まさかのクリスマスに二人きり。
そんなことが、よもや叶うなんて......と、今の状況をうっかり忘れそうになったエスクプスだった。
でも気持ちが浮かれることがあることは、良いことだって言い訳をする。
「ケーキ食うだろ?」
上下鼠色のスウェット姿のジョンハンが、なんの特別感もないままに、それでもクリスマスケーキを差し出してきた。
「プレゼントもある?」
なんか浮かれすぎて、期待はしてないけどって顔をしながら、でも物凄く期待しながら聞いたら、「シュアがこれ持って行けって」と手の中に納まってしまうほどの小さめの紙袋。
開けてみれば、クリスマスカラーのリボンが入ってるだけだった。
「なにこれ」
「シュアが、絶対クプスはコレ喜ぶからって」
目の前で、ジョンハンがリボンを手にとって、自分の首に巻きだした。器用に見えて不器用だからか、リボンは曲がっていたけれど。
「はい、クリスマスプレゼント」
「........................」
「でも先にケーキ食うだろ?」
いやいや、ケーキなんて食べてる場合じゃないだろう......と、二人きりのクリスマスを満喫することにしたエスクプスに抱きしめられて、なんだかんだで色んなお初を楽しんだ二人のクリスマスの夜だった。
The END
529moji