ブスングァンは病院にいた。
エスクプスは副社長の席にいた。
ウジは作業室。
ホシは練習室。
ジョンハンは宿舎の広い自分の部屋でゴロゴロ。
ドギョムはネットショッピング中。
ジョシュアはブレスレッドを作ってて。
ディエイトは絵を描いてて。
ミンギュは料理中。
ウォヌはゲーム中。
ディノは踊りを考えていて。
ジュンは本を読んでいる。
バーノンは病院に向かう車の中。
みんなそれぞれ。バラバラだったけど。でも病室にいるスングァンのスマフォには、それぞれの場所から写真やメッセージが届く。
本当なら全員で病室に向かいたいけれど、謎な肺炎が流行っているから......。
全員で宿舎に集まって、それならせめて、スングァンが好きなものを差し入れてやろうと話し合っていたら、バーノンが素で「お? それなら、俺がお菓子とゲームとマンガ持って行けばいいよね?」と言うから......。
「いや、確かにスングァンはお前のことが大好きだけど......」
代表してエスクプスが口にしたけど、バーノンがニコニコと「だよね」っていうから、それ以上は何も言えなくなっていた。
お金は95ラインが出してくれた。買い物しながら行くというバーノンを送り出した後は、みんなそれぞれに、バラバラだったけど、大切な弟で、兄で、チングなスングァンのことを誰もが思ってた。
もう少ししたら手術がはじまるっていう時間、全員が願ってたから「どうか、スングァンが早く戻って来れますように」って。
「なんでお前が来たの?」
「ブスングァンの好きなものを差し入れようっていう話になったから」
「ぇえい」
「でも、間違ってないじゃん?」
病室の中では、手術前だというのにスングァンが落ち着いて笑ってた。
隣りにいつも通りなバーノンがいて、手を握ってくれていたからかも。
スングァンのスマフォには、メンバーからのメッセージが届き続けていたからかも。
『がんばれ』なんてメッセージは一つもない。
ただただ「ゲームで最高得点越えた」っていう報告とか、「ラーメンつくった」とか、描きかけの絵とか、ホシなんてウジのことしか言ってこないし。ドギョムはポチったものを教えてくれるだけ。そんな中でもスングァンを一番ドキドキさせたのは、副社長のパソコンを勝手に触って「SEVENTEEN2022」ってフォルダを見つけたっていうエスクプスからのメッセージかもしれない。
みんなそれぞれ。だけど当然のように、心は一つ。
The END
1007moji