妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

自慢のマンネが今日も行く

 

ディノが一人で踊ってた。練習室の中。
全体練習の前に、自分のための練習をしてるんだろう。少しずつ人が集まってきていて、ディノが踊り終えた時にそれを見ていたウォヌが「チンチャキヨッタ」と口にした。それに対してディノが、「えぇいヒョンッ」と文句を言おうとしたら、ウォヌが不思議顔。それもそうだろう。ウォヌが見てたのは自分のスマフォの中の子猫だったから......。
それを見てたスングァンが「はずッ」と口にしたら、ディノがスングァンのことを睨んでた。
昔なら、そんままスングァンとの言い合いがはじまって、ケンカにまで発展していたかもしれないが、最近はケンカにもならない。

何故ならディノはもう大人だから......と、本人は言う。
ちょっとさみしいかも......とホシが言うけれど、実際はそんなこと、全然ない。だってディノはどうしたっていつだって、自分たちのマンネだから。それも自慢の。

インタビューとかでマンネの話を聞かれると、「頑張り屋で」って話題がよく出るけれど、スタッフさんたちとのただの会話の中だと、95ラインの三人はよく、「ディノ? まだまだですよ」と口にする。
それを言葉通りに受け取る人は多いけれど、95ラインにとってはそれはただの自慢話。
ディノはまだまだ、伸びしろがあるから。ディノにはまだまだ、叶えたい夢があるから。ディノの中にはまだまだ、驚くほどに野望があるから。
そんな意味をたくさん含んだ「まだまだ」だから。
それにどんなに大人になったと言ったって、ディノが不安な時にはすぐに判る。それがもう一緒にいて長いからなのかは判らないけれど。

「ヒョンッ」

誰を読んでるのかは知らないが、ディノが口にするその言葉一つで、困ってるかどうか判る。とエスクプスが言う。
大抵は笑ってて、楽しそうに過ごしてる。姿が見えなくてもその笑い声が聞こえてきたりして、どこかにいるなと安心する。
でも時々ディノは一人で悩んでる。頑張りすぎって言われてることにすら悩んでる時がある。真面目だからか、性格なのか、それとも本当に自分が全然できてないとでも思っているのか。

「お前できてるじゃん」

ホシがいくらそう言っても、ディノは首を振る。
自分がカッコイイと自信を持って踊った姿を映像で確認して、全然だと落ち込んでいる。
きっとディノにとってはなにもかもできてるホシに言われても......って気持ちなのかもしれない。
そんな時はよく、ジョシュアがディノの側にいる。うまく踊れないところを教えて欲しいと言えば、いつだってディノは嫌な顔せずにつきあってくれるから。それがいい気分転換になるのか、一時間もするころにはいつものディノに戻ってる。

頑張りすぎて失敗することもある。テレビ局や撮影スタジオで、ただただ頑張ってプロデューサーとかに素で「しばらく静かに」とか注意されて、「すみません」とシュンとすることがあるから。そんな時にはウォヌやミンギュが一番にディノのところに行く。「俺らお前から元気貰ったぞ」って言うために。
もちろん仕事を長く一緒にしてくれれば、ディノの魅力に皆気づいていくだろう。だけど全員が全員、すぐにディノの魅力に気づける訳じゃないから。

マンネだからってバカにする人間なんていないだろう。だけどマンネだからと扱いが軽くなってしまう人はいるかもしれない。
そんな時はエスクプスが行く。バカ正直で、真っ直ぐで、メンバー全員を心の底から愛してる男が、「俺たちのディノを軽く扱わないで欲しい」と、真剣な顔して丁寧に伝えに行ってしまう。

もちろん本当にディノが失敗したとしたら、誰かに注意される前にメンバー同士で話をつけている。時には誰かが怒ったり、諭したり、説明したり、話し合ったり。
そのどんな時にも、ディノは本気で「俺は間違ってないよ」と怒ったり、「でもごめんなさい」と謝ったり、「次はもっとうまくやる」と宣言したり。

凄く悔しそうな時もあれば、キラキラした目をして何かを話してる時もある。
あぁどうしたって自慢のマンネで、やっぱりディノがセブチの未来で。
楽しそうにディノが踊ってる。新しい振り付けの一部だと、見て見てって感じで。

「チンチャキヨッタ」

ジョンハンの横にいたウォヌがまたそう口にしたけれど、ディノは何も言わなかった。もう騙されないぞ......って感じで。
でもジョンハンがウォヌのスマフォをのぞき込んだら、そこにはディノの踊る姿を盗み撮りしてる最中だった。

「今日は、絶対今日中に練習終わらそうよッ」

ディノが叫んでる。がしかし、今日は残り二時間もないので、多分無理だろう。あちこちから「ぇえい、無理に決まってるじゃん」「何言ってんだよ」とか声があがるのに、「強気でいかなきゃ」とディノが一人で本気っぽい。
そんなディノが孤立無援かというと、そうでもなかった。
なにせどこまでもプラス思考のジュンと、ディノのことを本気で慈しんでるホシと、パフォチ繋がりだからかディエイトまでそれに乗っかって、「なせばなるなる」とか言い出したから。

パフォチ以外の全員が「はいはい」と話しを半分以上聞いてなかったというのに、面白がったマネヒョンが、「今日中に全部ふり入ったら、法人カードで焼肉行くか?」とか言い出したから。
一瞬で全員のテンションが上がる。そして謎に団結力が生まれる。普段は言われるままに後から動くだけのウジの目が光る感じ。

「とりあえず、前半1時間でパート覚えて、後半1時間で全体あわせよう。パフォチの四人がわかれて教えたらいいだろ」

当然のように「フォーメーションは別だ」と決めつけて、ふりだけならどうにかなると全員で言い合って。謎に全員からディノが褒められて。
冷静に考えたら無理そうなことも、全員ができると思ったらできる時がある。

ジョンハンがコッソリとホシを捕まえて、一番難しいふりを今だけ簡単なものに変えておけと囁いていたから、多分どうにか今日中は達成できるかもしれない。

SEVENTEEN ファイティン!」

時々ディノが叫ぶ。それに誰かがいつだって答えてる。
多少のズルはあったかもしれないけれど、ディノのおかげで、全員で焼肉を食べた夜だった。

 

The END
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