妄想heaven

SEVENTEEN全員でのドラマか映画が見たいな......

地球がいつもより高速で廻ってる

 

それが最初眩暈だとは思わなかった。

夜中に目が覚めて、ふらふらしながらもトイレに行って、でも立ってられなくて座ってトイレをすませたら、そのまま戻れなくなった。
世界が回ってて。
ホテルだったから、ドギョムが一緒だった。

「ドギョマッ。ドギョマッ」

叫んだつもりだったのに、実際のところ、それほど声は出てなかったのかもしれない。
座ってるのも辛くなってきて、トイレで横になるという......。「あぁクソッ」って感じ。まぁでも、どこもかしこもピカピカだったからいいけど。

「ヒョンッ!」

何分後だったのか、何十分後だったのか。まさか1時間以上とかではないはず。
抱き起こしてくれようとしたけれど、「無理、待って。起こさないで」と口にして、結局は引きずってってもらって、ベッドまで戻った。でもホテルのベッドはスプリングがききすぎていて、ベッドからずり落ちて床に寝た。やっぱり「あぁクソッ」って感じ。まぁでも、床もフカフカで寝心地は良かったからいいけど。

自分を中心に世界が回ってる......。だけど全然嬉しくない。

体調不良と相まってクラクラしてるだけだと信じたけれど、それは時々起こって、時にはコンサート中にも一人だけ倍速で踊ったんじゃないかってぐらいクラクラすることがあった。
日頃の練習量のタマモノか、意識が遠のいても身体はきちんと動いて、どこにいるか判らなくても、自分の立ち位置にいたりする。
でも舞台下の暗い通路では、まったくもって動けなかった。
それはまるで毀れたロボットみたいに。パタリと身体がすべての動きを放棄してしまう。
スタッフたちに運ばれていくのも辛かった。動かなくても世界は廻ってるってのに、誰かの息遣いが近すぎて。誰かの体温が気持ち悪くて。自分じゃない誰かの振動が、より脳みそをかき乱してきて。

「あぁクソッ。今日は地球がいつもより高速で廻ってる」

電池切れのような状態で倒れてたけど、気持ちは負けてなかった。
だからスタッフたちだって、会社の人たちだって、一番近くにいるマネヒョンたちだって、疲れがたまってるだけって信じてた。
でもクプスが不在の今、ジョンハンに負荷がかかっていたのは確かなんだろう。

「悪ぃ、俺ギブ」

ゲームから先に抜けるってぐらいの軽い言い方で、ギブアップ宣言。
ギリギリのところで活動してたのは、誰よりもメンバーたちが判っていたんだろう。驚きもせず、悲しみもせず、ただただ淡々と、受け止めてくれた気がするから。
マネヒョンが一番驚いていて、その横でいざって時に頼りになりまくる96ラインの4人が、歌割と踊りと年末までのスケジュールの確認をはじめてた。

「クプスと過ごすわ。クリスマスだし、一人じゃ寂しいだろうし」

そう言えば、「自分にリボン巻いていけば」とジョシュアが笑ってた。
何色のリボンが自分には似合うだろう......とか考えながらも、動けなくて。やっぱり宿舎の廊下をドギョムに引きずられながら部屋に戻ったジョンハンだった。

 

The END

 

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