妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

神様バイバイ

 

ユンジョンハンはかつて、天使だった。

今は人として生きているけれど、天使の日に生まれて、天使のような容姿で、天使のような笑顔を振りまいて、楽しそうに人として生きているけれど、そして時々は悪魔もビックリするぐらいな考えをめぐらして、妖怪もビックリするような笑い方をすることがあったけれど、それでもかつて、ユンジョンハンは天使だった。

「運命を見つけた」と、ユンジョンハンが言った。

ある日、天界は晴れていて、でも雲の下の世界は嵐だった日。見下ろせばそこには、雲の中に雷が光ってるような、世界がいつもより少しだけキラキラしてた日。
神様のところにユンジョンハンがやってきて、「運命を見つけた」と言った。
天界には、今から地上に生れ落ちる魂だけの存在がたくさん漂っていて、その中に、自分の運命を見つけたという。
「あの魂と一緒に行く」
指さしてる間にも、その魂は地上に降りて行ってしまった。
「神様! 俺は行くよ!」
その背中にはキレイな羽があった。しかも六枚も。天使としても上位にいるというのに、誰もが見惚れるような天使なのに、神様だってお気に入りだったのに。ユンジョンハンはあっさりとそれらすべてを捨てていくという。
本当なら「後悔はしないのか」とか、「二度と天界には戻れぬぞ」とか、神様っぽいことを言いたかったというのに、ユンジョンハンはあっさりと、この幸せしかない天界を去っていった。

「神様バイバイ」

最後の言葉がそれだった。
誰だって地上を楽しそうに見てるけど、そこに降りようとなんてしないのに。決してキレイなだけの世界ではないと知ってるはずなのに。追いかけて行った魂は、ごくごく普通に見えたのに。
人として生まれたって、出会えるとは限らない。出会えたとしても、その時までには長く時間がかかるかもしれないし、人として生きるからには、天使としての記憶だって持たずに生まれるというのに。

見事なぐらいに潔く天界を飛び出していったユンジョンハンに、神様は少しだけ優しさを見せた。
運命と、せめて同じ国の人として生まれるように。天使の日に生まれるように。誰かに優しくできたらその分だけ、天使の時の容姿に近づくように。ほんの少しだけ願いを込めた。

それから数日。神様がちょっとだけのんびりしてる間にも、地上では数年が過ぎていた。
それからまた数日。神様がちょっとだけ忙しくしてる間にも、地上ではまた数年が過ぎていた。
それからまたまた数日。地上では............。

神様がユンジョンハンがどうしてるかと地上をのぞいてみれば、ユンジョンハンは天使の時のままの容姿で、楽しそうに笑ってた。

運命を隣りにして。
仲間を得て。
楽しそうにキラキラと、笑ってた。

 

The END
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