妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

いつもの散歩道

 

努力はいつか、報われる。それは、本当だろうか............。

ウォヌとジュンがそれぞれにゲームで遊んでた。仕事が終わって、練習も終わって、ミーティングも終わって、夕食も食べて、シャワーもして、寝る準備もできたけど、寝る前にちょっとだけ遊ぼうかな......と、真夜中も大分過ぎたけどゲームをしてる。そんな時間。

エスクプスがジョンハンの部屋に泊まりに行っていないから、ジュンがウォヌの部屋に泊まりに来てた。
まぁ結局は、フロアがわかれたって結構適当にわちゃわちゃしてる状態。
でもさすがにドギョムも寝てたし、ジョシュアも寝てたし、ミンギュも寝てた。
そんな中、ウジとホシが二人して帰って来た。

仕事の後だというのに、もう真夜中も真夜中だというのに、相変わらず運動の時間をしっかりと取っているウジと、そんなウジに有無を言わさず連れ去られるようにして一緒に運動してるホシ。
ウジはゲームをしてる二人を見ても何も言わず、さっさとシャワーを浴びに消えてった。
ホシは自分のフロアでもないのにウジにくっついて来てしまったんだろう。でも何も気にせず、冷蔵庫を開けてコーラを取り出していた。
何故かペットボトルのコーラにストローをさして飲んでいる。「こうやって飲んだ方が炭酸がきつくなるんだって」とディノに教えてもらったらしい。
自慢のマンネではあるが、大したことは教えてくれないマンネでもある。まぁ嬉しそうに言ってくるその姿がカワイイから許すけど。

ウォヌが「96ラインが揃うじゃん。こんな時間に揃うと不吉なんだけど」なんてことを口にしたけれど、ゲームに夢中のジュンは聞いてないし、炭酸きつめのコーラを飲んでるホシも聞いちゃいない。
しかもホシがコーラを飲みながら、モゴモゴと何かを口にした。まぁストローを加えながら話してるからモゴモゴなんだろう。思わず聞き逃しかけたけど、夜中でシーンとしてるから聞こえてしまった。

「ジフニと、行きつくとこまで行ってきた」

そんな言葉が、シーンとしてる夜中に不意に部屋の中に放り込まれれば、誰だって動きを止めるだろう。
「ん?」
謎にさっきのウォヌの言葉は聞いてなかったジュンなのに、ホシのその言葉はしっかりと聞いていたんだろう。珍しくもゲームから視線を外して驚いていた。
「誰と誰が、どこまでって?」
ウォヌが思わず、しっかりと聞き返してしまった。
「え? だから、ジフニと、俺が、最後まで」
「「..................」」
思わずウォヌはジュンと見つめ合ってしまった。言葉もなく。
しかし驚いたから言葉を失った............という訳でもない。お互いがお互いに、視線とジェスチャーで、やりあっていただけ。

『ないない。ないないないない』ウォヌが眉間の皺だけで語る。
『じゃぁなに? どういうはなし? 俺の韓国語、まだまだなの?』ジュンが整い過ぎた美貌を崩して語る。

付き合いが長いから、二人して「ないない」っていうところでは落ち着いた。
何せ、あの時も二人、一緒にいたから。まだ緑の練習室で頑張っていたころのはなし。ホシから謎に練習室に呼び出された日のことを、二人は今でも昨日のことのように覚えてる。面白過ぎたから。

「メンバーだし、仲間だし、チングだし。お前たちには秘密を持ちたくないから」

あの時のホシは物凄く真剣な顔で、話しがあるとウォヌとジュンを呼び出した。何か悩み相談でもあるのかと思ったら、秘密を教えてくれるという。
ちょっとドキドキしつつも何を言うのかと思ったら、「俺、ジフニのことが好きだ!」だった.........。
あの時もウォヌとジュンは黙って視線と表情で会話したのを覚えてる。

『え、知ってるけど? なにその秘密でもなんでもない情報の暴露』ウォヌが眉間の皺だけで語った。
『ん? まだ続きがあるんじゃないの? 実はウジに告って付き合いだしたとか』ジュンが整い過ぎた美貌を崩して語った。

そして二人してホシからの続きの言葉を待ったというのに、目の前ではホシが「俺がジフニを好きだなんてショックかもしれないけど、俺は真剣だから」とかなんとか言い出していた。
いややっぱり、ホシがウジを好きだっていう話だったらしい。
いやだから、知ってるけど????? って感じ。いやそもそも、秘密のつもりだったのかと、あんだけバレバレな行動をとっていたのにと、逆に驚いた出来事だったかもしれない。そして謎に面白すぎて、思い出すたびしばらくは笑い転げてた出来事だった。

結局ホシはその後、チングには黙ってられない......と言ってウォヌとジュンを呼び出した時のように、ヒョンたちには黙ってられないと言って95ラインの三人を呼び出して秘密を伝えていた。

当然のようにヒョンたちも、『い、いや、知ってるけど????』となったらしいが、優しい兄たちは特にツッコまず、「そっかぁ」と頷いてあげたらしい。

さらに当然のように弟たちにも黙ってられないと、97ラインの三人を呼び出していた。もちろん三人ともが『うん。知ってたけど......』となっていたけれど、優しい三人も「教えてくれてありがと」と言ってあげたらしい。

そしてその後、ホシは謎に悩んでいた。秘密はよくないけれど、マンネラインの三人には早いんじゃないかと。そんな話題は............と。一人で三日ぐらい言おうか黙ってようか考えていたけれど、そんな悩む姿だってバレバレだったから、結局はマンネなディノに「ホシヒョン。ウジヒョンが好きなんでしょ。もう知ってるから」と言われてた。しかも緑の練習室の中、全体練習前に叫ばれていた。まぁホシが悩みすぎて練習にならなかったからだろう。そんなディノの発言を全員がスルーしたというのに、心の底から驚いていたのは当然、「な、な、な、な、な、な、なんでわかったんだッ」と叫んでたホシだけ。その場にいたウジですら、どうでもいい話って顔でスルーしてたというのに。

そして全員に秘密を暴露した後、ホシの態度が変わったかというと、そんなこともなかった。
でもまぁ変わったことも、多少はあったかもしれない。
あれはそう、舞台の上でどうしてもウジとハイタッチがしたいと言ってた時だったはず。何故か舞台の上での、しかも演出上のハイタッチなのに、ウジに拒否られて落ち込んでいた。強気に「パフォーマンスだろ」って言えばすむだけなのに、そこに疚しさがあるからなのか、強く言えなかったのかもしれない。

そしてそんなホシがどうしたかというと、とりあえずエスクプスに泣きついていた。
「スンチョリヒョ~~~ン。ジフニにハイタッチしろって言ってよぉ~~~」
とりあえず上から攻めることにしたんだろう。エスクプスの背中から抱き着いて引きずられても離れない......という荒業を使ってるところをウォヌが見ていた。

そんな話題をウォヌがたまたまジュンにしたら、ジュンが「俺が見たのは逆だった」とか言い出した。
「チャナ~~~~。ジフニにお前からも言ってみて。ハイタッチしたらヒョンたちカッコイイよって」
マンネなディノに、謎にジュースを買ってあげながら頼んでるホシを見たという......。
どうやら上からも下からも攻めてみようと思ったんだろう。

結局あの時は、エスクプスもディノも動いてはみたものの、ウジの説得には失敗してた。そこに立ち上がったのが、セブチのオンマで天使ことユンジョンハン。何故かプロの悪徳仲介業者のような表情で、「一か月俺の言うこと聞くなら、俺がウジのこと説得するけど?」とか言い出して......。

魂を売りかけたホシだったけど、何せそのやりとりも全員がいる楽屋の中でやってるもんだから、普通にウジもそれを見てた。さすがにそこまでしてハイタッチを拒否るもんでもないと思ったのか、ホシがユンジョンハンの下僕になる前に、「ハイタッチ、本番だけだからな」と口にして、何故かホシが感動のあまり涙ぐむという出来事があった。

結果、ユンジョンハンはやっぱり天使なんじゃないかとメンバー内で話題になったほど。まぁホシが取引に応じる前にウジが折れた瞬間にハニヒョンが小さく舌打ちしたのをウォヌは見てたけど......。

とにかくホシは、ウジの横に立つだけのことでも、相当な努力をしてる。
真正面からぶつかってみて、弾き飛ばされたって諦めない。メンバーだってマネヒョンだって事務所の社長や副社長だって、スタッフヌナたちとだって取引しては、ウジとお揃いの衣装だったり、色違いの衣装を手に入れては喜んでいる。

相当の努力の結果、手に入れるものは僅かだが、本人は本当に心の底から、喜んでいる。
いつぞやは宝くじにも当たったんじゃないかってぐらいに喜んでいるから、相当イイコトがあったんだろうと思いきや、「ウジが俺のこと、うちのホシがいつもお世話になってますって」..................で? その時もその続きのはなしを待ったけど、結局それだけだった。ただただウジが、ホシが外部で教えてもらってたダンスの先生に会った時に、丁寧に挨拶したってだけのはなし。

『いや俺だって、ディノが学生だった頃、ディノの友達と遭遇すればディノといつも仲良くしてくれてありがとなって言ったし、ディノの先生に会えば、当然のように頭を下げたけど?』って思わず言いたくなったけど、その時もたまたま一緒にいたジュンに止められて、我慢したウォヌだった。

そしてなんだかんだ言いつつ、ホシはコーラを飲み終わっていた。ウジと入れ替わりにシャワーを浴びるという。フロアが違うというのに。勝手知ったる......というやつで、後でミンギュのシャツをパジャマ変わりに借りるという。その後はウジと一緒に寝る予定~と、絶対拒否られるだろうってことを想像して、ホシがルンルンって感じで消えてった。
入れ替わりにウジがタオルで頭をふきふきしながらやってきて、冷蔵庫からコーラを取り出していた。そのまま飲むのかと思いきや。ホシが置いてったコーラからストローだけ奪って、それを使って飲んでいた。

「あ、間接キス」

ジュンが思わず呟いていた。多分ウジには聞こえなかっただろう。
「なぁ。ホシと、行きつくとこまで行ったんだって?」
ウォヌが素知らぬ顔で聞く。ウジに話を聞く時には、いらぬ気づかいは不要だと知っているから。
「ぁ? あぁ、今日な」
「で、行くつくとこって、どこ?」
「あいつ、話さなかったの?」
「そこまでは」
「ふ~ん」
ウジは特に動揺するでもなく、恥ずかしがるでもなく。ただ普通に会話して、普通にスマフォを手にして、普通に写真を見せてくれた。
そこには、都会にあるとは思えないような、素朴な花が咲いてるだけの、何もない場所だった。

「どこ?」
「いつもの散歩道の、どんつき?」

黙々と歩いて、一定時間が経過すれば引き返す。決めた時間だけ、決めた歩数分だけ、ただ歩いてるだけ。人があまりいない道。だけどあまり怖くない道。ただの運動の時間に意味はないけれど、ホシがある日、「いつかこの道の最後まで、一緒に行こう」と言ったという。

それは夏の出来事で、夜中でも地熱が残ってた頃のはなし。
今は冬で、寒くて歩くのも辛い季節なのに、何故かその道を最後まで歩いてもいいかなって気になったんだと、ウジがなんでもないことのように言っていた。

「冬なのに、花が咲いてるなんてな......」

ウジがしみじみ言いながら、「おやすみぃ」といなくなった。
なんてことのない話なのに、なんでホシはあんなに喜んでいたんだか。謎。
でも手を握ったり、抱き合ったりするよりも、二人でその道を歩くことの方が、もしかしたら凄いことなのかもしれないと、ちょっとだけ思う。

だって多分ウジは、そんな光景を音にするから。曲にするから。歌にするから。

 

 

努力はいつか、報われる。それは、本当だろうか............。
いやでも、報われる必要はないのかもしれない。少なくともホシは、クォンスニョンという男は、そんなちっぽけな男じゃないはずだから。

なんとなくウォヌとジュンがいい感じな感じで頷いていたというのに、シャワーからタオル一枚の状態で戻って来たホシが、ウジが自分が使ったストローでコーラを飲んだ事実に気づいて、「か、か、か、間接キ、キ、キ、キッスじゃんッ!」と舞い上がっていた。実際にちょっと身体が浮いていたかもしれない。喜びすぎてタオルが落ちていたけれど、ホシは全然気にしてなかった。ウォヌとジュンはちょっとだけゲンナリしてたけど。
そしてストローを家宝にするという。
ホシは決してちっぽけじゃない............と、信じたい、ウォヌとジュンだった............。

 

the END
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