96ラインの四人でたまたまスタジオの中にいた。
ウジはずっとパソコンに向かって働いているし、ホシはテンション高く吠えているし、ジュンは謎な動きでせわしない。そんな中、ウォヌは普通に本を読んでいた。
ウジがわちゃわちゃしてても気にせず働けるのは、メンバーが十三人もいるからだろう。全員集合していても働けるのだから、自分も含めて四人なら、静かな方かもしれない。それにウォヌは基本静かだし、時々笑ってるぐらい。ジュンの動きはせわしないけれど、それだって大暴れしてる訳じゃない。ましてやホシはいつだってウジの隣りで吠えているから、気にもならない.........と、ウジは思っている。
ホシはテンション高かった。まぁ基本ウジが近くにいるとテンションは高い。時々ウォヌが「クマネ」と文句を言うけれど、そんなことは気にしない。だってウジは笑ってくれるから。ジュンもテンション高く変な動きをして笑わせてくるけれど、笑ってたら「なんで笑うんだよ」とか言ってくるから、笑わせてるつもりはないのかもしれないと、また笑うことになる。
ジュンは座っていたけれど、踊っているつもりで肩から上、基本は頭だけ動かして表現するという誰得かも判らないことをしていた。それでも結構真剣にそれをしていたのに、ウォヌは鼻で笑うしホシは指さして笑ってくる。しかもウジはふる無視。ちょっとムッとしたけれど、まぁ怒るほどのことじゃない............と、今度は足首から下だけで踊ることに挑戦しはじめたジュンだった。地味だし、やっぱり誰得かは判らない。
ウォヌは本を読んでいた。ディエイトが読み終わったのを貸してくれたもの。少し昔に流行ったエッセイだとか。物凄い面白い訳ではないけれど、読み飽きるほどでもない。時々ホシが吠えてうるさくて、「黙れって」と文句を言ったり、ジュンの謎の動きに苦笑したりしながら、ウジが作り出す音楽の欠片を楽しんでいた。全員の熱量が高いからか、まだ春なのにスタジオの中には冷房が効いていて、じっと本を読んでるだけのウォヌはちょっとだけ寒かったけど、まぁそれも、気にならない程度のこと。
本当にたまたまそこにいただけの四人だから、何かを全員でする訳でもなく、そのままいたからって何かがはじまる訳でもなく。
誰かが出ていってもいいし、逆に誰かが入ってきたって気にならない程度。
時々スタジオのドアが開いて、ドギョムやスングァンが覗いてきたけれど、入ってくることはなかった。だからやっぱり、96ラインの四人がなんとなくいるだけの空間。
その空間が破られたのは、不意にミンギュが入って来たから。
手には水やお茶やコーラが入ったコンビニのビニール袋があって、「スンチョリヒョンのお土産。どれにする？」と、わざわざスタジオにいる四人に声をかけにきてくれたようだった。
何故かビニール袋は一番にウジの前に差し出される。
ウジがコーラを手にすれば、次はジュンがお茶を手にし、ホシもコーラを選んでた。最後にはウォヌの前にそれが差し出されるのかと思いきや、当然のようにビニール袋の中からコーヒーを取り出して、ミンギュがそれをウォヌに手渡していた。
いやもう96ラインの三人は、まぁウォヌも含めて四人は、そんなこと気にもしないけど。
でも............。
そのまま去っていくのかと思いきや、ミンギュがウォヌのことを後ろから抱きしめた。それから一言。
「ヒョン、身体冷えてるじゃん」
そう言って、自分の着てた上着を脱いで、ウォヌの肩にかけ、「空調の温度、ちょっとあげるね」と勝手に温度設定を変えてから、何事もなかったかのように普通に去っていったミンギュだった。
「いや、俺暑いんだけど............」
ウジの呟きに、思わずホシもジュンも頷く。
「あ、でも俺はちょっとだけ寒かったかも」
ウォヌが自分でも今気づいたって感じでそう言って、ホシに「なら本なんて読んでないで動けよ」とツッコまれて「嫌だよ」と笑ってた。ジュンも「座ってても肩甲骨だけで踊ればすぐに暑くなるけど」と謎な踊りを進めていたけれど、やっぱりウォヌは「嫌だって」と言いながら笑ってた。
いや、ツッコむところはそこじゃないだろって感じだけれど、謎にミンギュがウォヌのことを抱きしめてったことは、誰も気にならないらしい。
いやもう96ラインの三人は、いやウォヌも含めて四人は、そんなこと気にならないんだろう............。
結局その後、「やっぱり暑い」というウジによって温度がさらに倍ぐらい下げられて、笑いながらウォヌが「俺は出るよ」といなくなって。ジュンも「俺も真剣に踊ってくる」といなくなった。
ホシだけが残って相変わらず吠えていたけれど、当然のようにウジにはふる無視されていたけど............。
The END
1974moji
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96ラインのおはなしに見えて、ミーニーなおはなしでもあるけれど、ウォヌさんはなんか、強そうに見えて案外優しく、不敵に見えてやっぱり優しく、普通にしてるけど知らず弱いところがあるイメージ。そしてミンギュさんと、なんかしっくりくるイメージ。
見えないかもしれないけど、守られることが似合う感じがする。
くぅ.........。守られ続けていて欲しい。
