「天使ってさ。天使ってさ。天使ってさ」
言葉がうまく見つからないのか、同じ言葉を繰り返してるのはホシだった。
楽屋の隅っこで固まっていたのは96ラインの4人。といってもウォヌは相変わらずゲームに夢中だし、ウジは半分寝かかっている。そしてジュンは誰もいないのに誰かを指差す動きを繰り返している。
ついさっき目の前を、「ィヒヒヒヒヒ」と、天使というよりは悪魔のような笑いを零しながらジョンハンが通りすぎていった。
何やらイタズラを思いついたようで、ドギョムとディノを標的としているようだった。
「まぁ天使って呼ばれてるだけで、ホンモノでもないんだし、いいんじゃない?」
ウォヌがゲームしながら答えてくれる。
「でも、小さい子供たちがさ、ハニヒョンに天使さま~って言ってるの、こないだ見たよ。なんか、詐欺の片棒かついでる気がする」
「そのうち現実を知って成長するだろ」
ウジが目を閉じたままで厳しいことを言う。
ちょっと納得しかけたホシだったけど、目の前を「ウケケケケケ」と、天使というよりは妖怪のような笑いを零しながらジョンハンが通りすぎていく。どうやらイタズラに成功したらしい。
「............なんかやっぱり、間違ってない? いろいろ、全体的に............」
「天使だと思うから、後ろめたいんじゃない?」
突然正気を取り戻したのか、真面目な顔でジュンが言う。
「え、じゃぁなんだと思えばいいの? 天使なハニヒョンは、もう浸透しすぎるほどしすぎてるし。今さらイメージも変えられないし」
「進化系エンジェル?」
「え、なにそれ微妙にカッコイイんだけど」
ゲーム好きなウォヌが、新しいゲームみたいだと反応する。
「なんか、新しい曲できそうだけど」
半分寝そうだったウジまでもが、機械系の音とか集めたいかもと反応する。
「綺麗なだけの天使じゃないってことだよ。今の時代、清廉なだけじゃいくら天使でも飛び続けるのは難しいから」
「「「おぉ~」」」
ホシとウォヌとウジの声が揃う。なんだかカッコイイ感じのことをジュンが言ったから。
しかし正気だったのはそれまでだったようで、次の瞬間には謎な動きをはじめて一人の世界に帰って行ってしまったジュンだった。
でもなるほど。そうかもしれない。そう思えば、ちょっとどころか大分ダークな天使だったとしても、なんとなく納得する。
その後96ラインの4人はバラバラになったけれど、なんとなく全員がジョンハンを見ていたらしく、ジョンハンにかなり嫌がられていた。
でも天使が進化すると、何になるのか.........。それは誰も知らないけれど、案外魔王とかだったりして.........。
だってその後もジョンハンは、「ぁはッ」って謎な笑い声をあげながら、エスクプスを惑わせていたから.........。
The END
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