した。
「殺す」
結構食い気味で即答したのはウジで、「いやいやいやいや、ホシは大丈夫だって」と何故かフォローしてたのはウォヌだった。
「刻む」
落ち着いて言ったのはディエイトで、「いやいやいやいや、何を? あぁ、何をか」と、何故か一人で納得してたのもウォヌだった。
「俺は哀しいと思う。すっごくすっごく、哀しいよ」
なんでか一瞬で感極まったのか、そう言って泣き始めたのはスングァンで、あんまりにもポロポロポロポロと泣くもんだから、「泣くなって」って言いながら、ミンギュがスングァンのことを抱きしめていた。
でも感受性が強すぎるのか、想像するだけでもダメだったのか「でもそれでも、俺は好きだもん」とか言い出して、スングァンがワンワンと泣き始めた。いやもう他のメンバーよりは飲んでないといってもやっぱり飲んでるスングァンは、完璧酔っているんだろう。
「ほら、お前もう寝ろって」
そんなことをミンギュに言われつつ、半分以上ミンギュに抱きかかえられながら、スングァンが消えてった。
いつもなら泣かせてしまったと慌てるはずのディノだって、しっかり酔っている。何せゲームで負けまくって飲みまくっていたから。
「で、ウォヌヒョンは?」
だから性懲りもなく、まだ答えてないとばかりにウォヌに切り込んだ。
「あ? 俺? 俺は関係ないじゃん」
「何が関係ないんだよ。浮気されたらどうするって話なのに」
「あ、だから、関係ないんじゃん。だってアイツ、浮気なんて絶対しないし」
スングァンを抱えてあがって行った階段の方を見ながらウォヌが答える。
いつもなら言葉を失う場面だが、今日は全員酔っている。多分。
だから負けないとばかりにディノが「じゃぁ事故ったらどうする? 浮気じゃなくて、事故だよ事故」とさらに言い出して。
「ぶち殺す」
今度もかなり食い気味で即答したのはウジで、しかもさっきよりも何かが増している。「いやいやいやいや、案外ホシはあぁ見えて大丈夫だって」と、全然フォローにもなってないことを言ったのはウォヌだった。
「すり潰す」
当然みたいな顔して言ったのはディエイトで、「いやいやいやいや、お前はそっち系から離れろよ」と、ツッコみはじめたウォヌだった。
「で、ウォヌヒョンは?」
「あ? 俺? 俺は関係ないじゃん」
「なんでまた関係ないんだよ。関係ありありだよ」
「あ、だから、関係ないじゃん。事故ったって何したって、俺はアイツのこと離す気ないんだし」
スングァンを寝かしつけてきたのか、ちょうどミンギュが戻って来たその姿を見ながら、ウォヌがなんでもないことみたいに答える。
いつもなら完全に言葉を失う場面かもしれないが、ディノはやっぱり酔っていた。
「なんかアイツ、一人じゃ寝たくないっていうから、ホシヒョンのベッドに放り込んできちゃったよ。良かった?」
ミンギュがそう言えば、何故かウジが「ご苦労」と頷いて、ディエイトが「それでいいだろ」と答えてた。そしてウォヌだけが何故か「なんでだよ。ボノニのところに放り込んでやれよ」とか言っていたけど、全員から無視されていた。
当然戻って来たミンギュにも、「ヒョンは、浮気されたらどうする?」とディノが問いかける。
「別にどうもしないけど」
酔っているはずなのにイケメンぶりが増し増しな感じで、ミンギュがさらりと答える。
それは浮気なんてされないっていう自信なのか、それとも浮気されたって愛してるっていう意味なのかは不明。
「じゃぁ浮気じゃなくて、事故ったら?」
当然のようにそうも聞いたら、これまた当然のようにミンギュが、「別に、気にしないけど」って答える。
しかもなんでか、ウォヌの方をガン見しながら。
あぁそれもしかしなくても、見つめあっちゃってるんじゃないのって感じで。
「俺もう寝るわ」って、突然そう言って立ち上がったのはウォヌで、「じゃぁ俺も、夜食つくったんだから、片付けは頼んだから」とミンギュまでもがついてった。
ウジもディエイトも、なんでか普通に「おやすみ~」と手を振っていた。酔っているからか、ディノだけが「ん? いいの? 一緒で」って呟いていたけれど、「まぁいっか」とすぐに忘れてた。もちろん酔っているからだろう。
「俺どこに寝るの?」って言いながら次に消えてったのはディノだった。
残されたウジとディエイトは、まだ残っていた95ラインの3人に、「ミンギュが片付けは明日するから置いといてって言ってた」とか嘘をつきつき、その場を離れたのが最後。
階段をのぼりのぼり、のぼりのぼり。しながらもディエイトがふと「ウジヒョン、酔ってないでしょ」と言えば、「酔うかよ。ほぼほぼ飲んでないのに」とウジが笑ってた。
「お前だって酔ってないだろ」
「まぁもう大分前に醒めてたけど。ウォヌヒョンも酔ってなかったよね」
「だってあいつ地味なゲームしかしてないしな」
「ミンギュも酔ってなかったし」
「あいつはザルじゃん」
「なんだ。結局あの場で酔ってたのって、スングァニとディノだけじゃん」
途中まだ歌ってるドギョムと真剣な横顔でゲームと向き合ってるジュンがいて、ウジがしみじみと、ジュンの肩を叩いてジュンから不審がられてた............。
ドギョムが「ウジヒョン、歌って歌って」っていうのに捕まって、それからまた少しだけ一緒に歌ってた間に、チャイナラインが消えてった。
大して飲んでなかったはずなのに、ドギョムはなんでかまだ酔っていて、「俺はまだまだ歌うぞ~」って言いながら、ソファで寝てしまったけど............。
しょうがないとばかりにウジは一度下に戻って、ユンジョンハンに声をかけておいた。
それからあちこちの部屋を見て、まだ誰もいないベッドを見つけて潜り込む。
なんだか全員のテンションが高くて、笑って笑って笑って飲んで。
一人ほとんど飲んではいなかったけど、そんな面子を見てるだけで幸せでだった。
いつもよりは身体が興奮してるのか、きっと眠れないかも......と思いつつ横になったのに、たった3杯でも飲んだからか、あっさりと意識を失ったウジだった......。
The END
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